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私が殿下の婚約者!

「あの…ラファイル様、本当にあのように啖呵を切って大丈夫だったのでしょうか?」


「父上にはあれぐらいはっきり言わないと勝手にどこかの王女との縁談を進められてもこまるからな」


「ですがあれでは完全に誤解されてしまいましたよ。どうするんですか」


「どうするもこうするの、僕は構わないぞ、お前の双子の妹と婚姻しても」


「はあ? まだあった事もない平民と結婚なさるとおっしゃっているのですか?」

「お前と同じ顔なんだろ?」


「頭大丈夫ですか? 性格が最悪かも知れませんよ。贅沢三昧をしてサフォンヌ王家の財産を食いつぶすかもしれませんよ」


「そんなにすごいのかお前の妹は? ぜひ会ってみたいものだな。カミール、お前は心配しすぎだ。父上は今夜僕がどう振る舞うのか面白がっているだけだよ」


「おもしろがる?」


「そうだよ、ビアンカ王女をどう追い払うかってな。だから僕が今夜お前を連れてきた事に対してラベリー家に何か言ったりはしないから安心しろ。それよりも、ビアンカ王女を何とかしないと、そうだ! ラブラブな所を見せるっていうのはどうだ?」


「無理でしょうね。あのタイプは欲しい物は手段を選ばないタイプですよ。私は顔バレしてますし…まあ、ラベリー家はもう既にロケリア国では一切商売をしていませんから、被害を被ることはないと思いますが」


「お前の兄は大丈夫なのか?」


「あっ言っていませんでしたね。今はすごいパワフルでワイルドになってますよ。正直今の兄上の方がいい感じなんですよ。王女の好みではないと思いますけれど。王女が今度我が家に何かしてきても我が家は大丈夫だと思いますよ。この間の台風被害も兄上がすぐに対処してくれて持ち直したようですし、頼りになるんですよ」


「そっそうか、じゃあ大丈夫だな。さてどうするかだな。何か対策はあるか?」

「そうですね。じゃあ…陛下には巨乳アレルギーになるっていうのはどうですか?」

「はあ? なんだそれは」


「ご存じないかも知れませんけれど、彼女の自慢はあの大きな胸なんですよ。これ見よがしに胸を強調する衣装を着ているでしょう」


「そうだな、だが大きすぎるような気もするがな、あれでは歳をとったら垂れると大変だろうな」


「プッ、本当ですね」

「なっ何がおかしいんだ?」


「いえ別に、ほら近づいてきましたよ。いいですか、もし彼女に触れられたら大げさにかゆがってくださいね。もしくは、朝触られた所がかゆいみたいな事を言ってくださいね」


「そんな事をしたら、僕が変に思われないか?」

「後で、虫に刺されたとでもいえばいいじゃないですか?」

「そうか、かゆいと言えばいいんだな」


「そうです。どうせ私が側にいようがいまいがお構いなしに強引にアピールしてくるでしょうからね。既に私はあの女の眼中には入っていないみたいですしね」


「おっおい、カミール、僕から離れないでくれよ」

「大丈夫ですよ、命が危険になりそうなら助けてさしあげますから」

「ほっほんとうだな」


ラファイルはそう言いながらも掴んでいるシャナーの手を放そうとはしなかった。


「あら~殿下、昼間はどちらに行かれていたのですかあ~? 探したんですのよ~」


ビアンカ王女は取り巻きをたくさん引き連れてラファイルとシャナーの所に姿を現した。


「これはこれはビアンカ王女、申し訳ない、僕の婚約者を迎えに行っていたものでね」

「こっ婚約者? 殿下にそのような方がいらしたんですの?」


「まだ公にはしていないけどな。父上にも内密にしていたので、今夜集まってくださった方々には申し訳なく思っているのだ」


「そっそうなんですの?」


明らかに顔が引きつっている様子のビアンカ王女だったが、ラファイルの斜め後ろでうつむき加減で立っているその女性に初めて視線を向けた。


「もしかしてそちらの女性かしら? どちらのお国の王族の方かしら?」

「いや彼女は我が国の人間だよ。シャナー、こちらはロケリア国の王女ビアンカ嬢だよ」


ラファイルはそういうと、シャナーの腰に手を当てて一歩押し出すと、シャナーに視線を向けながら彼女をビアンカ王女とそこに集まっている取り巻き連中に紹介した。


シャナーはラファイルの隣に立つと一礼して顔をゆっくり上げて自己紹介をした。


「シャナー・ラベリーと申します。わたくし舞踏会に参加するのは初めてですので、失礼があればお許しくださいませ」


笑顔でビアンカ王女を見据えながら言うと、シャナーの顔を見て明らかに動揺して顔が引きつっていた。 


それもそのはずだ、四年前、ラベリー家で唯一ビアンカ王女に敵意をむきだしにして追い払おうとしたのが他でもないシャナーだったのだから、当時は幼い子どもということで相手にはされず、彼女には何のダメージを負わせうことができなかったが、今は違うのだ。


「あら、どこかでお会いしたことがあるかしら?」


「はい、兄と祖母が以前大変お世話になりました。その後お肌の調子はいかがですか? 少しくすんできたように見えますがお疲れなのではありませんか? 優秀な薬草使いの方がいらっしゃらなくなって大変ですわね」


「なっ! 何を言っているのかしら。この私を誰だと思っているの?」


シャナーに図星を衝かれたことがショックだったのか、持っていたセンスで顔を隠しながらすごい形相でシャナーを睨みつけた。


「シャナー失礼だよ、本当の事だとしてもね。ビアンカ王女、僕の婚約者が失礼な事を言って申し訳ない。実は彼女は優秀な薬草使いでね、いろいろ詳しいんだよ。彼女のおかげで僕はこの通り健康的に痩せることができてね。以前はニキビもすごかったのだが、今はすっかり消えてね。もう彼女なしでは生きていけないぐらいだよ」


「薬草使い?」


「まあ殿下、それは秘密だって言ったではありませんかぁ~。わたくしはまだ一人前ではないのですから」


「あっそうだったな。しかし可愛い婚約者の自慢ぐらい少ししたっていいだろ?」


ビアンカ王女の目の前でイチャイチャしだした姿をみたビアンカ王女が明らかに怒りでプルプル震え出した。


「ですが殿下、よろしいのですか? そちらの女性はただの庶民ですわよね。大国ファーマールズ王家に嫁ぐにはふさわしくないのではありませんこと」


「そうか? 僕はデリケートらしくてね。好意を抱いていない女性にやたらと体を触られると体が拒否反応を起こしてしまうようでね。今朝から首や腕がかゆくて仕方がなかったのでな、彼女にかゆみ止めを処方してもらったんだよ」


ラファイルの言葉でピンときたのか、ビアンカ王女の顔がますますプルプル震えているようだった。


その様子を遠巻きに見ていた他国の王女たちもビアンカ王女に遠慮してラファイル王子には近づこうとしてこなかったが、一人また一人とビアンカ王女から離れてラファイルとシャナーに近づいて興味津々に話しかけてきてあっという間に大きな輪ができた。


一人取り残されたビアンカ王女は怒り心頭で足早に去って行ってしまった。


その後、ラファイルとシャナーはひとしきり、大勢の王族たちに取り囲まれ、主にシャナーが質問攻めにあった。


シャナーは薬草の処方の事はまだ見習いの為アドバイスはできないとやんわりと断りを入れることにした。

ただ、ラファイルを痩せさせた経緯は、世話係の兄の食事管理と適度の運動の成果だから自分にはわからないと言葉を濁しておいた。


その頃、恥をかかされたビアンカ王女は怒りが収まらず、舞踏会もそこそこにロケリア国に戻るべく馬車に乗っていた。


「このわたくしにあんな恥をかかせて覚えておくがいいわ。それにしてもサフェリア・オーバルは死んだと報告が聞いていたけれど、まさか、跡継ぎがいたなんて。タナ、至急ラベリー商会を調べなさい」


ビアンカ王女は付き人にそう命令し、怒りが収まらないかのように馬車の中で絶叫していた。




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