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飛び出してみたはいいものの、寒々とした廊下に立ったカンタは途方に暮れた。俺はこれからどこに行けばいいのだろう。音を立てないよう静かに鍵を閉めたカンタは再度扉の向こうに呪詛を送った。何故自分がこんな目に合わなければならないのだ、納得のいく説明を要求したい。本来であれば妻の横で寝ているのは自分であるはずなのに、何故にあんな若造に自分の指定席を掠め取られ、それでいて雪の降るこんな夜に廊下に締め出され、白い息を吐きながらぶつくさ文句を言い、惨めで無様で情けない醜態をさらし、先ほどから耳障りなカッコウ時計の音がなり続けていて、イラっときてどこの部屋から聞こえてくるんだと不審者の体で廊下をうろうろし、その間にもカッコウカッコウカッコカッコウ煽られ、俺はコキュじゃないと強がってみて、それでもやっぱり自分は寝取られコキュで、その事実を認めたくないので目をつぶって頭を振り、頭の中から妻と愛人の影を追い出そうとしてみても、かえって二人がこちらを自指をさして笑う光景が浮かび、それがまるでアラビアの寝物語よろしく瞼の裏に針で記したように忘れがたく、頭にきたカンタはためしに愛人の頬に右ストレートをねじ込んでみたはいいものの、あっさり避けられ勢いあまってすっころんだ自分を妻と共に腹を抱えて笑われ、そもそも小さなころから運動音痴だった自分には暴力沙汰なんて無理なんだとあらためて思い知らされ、ゲラゲラ笑う二人の姿に、想像の中ですら自分は負けるのかとさらに情けなくなったところで、いまだに鳴きやまない機械仕掛けカッコウに、普通こういう時計は時刻分だけ鳴くもんじゃないのかと鳩時計の常識を持ち出してみたところで、自分はカッコウ時計に対してあまりに無知だったことに気づき、もしかしらカッコウ時計の常識はいつまでも鳴きやまない所にあるのかもしれないと考えてみて、それでもカッコウカッコウうるせーので思わず叫び出しそうになりながらも、すんでのところで思いとどまり、どこの部屋から聞こてくるのか分かった所で何にもならないと気づいてうろつくのをやめ、カッコウ時計に合わせて自分もコキュコキュと鳴いてみて、鳴いてみて、涙の一つでも滲むとおもったのに、涙が滲むどころかあらためて怒りが湧いてきて、怒りに任せてキャリーバックを持ち上げてみたものの、服の入ったキャリーバックは思いのほか重くて、すぐに降ろして三年前にやったぎっくり腰が再発するんじゃないかとドギマギしながら腰をさすり、

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