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白き天使と金色の竜眼Ⅰ  作者: 蒼空れっど
第四章 学年別対抗戦編
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第62話 首席の班

 一回戦を終えたユウたちは、試合区域の外へ戻っていた。


「勝ったな!」


 カイルはまだ興奮が収まらないらしく、木剣を返却したあとも何度も試合場を振り返っている。


「さっきからそればっかりだよ」


 リリアが笑った。


 ユウも小さく息を吐く。


「ユウ、大丈夫?」


「うん。少し魔力は使ったけど、まだ平気だよ」


 何度も《光障壁》を使った分の疲れはある。


 けれど、以前ならもう少し身体が重くなっていた気がする。


 魔法を使える時間も、少しずつ伸びているのかもしれない。


「最初にロイドさんを場外にできたのが大きかったですね」


 エステルが言った。


「四対三になったら、一気に動きやすくなったもんな」


「でも最初は大変だったね。四人が別々に動くから、どこを見ればいいのか迷ったよ」


 ユウは先ほどの試合を思い返す。


 一体の魔物へ四人で向かうのとは、まったく違った。


 その時、試合場から教師の声が聞こえた。


「次の試合を行います。アレン・クロイス、セリア・ノルヴァ、ルーク・ハイネ、ディン・カルス」


「あっ」


 ユウが顔を上げる。


「アレンたちだ」


「ちょうどいい。見ていこうぜ」


 カイルもすぐに試合場へ目を向けた。


     ◇


 アレンたち四人が試合区域へ入っていく。


 向かい側にも四人の生徒が並んだ。


 二人が武器を持ち、その後ろに杖を構えた二人。


 アレンは木剣を握り、セリア、ルーク、ディンが少し距離を取って並ぶ。


「双方、準備はいいですね」


 教師が確認する。


「――始め!」


 相手の前衛二人が同時に走った。


 一人はアレンへ。


 もう一人はルークの方へ向かう。


 その瞬間、セリアが杖を地面へ向けた。


「大地よ、道を分かて――《岩路》!」


 中級魔法《岩路》。


 低い岩の隆起が斜めに連なり、走っていた生徒の進路を狭める。


「くっ!」


 相手が空いている方へ方向を変えた。


 そこへディンが杖を振る。


「流れる水よ、その足を捕らえよ――《水帯》!」


 中級魔法《水帯》。


 細長い水の流れが地面を走り、相手の足元へ絡みつく。


 踏み込みが鈍った。


「雷よ、弾けろ――《雷弾》!」


 初級魔法《雷弾》。


 ルークの杖先から小さな雷球が放たれる。


 相手は《水帯》から足を抜きながら、反対側へ大きく避けた。


 だが、そこにはセリアの岩がある。


「うわっ!」


 体勢を崩し、区域の端までよろめく。


 ディンがもう一度杖を動かした。


 足元に残っていた《水帯》が横へ流れ、踏ん張ろうとした足をさらう。


 生徒はさらに二歩よろめき、そのまま身体全体が試合区域の外へ出た。


「一名、場外!」


「早い……」


 リリアが目を丸くした。


 ユウも試合から目を離さない。


 セリアが進める場所を限定した。


 ディンが足を鈍らせた。


 ルークが避ける方向を作った。


 ほとんど声を掛け合っていないのに、三人の動きがつながっている。


「みんな、次に何をするのか分かってるみたい」


「遠征の時より速いな」


 カイルも真剣な顔で見ていた。


 その間にも、アレンは相手の前衛と剣を交えている。


 相手が横から木剣を振る。


 アレンは半歩だけ下がった。


 空を切った剣が戻るより早く、一歩踏み込む。


 相手もすぐに突きを放った。


 アレンは身体を僅かに外へずらす。


 ユウには、一つ一つの動きがはっきり見えていた。


 相手の剣へ木剣を添え、外側へ流す。


 崩れた手元。


 空いた正面。


 次の瞬間には、アレンの木剣の先が相手の胸元で止まっていた。


「……降参する」


「一名、降参!」


「すごい……」


 ユウが思わず呟く。


 速い。


 けれど、それだけではない。


 相手が動いたあとに対応しているようで、その次にどこが空くのかまで分かっているように見える。


 残りは二人。


 後方にいた魔法使いが杖を構えた。


「炎よ、連なれ――《火連弾》!」


 初級魔法《火連弾》。


 三つの小さな炎が、アレンたちへ向かって飛ぶ。


「散って!」


 セリアの声と同時に四人が動いた。


 一発をアレンがかわし、もう一発をディンが水流で逸らす。


 最後の一発をセリアが横へかわす。


 その時には、もうルークが駆け出していた。


「雷よ、その身を駆けよ――《雷歩》!」


 中級魔法《雷歩》。


 足元に小さな雷光が走り、ルークの身体が一気に加速する。


「速っ!」


 カイルが声を上げた。


 相手が杖を向け直す前に、ルークが横を抜ける。


 背後へ回られた生徒は慌てて距離を取ったが、その先には試合区域の線があった。


「止ま――」


 ぎりぎりで踏み止まる。


 だが、その足元へディンの《水帯》が走った。


 踏ん張りを崩され、そのまま身体全体が試合区域の外へ出る。


「場外!」


 最後の一人が周囲を見回した。


 正面にはアレン。


 左右にはセリアとルーク。


 後ろではディンが杖を構えている。


 しばらく迷ったあと、静かに杖を下ろした。


「……降参します」


「試合終了!」


 教師が手を上げる。


「勝者――アレン・クロイス班!」


 実技場から拍手が上がった。


     ◇


 戻ってきたアレンへ、ユウがすぐに近づいた。


「アレン、すごかった!」


「ありがとう」


 アレンが少しだけ表情を緩める。


「でも、相手の剣を外へ流したあと、もう少し早く入れたと思う」


「またそれかよ」


 後ろからルークが呆れた声を出した。


「勝ったんだから、今くらい喜べばいいだろ」


「本当です」


 セリアも小さく息を吐く。


 ディンは苦笑しながら掲示板へ目を向けた。


 そこには、アレンたちの勝利を示す印が新しく書き加えられている。


 ユウたちの名前の先にも、同じ印があった。


 二つの班が、それぞれ次の試合へ進んでいた。

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