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白き天使と金色の竜眼Ⅰ  作者: 蒼空れっど
第三章 学院遠征編
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第41話 十二人の合同班

「……あった」


 廊下の掲示板を上から順に追っていたカイルの指が、一枚の紙の途中で止まった。


『一年生学院実地遠征 合同班編成』


 朝から多くの一年生が集まり、自分の名前を探している。


「どこ?」


 リリアとエステルも隣へ並んだ。


 ユウは少し後ろから、カイルが指している場所を覗き込む。


『第三合同班』


 最初に並んでいたのは、見慣れた四人の名前だった。


 ユウ・リシェル。


 リリア・フェルナ。


 カイル・フェルド。


 エステル・ヴァレイン。


「ここまではいつも通りだね」


「問題は次だな」


 その下には、もう一つの四人班。


 レオン・グレイヴ。


 トーマ・ベルク。


 シオン・ラディア。


「……レオンたちだ」


「また一緒か」


 少し離れたところで同じ紙を見ていたトーマが反応した。


「それ、こっちの台詞なんだけど」


 リリアが返す。


「別に嫌とは言ってないだろ」


「私も言ってないよ?」


「じゃあいいだろ」


「朝から何をしてるんだ」


 レオンが間へ入った。


 三人と同じ班の最後には、


『ミナ・ロウェル』


 という名前がある。


 短めの茶色い髪をした少女が、レオンたちの少し後ろで掲示を見ていた。


「五日間なんだから、始まる前から言い合わないでよ」


「まだ言い合ってない」


「今のうちに言っておいただけ」


 ミナは淡々と答えた。


 シオンが小さく頷く。


「合理的です」


「お前まで乗るなよ」


 三人のやり取りを聞きながら、ユウはさらに下へ視線を移した。


「あ」


「どうしたの?」


「アレンもいる!」


 最後の四人班の先頭には、


『アレン・クロイス』


 と書かれていた。


「本当だ」


 リリアも名前を確認する。


 その下には、見覚えのない三人。


『セリア・ノルヴァ』


『ルーク・ハイネ』


『ディン・カルス』


「別のクラスの班ですね」


 エステルが言った。


「アレンと一緒なんだ……!」


 先日きちんと話したばかりだが、知っている相手が同じ合同班なのは素直に嬉しかった。


「ノアは?」


 カイルが別の欄を探す。


「あった。第二合同班だ」


「そっちは別か」


 ちょうど本人も自分の名前を見つけたらしく、こちらへ顔を向けた。


「僕、そっちじゃなかったみたい」


「残念だね」


「でも遠征中は会うでしょ。同じ一年生の遠征なんだから」


「うん!」


 ノアは第三合同班の欄を見た。


「そっち、知ってる顔多いね」


「知らない人もいるよ」


「それが遠征の目的の一つなんでしょ?」


「そうだったね」


 五日間。


 この十二人で行動することになる。


     ◇


 放課後、第三合同班の十二人は一つの教室へ集められた。


 三つの四人班が、それぞれ近い位置へ座っている。


「一緒になったね、ユウ」


 別クラスから来たアレンが声をかけた。


「うん! よろしく、アレン」


「よろしく」


「この前の足場、また試してる?」


「少しずつ。前より安定したよ」


「見たい!」


「遠征の話が先じゃないか?」


 カイルに言われ、ユウは前を向いた。


「あ、そうだった」


 教壇に立ったクラリスが十二人を見回す。


「今日は顔合わせと、三つの班がそれぞれ何を得意としているのか確認してもらいます」


 黒板へ三つの言葉が書かれた。


『できること』


『苦手なこと』


『他の班に任せられること』


「最後のも必要なんですか?」


 カイルが尋ねる。


「十二人いるのに、自分たち四人だけですべて行う必要がありますか?」


「あ……」


「四人で行動する時と、十二人で行動する時では使える力も変わります。自分の班で足りないものを、別の班が得意としているかもしれません」


 灰牙狼との戦いでは、四人の魔法をつないだ。


 今度は三つの班で五日間を過ごす。


「まず、簡単に自己紹介をしましょう」


 互いをよく知らない者を中心に、名前と得意なことを伝えていく。


「ミナ・ロウェル。主に風を使うよ。よろしく」


 続いてアレンの班。


「セリア・ノルヴァです。土属性を主に使います。よろしくお願いします」


「ルーク・ハイネ。雷が得意。あと走るのも結構速い。よろしく!」


 ルークはすぐにカイルの腰の剣へ目を向けた。


「剣使うの?」


「使うぞ」


「近接?」


「火も使う」


「へえ。遠征中に実技あるかな」


「お前もそういうの好きそうだな」


 最後の少年が二人を一度見てから名乗る。


「ディン・カルス。水属性。よろしく」


「それだけ?」


 ルークが聞く。


「必要ならあとで話す」


「静かだなあ」


「ルークが喋りすぎなんだよ」


 セリアが横から言った。


「それは否定しない」


 自己紹介が終わると、四人班ごとに一枚の紙が配られた。


「得意なことか……」


 カイルが腕を組む。


「前衛はカイルだね」


「そこは決まりだな」


「リリアは水で動きを崩すのが得意ですね」


「エステルは足止めと補助かな」


「ユウは防御と、周りを見ることじゃない?」


 リリアの言葉に少し考える。


「うん。声をかけることもかな。でも、魔力を使いすぎないようにするのはまだ課題だね」


「灰牙狼の時、ほとんど残ってなかったもんな」


「そこはもっと考えたい」


 紙へ少しずつ書き込んでいく。


 その途中で、ほかの二班へ目を向けた。


 風。


 土。


 雷。


 同じ属性でも、自分たちとは違う使い方がある。雷のように、四人では扱ってこなかった属性もある。


「みんな、得意なことが違うんだね」


「嬉しそうだね」


 リリアが言う。


「だって、同じ魔法でも使い方が違ったり、僕たちが知らないことを得意な人がいたりするんでしょ? どんなふうに動くのか見てみたいな」


「逆に、向こうが困った時は私たちが手伝えますね」


「うん!」


 その言葉を聞いたクラリスが口を開く。


「それを忘れないでください」


 十二人の視線が集まった。


「合同班は、三つの班の優劣を決めるために作ったものではありません」


 黒板の、


『他の班に任せられること』


 へ線が引かれる。


「自分たちでできることを知るのと同じくらい、誰かに任せられることを知るのも大切です」


     ◇


 確認を終えた頃には、三つの班の間でも少しずつ会話が増えていた。


 クラリスが三枚の紙を集める。


「合同班ごとの同行教師や詳しい役割については、今後説明します」


 そして十二人を見る。


「遠征中の五日間、この十二人が第三合同班として行動します」


 ユウも改めて周囲を見た。


 リリア。カイル。エステル。


 レオンたち。


 アレン。


 そして、まだほとんど話したことのない生徒たち。


 全員のことを知っているわけではない。


 だからこそ、これから知っていけばいい。


「よろしくね」


「よろしく!」


 ルークがすぐに返した。


「よろしくお願いします」


 セリアが続き、アレンも頷く。


「よろしく、ユウ」


 レオンは少し間を置いてから口を開いた。


「……まあ、同じ合同班になった以上は協力する」


「うん!」


「それが目的ですから」


 シオンが静かに続ける。


 トーマが隣を見る。


「シオン、それ今日二回目じゃないか?」


「必要だから言っています」


「五日間ずっとそんな感じ?」


 ルークが尋ねた。


「たぶん」


 ミナが先に答える。


「お前が答えるのかよ」


「だいたい分かるから」


「……五日間、長そうだな」


「それ、始まる前に言わない方がいいよ」


 今度はリリアがトーマへ返した。

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