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ブベルデン王の来訪③

「結論はどうなったんだ?」


ラファイルがたずねると、ヴァルキリーが答えた。


「結論からいいますと。この国で生活することになりましたよ。しかも王宮領内で」


「ええ~どうしてそうなるのお兄様。仲直りしたのならトルシャンベル国に戻れるんじゃないんですか?」


「シャナー、そうすればルコッテ王女はお前の伯父上と別れないといけなくなるんじゃないのか?」

「どうしてですか?」

「いや、一応身分差とかそういう問題があるだろ」


「ええ~そんなの王様の力で何とでもなるんじゃないんですか? 身分違いといえば私や殿下もそうですよね。ということは…私たちもいずれは破談になるのですか。そうなったら私も傷心のままどこかに旅にでたほうがいいのかしら」


シャナーがあらぬ方向に妄想しだしたのをラファイルが全力で阻止しようと説得している。


「シャシャナー、この国は大丈夫だよ貴族制度がないんだし、父上も母上も大賛成しているしね」


「ですが他のかたが」


「とにかくシャナーは何も考えなくてもいいよ。僕はきみとしか婚姻する気はないしね。それより今は三人の今後じゃないかな」


ラファイルが必死でシャナーの思考をそらそうとあれこれ言う言葉をシャナーは納得がいかないという顔で聞いていたが、目先の気がかりのことに頭を切り替えたようだ。


「あっそうですよね。私たちのことはまだまだ先の話ですしね。でも伯父様は、この国で生活するとして仕事はどうするんですか?」


「ああ、ラース殿が陛下からの依頼書を既に持参していてな。貿易関係の仕事をするよう手配しているようだったぞ」


「どうしてそんなに根回しがいいんですか? この国にきたのも伯父様の気まぐれなんじゃないんですか。大体タイミングがよすぎる気がするんだけど。どうしてブベルデン王はずっと行方不明だった娘がここにいることがわかるんだろう。考えれば考えるほどおかしい。そう思いませんか殿下!」


「そうだな。確かにおかしいよな」

「ようするにルコッ王女は全て父親の手の平の上で泳がされていただけなんじゃないのか?」


「つまり、全部ルコッテ様の行動が監視されていたってことですか? 子どもも生まれていたっていうのにそのまま放置しておきながら今になってどうしてしゃしゃり出てきたっていうんですか?」


「ブベルデン王から父上に数年前から依頼が来ていたようだな。もし伯父上が訪ねてきたり連絡がきたら報告してほしいとな」


「それでお父様は連絡をしたのですか?」


「そうらしいな、船で一日だからなトルシャベルは、まあ伯父上も本来のんきな性格だからな仕事を紹介してくれと父上に頼みにきたんで俺の所に行くように連絡してきたようだな。まっ父上の家で十日ものんびりしていたらブベルデン王がこの国にくる手筈も十分できるってもんだよな。昔から能天気な所があったけど、変わってないな」


「でもおばあ様は知らなかったみたいよね。おばあ様にはどうして連絡をしてこなかったのかしら」

「ロケリアでは死んでいることになっているからな」

「でも…なんか納得いかないわ。だってさっきの様子だったら、何が何でも連れ戻すって雰囲気だったじゃない」


「ああ、たぶんためしたんじゃないかな。お二人がどうでるのかをね」


そういったヴァルキリーだったがシャナーはまったく不満そうだった。


「そうだな僕も納得いかないな。連絡をもらって慌ててきたにしては、どうして今まで放置していたんだろう」


「それはたぶん王妃さまの目があったからじゃないかな」


「王妃さまってルコッテ様のお母さまじゃないの?」


「どうやら違うみたいだな。ルコッテ王女は城仕えの使用人との間に出来た娘だそうだよ。歳をとってからできた子で子どもは全て王子だったからすごい可愛がっていたようだったんだけどな、王妃様からの嫉妬のいじめがすさまじかったようだな」


「だから城出をなさったんですね」


「そのようだな、今になってきたのは、王妃様が亡くなられたからだろうな。ルコッテ王女の母親は既に死んでいるようだけど、彼女が王女であることは明白なんだから、そろそろ戻ってこいっていうのが本音なんじゃないかな。だけど、それが嫌なら別の安全な生活をさせてやりたいって、いい王様だと思うけどな。普通自らきたりしないんじゃないかな」


「そうかもしれないけど、でも…」


「まっ、ブベルデン王は最愛の娘の返答次第でさまざまな援助方法を色々考えていたってことなんじゃないのか? まっこんなにすんなりうまくいったのは陛下の采配ってことでいいんじゃないか。それとまあおばあ様がご存命だったってことも大きいと思うけどな。ブベルデン王のあの様子からすると」


ヴァルキリーがそう答えると突然扉からジェルドの声が聞こえた。


「まっその通りってわけだ。これからよろしくな。あっ今から食事をみんなで食べようってなったんだが、殿下もシャナーも食べていくだろ?」


「私たちもいいの?」


「ああ」


「でも伯父様、陸での仕事大丈夫なのですか、どこかへ行きたくならないかしら? 今まで自由に生きていらしたんでしょ。窮屈じゃないんですか?」


「ああ、さっき軽く仕事内容を聞いたら貿易の仕事で年に数回買い出しに船で異国へ周回に行く仕事もあるらしいしな。王宮領内なら、ルコッテとマデリーヌを置いて行っても安心だしな。いや~お前が殿下と婚約してくれていて助かったよ」


「それをいうなら絶対おばあ様のおかげよきっと」


「それもそうだな。自分の母親ながら、あの男意気、頭があがらないよまったく。相変わらず最強だな」


「男意気?」

首を傾げるシャナーにヴァルキリーがブベルデン王とサフェリアの過去を軽く話し始めた。


「ああ、大けがした家出少年を必死で看病した挙句、腐りきっていた性根を叩き直して、また、本来あるべき場所に送り届けるなんてな。惚れてしまった相手に出来ることじゃないな」


「ねえその話、詳しく知りたいわお兄様」


「ああ~それ以上はおばあ様にはぐらかされて聞けなかったんだよな」


「ええ~残念! 屋敷に戻ったらなんとしてもおばあ様に聞かなきゃ!」


「そうだな、僕も参考までに聞いておきたいな」


ラファイルもシャナーの意見に同意しているようにうなずいていた。


「別にも婚約破棄の危機も、結婚に反対している者もいるわけでもないシャナーには縁がない話なんじゃないのか?」


「まあ、お兄様それは違いますわ。私だってそれなりに悩んでいるんですからね」

「何をだ?」

「殿下との婚姻ですよ」


「ちょっちょっと待てシャナー、それは聞き捨てならない言葉だぞ」

「あっ殿下には関係ないですから」


そう言ってシャナーは先に部屋を出て行った。


「いやいや関係おおありだぞ。シャナー!」


ラファイルがその後を追いかけて二人はなぜか口論を始めながら食堂へと仲良くむかって言った。

その様子をヴァルキリーとジェルドはため息交じりに後を追った。





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