第27話 変わる気持ちと伝わる気持ち
遅くなり本当にすみません!
今回は短いです。
姉貴が出てきた瞬間から見物客すべての視線は姉貴に集まり呆然と見惚れる。
かくいう俺自身も姉貴の姿に見惚れており、思考が戻る頃には儀式が始まりだしており、端の方には先程までいなかった女性二人が琴と神楽笛の前で鎮座していた。
それを確認している内にも儀式は進んでおり俺が見る頃には盃に注いだ酒を祭壇に置いた所だった。
礼をし元の場所までゆっくりと淀みなく下がり終えると座して待っていた女性が扇を姉貴に捧げる様に掲げそれを受け取り口上を述べ始めた。
「姫ノ神様これより宴を盛り上げさせて頂きたく、僭越ながらこれより貴方様"方に"捧げる舞を披露させていただくことをお許し申しあげると共に、お楽しみください」
その台詞が聞こえると、内心驚くと共に焦りながら目線だけを動かして周りをうかがった。
(どうやら気付いた様子の奴はいなさそうだな。つうかあのアホ姉はなにやってんだよ!?客等は姉貴に見惚れてて気付いてなかった様だが、横にいる人等は完全に気付いて身を固くしちゃってるだろうが!?)
周りが気付いてない事に安堵しながら怨めしげに目を細め姉貴を見ていると舞の伴奏が始まった。
最初に琴の方が弾き初めると間を開けて、今度は神楽鈴を持った二人が左右で動きを付けながら一定のテンポで鳴らし初める。
それに合わせる様に姉貴が扇を拡げ手だけを動かし初めると同時に神楽笛が吹かれ始めた。
最初のパートは、緩やかなテンポで音が流れそれに合わせるように少ない動きだが周りを魅了する舞を踊り見た目に意識を持っていかれていた見物客の心を舞に集中させる。
俺を除いた全員が、魅了された所で神楽鈴が止みそれに続く形で姉貴が跪いて頭を下げ琴と神楽笛二つの楽器だけが穏やかに流れ始め、一,二分程続くと徐々に音が小さくなり完全に止む。
そして周りが一拍だけ静かになった瞬間―――――――笛,琴,鈴が同時に鳴り響き舞が再開された。
その光景を見ていた俺は意識を持っていかれつつも隣から聴こえてきた呟きに納得できた。
『業炎』
まさしくその言葉にあてはまっていた。前半が、心を鎮めさせ魅了する波だとすれば、後半のこれは心も身体も熱くさせ虜にさせる炎そのものだ。
そこまで考えた所で俺自身も他の連中と同じ様に舞に魅了された。
最初の少ない動きが嘘のように激しくされど無駄のない動きで舞続けそれを後押しするかの如く鈴や笛それに琴の三つも一度の緩みも無く激しく鳴り響く。……ただ―――――――
――――――――それだけなら俺も周りも"魅了される事はなかっただろう"。
この言葉を聴けば初めて見る奴からしたら美的センス可笑しいんじゃね。っと言われるだろうが、だが考えてみてほしい。
この祭りは毎年やっており、舞の際は"管理を受け持っている日牝神家の女性が巫女の役割をもつ"ということを、この二つを聞けば分かると思うが、義母さんが死んでからは姉貴がこの役割を担っていたのだ。
その理由もあってかこの市内の奴等は老若男女とわず舞を見慣れており、魅了されてたとしても姉貴の容姿に対してであり舞に関しては余りいなかった。
なら何故、いまこの場にいる奴等は全員が魅了されているんだ?と疑問に思うだろうが、理由は単純だが俺か妹達と麗奈しか分からないもの――――心の迷いが無くなっていた事であった。
姉貴の動き一つ一つに"ある人"えの思いが込められておりそれが見ている者達を魅了させていた。
左右に燃え上がる炎をバックに激しく踊りながらも舞の型を崩さずにいるその動きは……その迷いが無くなった思いをその人物―――――未来に伝える為に続けられる。
姉貴の舞が言葉であるかの様に伝えてくる思い、それは一つの手紙の如く色々なそれこそ嬉しさだけでなく悲しみからくる思いも届いてくる。
だがそんな色々な思いを感じながらも全部が一つのものに収束されていた。
俺はそれが自分に向けられていると理解し……嬉しく思うと同時に、罪悪感を感じる。
その心――――――恋心に答えられないと分かっていながら言ってしまったこと。
あの時、姉貴の未来を考えたすえに言った言葉……それに姉貴自身は答えを出し伝えてきている。
後悔はしないつもりだった。俺がいなくなった後、悲しむだろうが立ち直った後は強く生きられる為に言った言葉、強く生きられるなら嘘を伝え嫌われても構わないと思った言葉、にもかかわらず俺は――――――後悔してしまっていた。
今の俺はどういう顔をしているのだろう。そう考え後悔と喜色の思いが混ざった感情を抱えながらも進んでいく舞を心に刻み込んでいる。
そんなふうに色々な感情が混ざって困惑していると舞続けている姉貴と目が合い口元が動いた瞬間――――声が聞こえてきた。
姉貴のその顔は愛おしい人を見つけたとでも言ってるかの如く微笑みを向けながら呟く形で言われた言葉、それは伴奏の音にかきけされず確かに聴こえてくる。
『未来が、何で今そんな顔をしているのか私には分からない。でもお願い、今だけはお姉ちゃんの……ううん私、日牝神 美咲の姿を見て』
その言葉が、届いた途端――――入り混ざった感情が無くなり安堵だけが残った。
(はは、…な~んだ自分が抱いてた後悔は、俺の覚悟の足りなさからのものだっただけじゃねえかよ)
姉貴の言葉から嘘も偽りさえも感じない本心からでた"初めての願い"に、嬉しく思いながら答える。
『分かった。姉貴の、いや――――美咲の本当の姿を気持ちを俺に見せてくれ』
そう答えると姉貴は笑みを深めながら更に激しく踊る事で答えてくれた。
そこから先は、何も考えなかった。ただただ、思いを伝えてくる姉貴の姿を気持ちを舞終わるその瞬間まで心に刻み込み続けた。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
今月でようやく買ったゲームが終わり来月から更新頻度を二回に戻せそうです。
次回は7月中に出します。




