○文芸祭にて 2○
○愛沙side○
「もういい。」
そう言って舞台袖から出口まで出て行く。
綾さんらが話を少し聞いていたのか、出口で待っていても黙っていた。
それを尻目に私は歩いていく。
気がつけば、西校舎に着いていた。それから、ふっと後ろを見てみた。そこには、静寂しかなかった。
そうだ、私………。
「…………本当に知らない」
やっぱり、嫌いだ。飛悟なんて。
誰も来ないって、さすがに見放され──────………
「愛沙ちゃん」
「……!」
後ろには少し息を切らしながも笑顔の吉昭が立っていた。
「………」
「愛沙ちゃん、皆の所戻ろ?皆心配して───……」
「やだよ。」
別に吉昭が信頼できない訳ではなくて。ただ、あんな風に言ったのを後悔しているだけ。
「これも飛悟の為だよ。…………わたしだって怖いんだ。」
「愛沙ちゃん………。………でも、ね。飛悟くんは、そんな迷惑だなんて思ってないよ。さっきも心配してた。『今はきっとそれから後のこと心配してるだけだから、誰の話も聞こうとしないだろうけどね』って言ってた。でも…………」
「なに。」
「『アイツなら大丈夫』って言ってたよ。」
………バカ。本人に、直接言いなさいよ。
私は密かに思った。
○飛悟side○
あーもー……。やっぱり絡まれた……。隣に居たはずの吉昭は消えたし……。
「はは……………。その、俺先を急いでるので──……」
くっそ。女子ってなんてめんどくさい。これだったら、愛の方が楽だ。
………探さなきゃいけないのに、何やってんだ俺は。
「でも、なんでまた愛沙だったんだろうね。」
「え?」
ふと、会話が聞こえつい聞き返す。
「本当に〜。裏とかありそうだし、何考えてるかわかんないしね〜」
…………何も言い返せない。ここで言わないといつ言うんだよ。いつだって肝心な時に肝心な事言えないしな……どうし………
「じゃあさ、アンタら、愛のやつの良いとこ知ってんの?」
「……………!」
ざわざわと話出す。そして亜利が「ほら、飛ぃ言いなさい」と笑って言った。
「し………正直いうとな、俺は女子や男子の大半が苦手だ。で、でも、なんでこんなに周りに人が集まるのかわからない。だが……理由はあるんだがその、愛とか皆は別なんだ。………ただ、それで愛だけを責めるのは間違ってると思う。………………。」
「つー訳だ。…………コイツ借りてくな。」
亜利がこっちだよと指を指した方に走る。正直、女子くらい捲ける足の自信はある。が、お陰で亜利を放置した見たくなった。
「ほれ、来た。」
「は?」
「愛とよっしー。」
本当だ、と口を開ける。少し、愛は嫌そうな顔をしたが吉昭がぽんと軽く背中を押した。
「………その。ごめんなさい。」
「いいよ。」
「…………。」
何に謝ってるかはわかんなくても真剣なことだけはわかる。
「おーい!」
「綾!ごめんねぇー、迷惑かけたね。」
「大丈夫だけど、愛沙…………。」
「…………私も大丈夫。」
それはよかった、と舞夏。唯や后也もにっと笑った。
「御迷惑をおかけしました」
と俺が謝ると綾華が「ほんとにだよ、飛悟のせいだからな」と否定の欠片もせずあっさり言われた。
そうか…と苦笑いをした。




