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そりゃコンビニだってどっかから品物が降ってくるわけではなく、売り切れる時だってあるだろうが、なにもこんな日に限ってに切らさなくてもいいではないか。とワガママをいってみても、天気が天気だ、考えることはみな同じらしく、ホットスナックや弁当の類もすべて売り切れていた。ならばポットのお湯をいただけないかと聞いてみると、都合の悪いことに故障していると言われた。すまなそうに話す店員に、カンタも怒るに怒れず、屋根の下に入れただけ良いではないかと自分をなぐさめた。店員に冷えてない飲み物はありませんかと尋ねたら、バックヤードから生ぬるいお茶をもってきてくれた。礼を言って買うと、飲食コーナーで一口飲んだ。体は温まらなかったが、心が少しだけ温まった。カンタはぐるっと店内を見渡し、壁に張られたハワイ旅行のポスターを見た。コンビニにハワイとは、不思議な取り合わせだった。引きで撮られたビーチには、沢山の人が体を焼いたり泳いだりしていた。青い海には白い波が立ち、ヤシの木がいかにも南国という雰囲気を醸し出していた。この時期のハワイの平均気温は分らないが、わざわざポスターを張るということはきっと日本とは真逆の環境なのだろう。カンタは光の降り注ぐビーチを想像した。妻と砂浜に寝ころび、一緒にトロピカルドリンクでも飲んで、ゆっくり体を焼けたらどんなに幸せだろう……だがすぐにあの愛人がやってきて、全てをぶち壊していった。クソッとカンタが吐き捨てると、レジで作業をしていた店員が振り向いた。カンタは慌ててお茶を飲んで、喉が詰まったふりをして誤魔化した。なんにしても、幸せな生活はすでに無くなってしまったのだ。もう一度欲しいのなら、一から築き上げるしかない。問題は妻が、この先どういう態度をとるかだ。妻から素直に謝られれば、カンタは簡単に許してしまうだろう。恨んでいるのは妻の不貞にであり、妻にではない。自分でも甘いとは思うが、気もちを偽ることができない。やっぱり自分のもとへ帰ってきてくれるだけで嬉しくなるはずだ。しかし妻の方が自分を拒んだら? 想像しただけで絶望だった。妻のいない生活など、カンタには考えられなかった。この五年間、辛い時、悲しい時、いつでも隣で支えてくれた。あんなに優しい笑顔をくれた妻が、どうして不貞なんかを働くのだ……それに、あんな若い愛人が妻と添い遂げるとは思えなかった。所詮は軽い火遊びのつもりであり、遅かれ早かれ妻は捨てられるだろう。

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