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二十七話

伝説の24時間配信から数ヶ月。登録者数350万人を突破し、名実ともにVTuber界の頂点へと上り詰めた駆とみずきの元に、とんでもないオファーが舞い込んだ。

キー局の地上波ゴールデンタイムにて、VTuberとして史上初となる『生放送冠バラエティ特番:みるくちゅーにゅうの深夜にツッコんで何が悪い!』の放送が決定したのだ。

「地上波……しかも生放送……!? 赤坂さん、事故ったらテレビ局ごと吹き飛ぶぞ!?」

自室で台本を握りしめ、冷や汗を流す駆。

『ご安心くださいヒューガ様。スタジオには巨大モニターを設置し、超大物お笑いタレントの司会者様と豪華芸能人ゲストをお迎えしております。いつも通り捌いていただければ問題ございません』

「その大物芸能人に失礼なボケをかます未来しか見えないんだよ天宮さんが!!」

――迎えた生放送当日。20時55分。

テレビ局の豪華なスタジオには、巨大なLEDモニターが鎮座し、スタジオ観覧の客席と大物司会者・大河内(おおこうち)さん、そして豪華芸能人ゲスト陣が勢揃いしていた。

『3・2・1……生放送スタートです!』

「さあ始まりました! 『みるくちゅーにゅうの深夜にツッコんで何が悪い!』MCのヒューガです!」

「こんミルク〜! 地上波の電波をジャックしに来ました天宮ミルクです〜!」

「ジャックすな!! 正当なオファーで出演させてもらってんだよ!! 電波法を守れ!!」

【地上波きたあああああ!】

【お茶の間にヒューガの叫び声が響き渡ってるww】

【画質が綺麗すぎて草】

【大河内さんが笑いを堪えてるぞww】

Twitter(X)のトレンドは開始数十秒で日本1位を記録。

大物司会者の大河内さんが笑いながらマイクを向けた。

「いや〜、ヒューガ君! いつもYouTube見てるけど、本当にキレがあるねぇ! ミルクちゃんも画面から飛び出してきそうな可愛さだ!」

「ありがとうございます大河内さん! でもこいつ、見た目に騙されると痛い目見ますよ」

「え〜そんなことないですよ〜! ミルク、大河内さんのために今日はお近づきの印に『手作りの和菓子』を持ってきたんです!」

駆の嫌な予感が最高潮に達する。

「……天宮さん、手作りの和菓子ってなんだ?」

「はい! 『キャベツの練り切り・いちごミルクあん包み』です!」

「またキャベツかよ!! 和菓子にまでキャベツ侵食させるな!! 大物司会者に奇食を献上するんじゃない!!」

「ハッハッハ! キャベツの練り切り!? 斬新だねぇ!」

大河内さんが腹を抱えて大爆笑。スタジオの芸能人ゲストたちも大爆笑で崩れ落ちる。

【wwwwwwwwwwww】

【地上波でもブレないキャベツタルト精神】

【大河内さんが大気に入りしてて草】

【ヒューガの胃痛が全国に放送されている】

番組は怒濤のスピードで進行し、中盤の『芸能人のお悩みにツッコめ! コーナー』へ。

大人気俳優のゲストが「最近、セリフがうまく覚えられなくて……」と相談すると、

ミルク「大丈夫です! セリフを全部『キャベツ』に置き換えて言えば、雰囲気で乗り切れます!」

「乗り切れるか!! 劇中で全員がキャベツ連呼してたらホラー映画になるだろ!! ちゃんと台本読め!!」

さらに、スタジオにリモートで突撃してきた鳳凰院カグラと星空ルチアが画面に乱入。

カグラ『我が暗黒の魔力で、このスタジオの照明を消し去ってやろう!』

「生放送のスタジオを暗転させるな!! 放送事故になるだろ!!」

ルチア『AIの計算により、地上波の視聴率を100%にする方法が判明しました! ヒューガ先輩が今すぐスタジオでバク転をすることです!』

「画面の中の3Dモデルがどうやってリアルのスタジオでバク転するんだよ!! 物理法則を無視するな!!」

スタジオのセットが揺れるほどの爆笑の渦。

番組中盤、リアルタイム視聴率がなんと22.5%という脅威的な数字を叩き出した。

エンディング。大河内さんが感極まったように拍手を送る。

「いやぁ最高だった! ヒューガ君、ミルクちゃん、ぜひレギュラー化しよう!」

「大河内さんありがとうございます! ……でもレギュラーになったら僕の寿命が毎週削れるので、月一くらいでお願いします!!」

「そこ交渉すんのかよ!!」とスタジオ全員から突っ込まれ、生放送は大盛況のうちに幕を閉じた。

――生放送終了後。テレビ局の屋上ヘリポート。

夜景が一望できる静かな場所で、駆とみずきはパイプ椅子に座り、缶のジュース(みずきはいちごミルク)を飲んでいた。

「ふぅ……生放送、生きた心地がしなかったわ……」

「えへへ、でも日向くん、すっごく格好良かったですよ! 地上波でも一番輝いてました!」

みずきが夜風に髪をなびかせながら、嬉しそうに微笑む。

「……お前が地上波でも容赦なくボケるからだろ。まったく、度胸だけは天下権現だな」

「だって、どこに行っても日向くんがツッコんでくれるって信じてますから!」

みずきは缶をかかげ、夜空の月に向かって宣言した。

「次は、地上波を飛び出して『全宇宙生放送』ですね!」

「だから宇宙規模に広げるな!! エイリアン相手にツッコミ入れられるか!!」

テレビ局の夜空に響き渡る、いつもと変わらない最高の叫び声。

YouTubeから地上波へ、そして世界の果てへ。

二人の「終わらない事故配信」は、これからも最高速度で疾走し続けていく。

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