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いったい何が自分の人生を台無しにたのだろう? とりあえず現在進行形でカンタの人生を壊し続けている化け物をカンタは恨んだ。この群れのリーダー格であろう美しい顔に右ストレートを一発ぶち込んでやりたいと拳に力を込めた。ネズミだって追い詰められれば猫にかみつくのだ。ネズミなんかよりも何百倍と大きいカンタに、この化け物を殴れないなんて道理はなかった。歯を食いしばれカンタ、とカンタは自分に言い聞かせた。化け物たちの罵倒は今や罪人から死刑に変わっている。どうせ死ぬのなら、このきれいな顔に傷の一つでもつけてから死にたかった。それがこの情けない人生を歩んできた自分にできる最後の意地に思えた。そんな勇ましいカンタの決意も、化け物の背中でカチカチとなるサソリの尾っぽをみてすぐに萎んでしまった。飛び掛かった結果こんなものでズブリとやられてはたまったものではない。どうせ死ぬのならせめて痛みは少な目でお願いしたかった。終った……尾っぽの先から謎の汁をたらす化け物を前にカンタはつかの間の絶望に浸ろうかとした矢先に自分が三匹の獣に囲まれていることに気が付いた。獅子に狼に豹である。獣たちはよだれを垂らしてこちらを威嚇し、今にも飛び掛からんといった姿勢だ。カンタは震えあがった。化け物よりは獣のほうが馴染みがあるだけに、想像力を掻き立てられより怖く感じられた。スリングショットに抱きついたまま途方に暮れるカンタであったが、ふとこの女ならなんとかしてくれるかもしれないと思った。常識的に考えて、雪の降るこんな真冬にこんな水着を着て裸同然でたたずむ女がまともな人間であるがずがない。もしかしたらこの化け物たちの眷属で、ことによるとこの場を取り持ってくれるかもしれない。そう期待した瞬間、腕の中でベコっという音がした。ふと彼女を見ると、スリングショットの水着を着た女の顔は透明なビニールに代わっていた。ツンとする独特な科学的な臭い、それにこの抱き心地、カンタには身に覚えがあった。独身時代に興味本位で買ったエアードール(すなわち空気嫁)だ! カンタが腕に力をいれるたびにスリングショット改めエアードールはベコ、ベコと無機質な音を立てた。この懐かしい感覚に時たまの郷愁に襲われたカンタであったが、膨らますための黄色いエアーポンプも、出来上がった空気嫁に飛びついて腰を振る快感も、装着したオナホールの感触も、後片付けに襲われる虚しさも、スリングショットという最後の望みを絶たれたカンタにはあまりにも弱弱しい現実逃避であった。

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