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『呪われた元英雄は育成力もSランク~落ちこぼれの教え子を育てて「英雄」にしたら俺から巣立ってくれない』  作者: マロン64
第一章 サラ編

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第十二話 ダメおっさん、マルクの街の森に向かう

「貴様がCランク冒険者のガンクか。野蛮な冒険者たちはしっかり手綱を取っておけよ」

「ああ? あんたがクソ師匠の所の領軍の指揮官か?」

「な⁉ クソ師匠だと? クロイ様を愚弄しおって!」

「あ?」

「はあ?」


 俺とマルクの街の領軍の指揮官がメンチを切りあう。

 だが、割って入ったのはこの人。

「きっとこうなるだろうと主は申しておりました」

 

 黒髪美人メイドのラーナだった。

「ら、ラーナ殿? 何故ここに」

「主の命でガンク殿のお目付け役です」

「なんで俺なんだよ!」


 領軍の指揮官はカティンというらしい。

「ですがこれ以上くだらない喧嘩をするなら、カティン殿は指揮官から外れてもらいます」

「な⁉ わ、わかった」


 おいおい、領軍の指揮官より権限が大きいメイドって何者だよ。

 俺は癖で魔力波形を計ろうとするのをやめる。

 ちなみになぜ魔力波形を計ろうとするかというとある程度の相手のステータスがわかるからだ。


 魔力はどれくらい多いか。体力やスキルなんかもおぼろげにわかる。

 まあ予測だがな。異世界の勇者はハッキングって言ってたけどどういう意味だ?


 冒険者たちは数が足りないのでFランク冒険者から参加している。

 Cランク冒険者は俺だけで大半はDランク冒険者。

 Bランク冒険者も蒼火の剣だけだ。


 ちなみにカティンはかなりうっとうしいが、中々強い。

 具体的にはBランク冒険者の体力やスキルくらいはある。

 背中に大槍、左腕に盾を持っている。

 体幹や体の捌きも悪くない。

 まあ嫌いだけどな。


「ふん! 行くぞ!」

 カティンの号令で領軍と冒険者たちは進み始めた。


 領軍と冒険者は険悪な仲だ。

「ふん、なぜ冒険者など雇うのだ」

「ああ? 騎士様に森はわかるのかな?」

「何だと⁉」


 進軍しながら各地でこういうやり取りが頻発している。

 大丈夫か? あのクソ師匠、こんな貴族上がりの騎士ばかり集めて何を考えてやがる。


「主はガンク殿がしっかり指導してくれると期待していました」

「はあ? あのクソ師匠」

 ラーナが小声で俺の疑問に答えてくれる。

 なんで騎士まで俺が育てなきゃならんのだ。


 そうこうしているうちに森の入り口に着いた。

「カティンどうするんだ?」

「ふん、領軍だけで事足りる。冒険者たちは森の外で待機だ」

「……」


 カティンの指示にラーナが俺を無言で見る。

 まあ俺は騎士たちに何の思い入れもないから死んでもらっても構わない。

 だが、クソ師匠からラーナを借りてきた。借りがあるからそれは出来ないんだよな。

 ちっ。しょうがねえ、働くとしますか。


「ダメだ。領軍の騎士三人に冒険者を二人つける」

「そんなもの!」

「カティン殿」

「……何故だ、ガンク」

「騎士たちは森の地理に詳しくない。それを案内できるのは冒険者だけだ。道案内ができれば騎士たちは魔物に負けないだろう?」


「ほう。Cランク冒険者にしては良い考えだ。採用しよう」

 

 考えはこれだけじゃないぜ。今の騎士団と冒険者は仲が悪すぎる。

 それはお互いの実力を知らずに偏見を持っているからだ。それをまずは解消する。

 後は、騎士たちがフルプレートの鎧を着ているが、それは森では無駄だと知ってもらう狙いもある。まあ冒険者なら森の地理は大体わかるから案内できるのは嘘じゃない。


 そしてサラと俺で組ませられるように冒険者二人と言ったという理由もある。

 俺たちはサラと俺、カティンとその取り巻きとラーナで森に入る。

 領軍は騎士団三百人、冒険者二百人だ。


 森の外に五十人を残して進軍する。

「ほら、森の木に目印が巻いてある。これが無いと森の中で迷います」

「……」


 解説をしながら森の中腹部を目指す。

 何度も魔物の襲撃を受ける。

 役割としてはサラと俺が先に進み、魔力波形で魔物を探す。


 周囲から襲ってくる魔物はカティンと取り巻き一人が倒す。

 ラーナは後詰めだ。


 ゴブリンやキラーラビットに加えて大きい魔物ではオークもいた。

「ブオオ!」

「サラ! あいつの脚を狙え! カティンは倒れ込んだオークに攻撃!」

「……わかったわ!」

「この私に指図するでない!」


 サラが鉄のショートソードに魔力層を纏わせ、無駄のない足さばきでオークの腱を切断。カティンは文句を言いながらもランスで突進し、頭に槍を刺す。

 うん、だんだん連携が取れるようになってきた。


 もう一人の取り巻きは魔法使いで俺たちに補助魔法を掛けてくれる。

「ガンク殿は戦わないのか?」

「ああ? 俺は呪いがあるから、まだ戦わない」

「ふん。腰抜けが」

「何とでも言ってくれ」


 俺は取り巻きの悪口を受け流す。

 まだ本気は出せない。


 俺たちはマルクの街の森の中腹部に到着する。

 他のパーティーも合流してきた。

「ふん。冒険者もやるではないか」

「騎士様も意外と実力はあるんだな」

「意外とはなんだ!」

「ああ?」


 まだ喧嘩腰だが、段々と息がそろってきたようだ。

 俺たちは森の開けた場所で昼食を取る。


「おーい! ガンクの作った飯が私は食べたいぞ!」

「あたいの胃袋はペコペコだぜ!」

「……騎士のお守りは疲れる」

「でも騎士も意外と仕事はするんだぜ。わっちはサンドイッチが食べたいぞ!」


 何故か、蒼火の剣もこっちに来た。

 だが俺はサラに聞く。


「サラ? 何が食べたい?」

「……ハンバーガー」


 サラは知らない人の所では無口になるからな。

 さっきまでちゃんと周りと連携して戦っていたしこれくらいのご褒美はないとな。

「良し、ハンバーガーだ!」


 俺はカティンたちにハンバーガーを見せつけるように、サラと蒼火の剣、ラーナにも渡す。

 物欲しそうな顔をするならちゃんと一言あるよな?


 次話に続く。


小説をいつも読んで頂きありがとうございます。面白かった、また読みたいという方は高評価やブックマークをお願いします。作者の励みになります\( 'ω')/


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