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『呪われた元英雄は育成力もSランク~落ちこぼれの教え子を育てて「英雄」にしたら俺から巣立ってくれない』  作者: マロン64
第一章 サラ編

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第八話 ダメおっさん、森に異変を感じる

 俺はサラの過去の話を聞いて、様々な疑問を感じていた。

 サラの両親の異変、最後に戦っていた魔獣の話。

 領主のクロイも何かを知っているように思える。

 現に俺の家の外から誰かが見張っているような気配がする。


 だがそれは今かけるべき内容ではない。

 サラは見るからに落ち込んでいた。

 だったら俺は……。


「とりあえず汗を流してこい」

「……それだけ?」

「サラが脱いだのが悪いんだろ」

「ガンクはあたしに何も言わないの?」


 サラは正面を向いて俺に問いかけた。

「俺は今すぐ、サラの両親を見つけて殴ってやりたい。サラの両親はサラを捨てた。それは事実だ」

「……」

「だが、レインブルク一族に何か秘密があるのかもしれない。それがサラの斬られた理由なのかもしれないな」

「……そう」

「後、サラってさらし巻いてるんだな。ぺちゃんこだと思って悪かったよ」

「ッ!」


 サラは俺に持っていた木のショートソードを投げつけて、裏の井戸に向かった。

 まあちょっとは気がまぎれただろう。

 そして、俺は魔力操作して、近くの魔力波形を辿る。


 屋敷の外の路地から潜むこの魔力波形は……。

 なっ。一瞬で路地から俺の後ろに移動してきやがった。


「人の魔力波形を辿るのは推奨できません」

「ちっ。お前、領主クロイの所の影だろう。わざわざ何しにきやがった」

「クロイ様からの伝言を伝えに来ました。お人好しなのはいいが、お前にサラを背負えるのか?」

「そんなことは知らねえよ。だがなあ、クロイ様ってのは子供を一人でマルクの街の森に行かせるのか?」


 俺は背後へ急に転移してきた影の動きを探る。

 なに、今は朝日が俺の後ろから差してきている。

 それを見るだけで影の動きはわかる。


「クロイ様が何の監視を付けていないとでも?」

「うるせえ。何で正面から守ってやらないんだ」

「……」


 影は押し黙った。

「今度屋敷に行くからちゃんと通せよ」

「主に伝えておきます」


 後ろの気配が消えて、外からの監視の気配も消えた。

 待ってろよ。クロイ。俺はサラの過去を知っちまったんだ。

 俺がどれだけ執念深いか教えてやるよ。


 それにしても転移魔法の使い手とは良い影をもってやがる。

 とても辺境伯の駒とは思えない。

 俺は領主クロイの評価を上げた。


 しばらくしてサラは不満そうな顔をしながら戻ってきた。

 だが俺との稽古は続けるそうだ。

 俺は一言だけ告げた。


「サラ、俺の事は信用しなくていい」

「ッ」

「でも俺はサラの事を信用してるからな」

「……」


 サラは背中を向けて目を手で擦っていた。

 ははは、こんなダメおっさんの言う事で泣いてちゃダメだぞ。


 俺はサラに稽古をつける。サラは俺を踏み台にすればいい。

 その日はみっちりと足さばきと素振りをさせた。


 昼飯はサンドイッチを食わせた。

 俺も一個食って、仕事に行ってくると言って家を出てきた。


 午後からはギルドの仕事でいつも通り駆け出し冒険者の査定をする。

「ガンクさん、こっちに来てください」

「ん? ミミ―ちゃん、なんかあったか?」


 ミミ―ちゃんは深刻そうな顔をして俺をギルド職員の使う会議室に呼んできた。

「ミミ―ちゃん、どうした?」

「ここ最近、森の狩場になっている初心者用の場所に異変が起きています」

「何だって?」

「森の奥から大きな魔獣の咆哮が聞こえたり、初心者用の場所にいるはずのない魔物が出てきています」


 ちっ。問題ってのは次から次に出てくるもんだな。

「それは森の主がこっちに来てるってことか?」

「いえ、それはわかりません。ですがこういう事は初めてです」


 領主クロイの所に行く用事が増えたな。

 サラの事といい、森の異変といい、知らないことが多すぎる。

「冒険者ギルドは領主クロイに報告して救援を呼ばないのか?」

「はい。もう報告はしていて、領軍を出すとのことです」

「それなら一安心か」

「ですが……」

「何だ?」

「冒険者のリーダーにガンクさんを指名されています」

「はあ⁉」


 クソっ。領主クロイってまさか戦場にいたあのクソ師匠じゃねえだろうな?

 俺は会議室の机を思いっきり叩く。


「ガンクさん⁉」

「悪い、あのクソ爺に会ってくる」

「はあ⁉ 領主様ですよ!」


 俺はミミ―ちゃんの制止を振り切って、領主“クロイ”様の屋敷に行く。

 呪いのせいで全力で走れないのがもどかしい。

 あのクソ爺はこんな呪われたダメおっさんに何を求めているのか。


 そして領主クロイは何故戦場では偽名を名乗っていたのか。

 俺は聞きたいことが山ほどあるんだ。

 待ってろよ。クソ師匠。

 


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