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『呪われた元英雄は育成力もSランク~落ちこぼれの教え子を育てて「英雄」にしたら俺から巣立ってくれない』  作者: マロン64
第一章 サラ編

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第十三話 ダメおっさん、漆黒の魔獣に出会う

「貴様! 騎士たちにもその食べ物をよこせ!」

「ああ? 何で冒険者より偉い騎士様が俺にたかるんだ?」

「貴様ああ!」


 カティンは悔しそうに地団太を踏む。

 蒼火の剣以外の冒険者にも分けてやると美味い! と騒ぎだす。


「あー物事には頼み方があってだなあ~」

 ここらで頼み方をちゃんと学んでもらわないと、冒険者との連携にも支障が出る。

 こういう事でちゃんとしつけをするのは大事だ。


「ぐっ。わ、わかった。そのハンバーガーとやらを私たちにも分けてくれ」

「分かればいいんだよ。分かればな」

 俺はアイテム袋にたくさん作ってきたハンバーガーを騎士たちに配る。

 カティンも俺が配っている所をじっと待って、最後に受け取りに来た。


 指揮官が部下に先に食べさせるのはなかなかできることじゃない。

 まあ普通に渡してやるか。

 他の騎士たちはもうハンバーガーにかぶりついて目を見開いていた。


「な、何だ! 中のソースとこの不思議な肉のステーキが美味い!」

「レタスとトマトがいいアクセントになっている。まるで作り立てのようだ!」

「ああ、それは作り立てだぞ。俺のアイテム袋は時間停止の機能がついているからな」

 

 その言葉にハンバーガーを食べていたカティンが鳩が豆鉄砲を食らったような表情を見せる。


「なんでCランク冒険者がそのようなアーティファクトを持っている?」

「さあな、秘密だ」

 まあ俺が元Aランク冒険者だなんて言っても信じてもらえないだろう。

 俺はあえて煙に巻いて、昼休憩を過ごした。


 ここからは森の中腹部。

 先遣隊が先に進み、森の異変を調査する。

 俺たちは周りを警戒しながら拠点を組む。


「じゃあ私たちは行ってくるぞ!」

「ああ、頑張ってこい」


 Bランクパーティーの蒼火の剣が先遣隊についていけば安心だ。

 俺たちは襲ってくる魔物を間引きして先遣隊が帰ってくるのを待つ。

 だが先遣隊は戻ってこない。

 もう日差しは沈みかけている。


「ガンク殿、流石に遅すぎます」

「確かにな。カティン?」

「うむ。これは救助隊を出す必要がある」

「ですがカティン様、どうやってこの森の中で先遣隊を探すのです?」


 ここで俺は名乗り出る。

「俺が魔力波形で蒼火の剣を探す。そうすれば先遣隊は見つかるはずだ」

「なるほどな。ガンク、メンバーはどうする?」

「俺、サラ、カティン、バンズ、ラーナだ」

「なっ、五人で行くのか? それにサラはまだEランク冒険者じゃないか」

「あたしも行く!」


 カティンはさすがに渋る。

「ラーナはどう思う?」

「サラ殿は連れていくべきかと」

「何故だ?」

「サラ殿はレインブルク一族です」

「なっ!」


 カティンはそれを聞いて驚いた表情をする。

「それにあたしなら森の地理もわかるわ!」

 

 ちなみにバンズはカティンの取り巻き騎士だ。

 騎士の癖に魔法使いというよくわからん奴だがな。

「ふむ。カティン様は絶対にお守りする。ガンクはサラとラーナ殿をちゃんと守るのだな」

「分かってるよ」


 こうして、先遣隊の救助に向かう面々が決まった。

 俺たちは蒼火の剣の魔力波形を辿りながら進む。


「まずいぞ。あの四人の体力が尽きかけている!」

「他の騎士たちはどうだ?」

「……」


 俺は無言で首を振る。

 それにしても蒼火の剣を手玉に取る魔物なんてそうそういない。

「漆黒の魔獣、か」


 俺たちは木々をかき分けて、出てくる魔物を討伐しながら進む。

 ゴブリンやキラーラビットのような優しい魔物ではない。

 ジャイアントスパイダーの上位種やオークジェネラルも見られる。


 そして森の開けた場所に着いた。

 花畑が赤い血に染まっている。

 石碑には倒れるナランと蒼火の剣の三人。

 他の騎士たちは事切れていた。


 漆黒の魔獣は赤い目に漆黒の体毛、筋肉が異常に肥大していた。

 間違いない。サラが過去に語っていた魔獣だ。

 俺はサラを見ると体が震えて、座り込んでいた。


「なっ、なんという存在感の魔獣だ」

「こんな魔獣がいるとは」


「カティン、タンク役を頼むぞ。バンズ、補助魔法を頼む」

「……わかった」

「カティン様は死なせない!」

「ラーナ、遊撃だ」

「サラ殿はどうするのです」

「俺が守る。だが俺も戦闘には参加する」


 サラにはトラウマがある。だから……と思っていたが、サラは立ち上がった。


「あたしも戦う。一人じゃなくて……ガンクと」


 サラは先ほどまでの怯えた表情ではなく、きりっとした顔になっていた。

 うん。ちゃんと覚悟を決めた顔だ。

 前は、一人って言ってたが今は違う。

 サラ、成長したな。


「良し! まずは蒼火の剣を助けるぞ!」

『おう!』

『はい!』


 皆の声がこだまする。ここにきていいチームになってきたな。

「が、ガンク。ダメだ。あいつは強すぎる」

 意識を取り戻したナランがこちらに言ってくる。


 俺は素早く、ナランたちを花畑から移動させる。

 四人を担ぐのはきついが、俺は全力を出さなくてもパワーはある。


 その間にカティンが漆黒の魔獣の気を引いていた。

「我こそはカティン! 漆黒の魔獣よ。いざ尋常に勝負!」

「グオオオオ!」


 カティンは大槍と大盾を構えて突進を受けようとする。

 だが漆黒の魔獣はフェイントをかけて、大盾を躱す。

 カティンは後ろからの爪攻撃を何とか躱す。


「くっ。こやつ、強いぞ!」

「確かに速いですが……わたくしよりも早く動けるでしょうか?」


 ラーナが転移で後ろに回り、メイド服の中から出した暗器を頭めがけて投げる。

 漆黒の魔獣は見てもいないのに首を曲げて、暗器を躱す。

 ちぃっ。なんだあの魔獣。気配探知のスキルでも持っているのか?


 俺は漆黒の魔獣の魔力波形を辿って、驚愕する。

 この魔獣とサラは血縁関係にある。とても魔力波形が似ているのだ。


 次話に続く。






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