18
これで一旦本編は完結します。
失踪したり本編が冗長になってしまったりして、申し訳ありませんでした。
一度下げた番外編の公開を予定しております。
真っ直ぐ王城まで帰還して、門を入ると知った顔がいた。
笑顔で挨拶すると、その男はため息をつく。そのまま俺の頭を小突いた。
「心配させんな」
「それって給料のことか?それとも親友であるこの俺の身の安全?」
「両方ですよ親友どの」
呆れた顔でデュークは俺を見る。大親友からの白けた視線が俺に注がれた。
「お前すごくやんごとなき立場にいるんだから、あんまり1人で出歩かないで欲しいんだけどなー俺」
「そこまでやんごとなくないだろ、ただの騎士団長だぞ?」
「わざと言って、なさそうだなー自覚してくれよだんちょー」
今に始まったことじゃねーけどさ、と続けてデュークは肩をすくめた。
まぁ確かに、俺の統括するリヴァグール騎士団は他国に脅威だとされている。
一挙一動が注目の的なのだ。的らしいのだ。
『らしい』というのは、全部デュークや他の部下に聞いたから。
正直あんまり注目されてる自覚が持てない。就いている職業と地位だけに目立つのは理解できるんだけど、言われる程は目立ってないよな。いやまぁ部下の言葉を信用しない、なんてことではないが。噂は半信半疑、それが俺の心境の総括だ。
あと他の理由は、王城に缶詰状態になるのが嫌っていうのもある。
雁字搦めとか息詰まるだろ。
「それにさぁ、ちょっと侮られてるくらいが丁度良いんだよ、その方が油断してくれるし」
「ふーん、そういうものか?」
肯定すると、デュークは腕を組んだ。まだ納得していないようだが、一応理解しようとしてくれるらしい。眉に皺を寄せつつ、うんうん唸っている。
お前のそういうところが本当に良いんだと、つくづく思う。
王城に入り、廊下の大理石を踏む。時間を問わず働く人の気配がする城内でも、俺たちの周辺にはまばらにしか感じない。
話を変えるべく、俺は裏拳で軽く親友の肩を叩く。
「ところで、ギミックわかったか?」
俺の言葉にしたり顔でデュークは返事をした。
やはり長い付き合いなだけあって、強固な信頼関係が築けている。
デュークは楽しそうに頷いた。
「しっかしホント、お前らこういうの好きだよな」
つぎの瞬間。
奴は俺の逆鱗を平然と触れてきた。
あたかも食事の前に頂きますと号令するように。
長い付き合いなのに、やってはダメなことは未だにわからないらしい。
「ほーお。お前ら、ねぇ?」
自分史上1位にランクインするくらい、低い声が出てきた。
デュークが弾かれたように、俺を凝視する。
「アッいえ違うんです、別にお前をお嬢とかと重ねたわけでは。アッ」
何かフォローしようとしたらしい。雰囲気で察知した。
だが同時に、奴は大雑把でも、全て吐露した。
つまり、俺は逆鱗を往復ビンタされたわけだ。これはひどい。
デュークの顔色が土気色に変わっていく。
肉眼で追えない速さではないものの、移り変わりが素早いことには相違ない。鷹狩りで射られたばかりの鷹でも、もう少し遅く落下するだろう。
まぁ、俺の知ったことではないけどな!
俺はわざと満面の笑みを浮かべる。小さく叫ぶデュークの肩を固く掴んだ。
「はっはっは、覚悟しろよデューク」
王城に悲痛な声が響いたのはそのすぐ後だ。
次回投稿は一度下げた番外編を再度挙げ直す予定です。
6月11日20時に予約しました。
次回番外編「鬱注意」
リュー「俺たちの戦いはこれからだ!」
デューク「まぁ俺たちの話ではないから、出番はないけどな」
リュー「俺は出番あるぜ?」
デューク「えっ」




