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『呪われた元英雄は育成力もSランク~落ちこぼれの教え子を育てて「英雄」にしたら俺から巣立ってくれない』  作者: マロン64
第一章 サラ編

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第四話 ダメおっさん、サラの師匠になる

 俺はサラの魔力波形を辿り、森の中腹部にたどり着いた。

「サラ! 何してるんだ!」

「うるさいわ! 今戦闘中、なの、よ!」


 魔力波形の乱れからわかっていたが、サラは戦闘中だった。

 しかも相手は八本の脚に糸を吐くジャイアントスパイダー。

 マルクの街の森では珍しくない敵だ。


 だが通常より個体がでかい。

 ありゃあ上位種だな。


 サラは吐かれた糸を躱して息を整える。

 素早い動きはいいが、反射神経だけでかわしている。

 それだと、体力の消耗が大きいんだ。


「いいからこっちに来ないで! あたし一人でやれるから!」

 サラは俺がアルトと戦った時のように魔力層をまとい、安物のショートソードでジャイアントスパイダーに切りかかる。


「おいおい、そんな安物のショートソードじゃ切れないぞ! ってマジか!」

 ジャイアントスパイダーの脚は甲殻に覆われていて硬い。

 だが左足の一番前の足を斬って見せた。


 緑色の血が飛び散り、ジャイアントスパイダーは声にならない悲鳴を上げる。

 全く、どれだけ才能があるんだよ。

 俺は少し背筋がぞわっとした。


 このガキは……いやサラは『英雄』になれる。

「‼」


 ジャイアントスパイダーは糸を無作為に吐き始める。

 まずい。これは巣をつくるつもりだ。


「きゃあ!」

 サラの躱した地点にジャイアントスパイダーが吐いた糸が着弾する。

 ッ! まずい。


「そんな……こんな所で……」

 サラの絶望した呟きが聞こえる。

「サラを離せえええ!」


 ドンッ!

 右足だけに魔力を集中させて俺はサラの所にたどり着く。

 俺は呪いによって全力で戦うことは20秒しかできない。


 だから全力を出すのは瞬間毎でいい。

 0.2秒で魔力を右足に集中させて、加速する。

 後は勢いで走ればいい。


 ジャイアントスパイダーがサラに右足を突き刺そうとしている。

 させねえ。


 ——アダマンタイト製の大剣を振り上げて、全てを断ち切る。

「壱の回! 壊閃ブレイク・スラッシュ!」

「!」


 大剣を振り上げてから振り下ろすまで二秒。

 すぐさま、二の矢を繰り出す。

 てめえは上位種。尾に毒の針がある。


「弐の回。周壊《ラウンド・ブレイク」

 次の技は三秒。

 大剣をスムーズな体裁き(からださばき)で振り回し、魔力の刃ごとジャイアントスパイダーを吹き飛ばす。横振りの一撃はジャイアントスパイダーは足で踏ん張っている。だがな。


「参の回……天壊スカイ・ブレイク!」

 俺はあえて大剣に振り回されて宙に舞い上がり、縦回転で大剣を天から振り抜く。

 ズドォン!


「てめえには七秒あれば十分だ」

 ジャイアントスパイダーは俺の一撃でひしゃげ潰れる。

「……ッ!」


 一瞬サラがこちらを見て、顔を赤らめる。

 だがすぐに矢継ぎ早に言ってくる。


「ガンク、めちゃくちゃ強いじゃない! 何でアルトの時に本気出さなかったのよ!」

「俺の本気は人間相手には使えない。壊しちまうからな」

「確かに、あの威力なら普通に殴っただけで殺しちゃうわね」


 そうなんだ。俺は時間をかけられる戦いに弱い。

 そして人間相手だと、大けがをさせるからな。

 だから上半身の攻撃は使えない。


 アルト戦でも足払いだけだったろ?

 サラはひとしきり喜んでいたが、俺を無言でじっと見つめてくる。

「こ、この糸外してよ……」

「それをしてほしかったら何で夜にこんな所にいるか、説明しろ!」


 俺はサラの額を小突く。

 その後大剣で糸を切った。


「馬鹿ぁ! 痛いじゃない!」

「馬鹿はお前だ! こんな夜に森に潜って! 俺がいなかったら喰われてるんだぞ!」

「……ごめん」


 サラは俺が真剣に怒っているとわかると謝ってくる。

「昔はジャイアントスパイダーも安全に狩っていたの」

「は?」

「昔はママとパパがいたから怖くなかった。でも……」

「?」


 俺が疑問符を浮かべるとサラは押し黙る。

 これがサラが人を信用できない理由か。家族に何かされた?

 だが俺はあえて続きは聞かなかった。


 俺はサラの才能が惜しくて、剣を教えたいだけだからな。

 なんて、強がったけどまあトラウマは俺にもあるからな。

 まだその先を聞けない気がしたんだ。


 気まずそうにしているサラに俺は違う話題を振る。


「サラ、剣の振り方を直せ」

 まあどうせ断られるだろうと思っていた。


「……ガンクが教えてくれるの?」

 俺は少し驚く。このつるぺったんつんつん少女がデレるときが来るとは。


「ああ、教えてやる。ちなみに心変わりした理由は?」

「——その、技かっこよかったの」


 少しだけ心を開いて、満面の笑顔で言われた言葉は俺の胸に響いた。

 ああ、あれくらいだったらいつでも教えてやる。

 まあ魔物相手しか使えないけどな。


 俺とサラは拳を突き合わせ、ぶつけて笑った。


 次話に続く。



小説をいつも読んで頂きありがとうございます。面白かった、また読みたいという方は高評価やブックマークをお願いします。作者の励みになります\( 'ω')/


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