○現状維持○
○飛悟side○
「自分も死なないで大切な人を守れて俺は嬉しいよ」
我ながら妙なセリフがさらっと口から出る。
真実なんだろうけど寒いセリフだ。
「………な!?」
と、愛が言葉を失ったその時だった。
ガサッ………ガサガサ
「じれってぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!! 」
「「あ、亜利!!?」」
学校を囲む茂みから亜利や綾華、大稀、后也が出てくる。
なんで!?としか言えない。
「お前らいい加減じれってぇんだよ!!」
「な、なんで……え?あ、え!?」
「ほら。飛悟言うことあんじゃねぇの?」
「で、で、でも心の準備が……」
綾華と大稀に後押しされるがどうも言いにくい………。愛の事だから殴られるに決まってる……。
一人話が合わないもんだから愛は首を傾げてる。
「あ、愛こっち!」
と、草むら(ではなく、ちょっと背の高い草たちの中)に入りさっきよりちょっときつく、抱きしめて言った。
「その…………好き、だよ」
「に"ゃ"っ」
妙な声は愛のいつもの癖。照れたとかそんな時の声。
じっとしてると愛が後ろに手を伸ばし草を抜き「えっ」と言った隙に口に突っ込んできた。
「そんなん…………」
やばい、怒らせた。そう覚悟した時、
「そんなん、私もおんなじだ馬ぁ鹿!」
「ぅえ……?」
あっ、と愛が顔を赤くする。
「えっとその」と慌てて答えを替えようとするがまたぎゅっとするとふっと愛は力を弱くした。
なんだか、気が軽くなる。……よくわかんないが。
「ごめん、飛悟」
「べつに?大丈夫だから。な!」
「うん」
と、してる間に。皆のところに戻ると蚊に咬まれたようで痒い。
「あはは………。えーと、帰ろうか」と俺は促す。皆はキョトンとしてるがそれにも関わらずなんと空気読めてないなと感じる。
「はーい、飛ぃちゃんの割によくできました」
「な……っ、ひどいな……」
と言いつつも、愛の方を見て、「現状維持な」と呟いた。そうすると、いつもどおり、脛を蹴ってきた。
「わかってる」
目を背けながら、何処と無く嬉しそうな目を背けながら、彼女はそう言っていた。




