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○自覚、ないよ○
○愛沙side○
隣の席は大稀だった。暇過ぎて机に突っ伏している。舞夏も綾さんも唯も席は遠い。お陰様ではなしをする人間と言われれば大稀しかいない。でも、まぁ、話題もないわけで。無言で過ごす1日目。
「あーいーさーちゃん。」
声は吉昭だった。「何。」と聞くとあっち、と飛悟たちのほうを指す。
席を立ち上がり、パタパタと走り教室を出た。
「やっぱ、愛沙は飛悟の傍にいるのが一番落ち着くんだろ。」
「そーだね。」
☆
「どうだ?クラスに慣れ……てるわけないか。」
「……うん。」
だよな。と笑いつつも彼は私の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。
なんだか、この手が落ち着く気がして。少しホッとした。
「愛沙、飛悟。」
次の声の主は──……
「亜利に、こうちゃんか……驚かさないでよ…」
驚いたのは真実。
そんなことをしながらも時間は過ぎ………。
三年になり、四日目のお昼のお話になる。
「しっかし、受験生なんて自覚ないよ。」
唯が珍しく一番に口を開いた。そうね、と私。
すると、「ちょっとは自覚しやがれ」と口の悪い台詞が聞こえる。そのあとに続き、「姉さん、ダメですよ」と柔らかい声も聞こえた。
「あら………。衣久先生に美久先生………。」
舞夏が嫌そうに呟いた。
因みに、美久センセーは亜利らの担任。衣久センセーはまた私らの担任だ。




