大魔法使いの魔法屋
続きです
商業都市アルビナ 冒険者ギルド前
「えー・・・っと、紫苑はまだ来ていないみたいだな・・・」
俺は紫苑を探そうと、周囲を見渡す。だが紫苑の姿は見えない。
どうやら、まだゲームにINしていないようだ。
俺は紫苑を待っている間に、自分のステータスを確認してみた。
Lv3
HP35 MP9
筋力 2
体力 5
敏捷 2+1
魔力 2
右武器 ブロンズソード 攻撃力2
左武器 ブロンズバックラー 防御力1
頭 なし
体 服
手 なし
足 革の靴 敏捷1
うん、確実に盾役のステータスになって来ちゃってるな・・・。
んで、スキルの方はというと、こんな感じだ。
スキル
見習い剣士 初期スキル
ブロック 敵の攻撃を盾でガードする
ファストブレード(通称ファスブレ) 素早い斬激を繰り出す
ヘイトアップ 自分が行動する度に、敵の攻撃が自分に集中し易くなる
近距離攻撃はあるんだが、遠距離から攻撃するスキルがない。
ワイルドドッグとの戦闘で使った石の投擲なんかじゃ、急所にでも
当たらない限り敵対心を煽るくらいにしか役に立たないだろう。
まぁ、使い所を考えればそれでも十分に使えるとは思うが。
やはり、折角のRPGなんだし、もっと攻撃力が高く派手でカッコいいのが
いいよな。例えば魔法とか・・・。
俺がメニュー画面を見ながらそんなことを考えていると。
紫苑が待ち合わせの場所に到着した。
「おう、ユウ!待たせたな!」
「うん。待った。だからアイスな?」
「その話まだ生きてたのかよ・・・?」
まぁ、冗談だけどな・・・。
「冗談だ。それより魔法屋に行かないか?何かしらの遠距離攻撃
手段を確保しておきたいんだ」
「おう!いいぞ!で、魔法屋って何処にあるんだ?」
「こっちにINする前に、ネットで調べておいたよ。こっちだ。」
そう言って、俺と紫苑は魔法屋に向かった。
「こっちでも攻略サイト見れれば楽なんだけどな~」
「そりゃそうだけど、さすがにゲームの中でまで、
そういうのは許されてないっぽいよ?技術的な
事じゃなくて、利権の問題かなんかで。」
「うへー・・・。」
そうこう言っているうちに、魔法屋についた。
その魔法屋は商業区の端の端にあり、
まがまがしい雰囲気を醸し出していた。
「なんか不気味な店だな・・・」
「看板に何か書いてあるぞ。なになに?」
[大魔法使いの魔法屋]
「・・・・」
自分で大魔法使い(笑)とか書いちゃうのか・・・。
「大魔法使いとか、期待できそうだな!」
「俺は、別の意味で期待できそうだよ」
俺たちはそう言いながらも店の中に入る。
そこは意外に広く、十畳程のスペースを有していた。
「いらっしゃい・・・・。イィーヒェッヒェッヒェ」
やばい人がそこにいた。
目は窪み、髪の色が紫でかなり痛んでおり、所々くすんでいる。
そんな老婆がカウンターの中で、口を三日月型に歪ませて
俺たちを見ながら笑っていた。
俺は直感で「こいつはやばい奴だ」。と、
俺の中の全存在が告げている。ような気がした。
「すげー!マジで魔法使いっぽいぞ!」
「ぽい。じゃなくて魔法使いなんだろ」
俺は紫苑にツッコミを入れつつ老婆に話しかけた。
「すみません。魔法を買いたいのですが、見せていただけますか?」
老婆は口を噤んで此方を睨んでいた。・・・なんだ?
「あの・・・?」
俺は不思議に思い、言葉をもう一度投げかけると老婆が言葉を発してきた。
「魔法使いなどではない!!」
「え・・・?」
「大」「魔法使いじゃ」
それ気にする所なの??などと思いながらも大魔法使いに訂正する。
「申し訳ありません。大魔法使い様。私たちは魔法を買いに来たのですが、
商品を御見せしていただけませんでしょうか?」
「イィーヒェッヒェッヒェ・・・。最初からそう言えばいいのじゃ。」
この婆さん。めんどくせぇ・・・。
「魔法のう・・・。御主等はまだ、見習いジョブじゃろう。
ここに来るのは、まだ早いんじゃないかの?イィーヒェッヒェッヒェ。」
いいからさっさと魔法見せろや!
「いえ、何事も経験です!早いうちから、魔法に慣れておきたいのです!」
などと、事実を述べながらも、もっともらしい理由を言ってみる。
「ふむ。まぁ、いいじゃろ。」
老婆がそう言うと、目の前にウィンドウが表示された。どれどれ・・・?
大魔法使い魔法屋 バーバの売り物
ファイアブリッド 10000G
小さい火の玉を敵にぶつける
ウォータブリッド 10000G
小さい水の玉を敵にぶつける
ヒール 30000G
味方一人のHPを小回復する
アンチドート 50000G
毒を治癒する
ファイアブリッドの魔石 1000G
ファイアブリッドが封じ込まれた魔石
ウォータブリッドの魔石 1000G
ウォータブリッドが封じ込まれた魔石
リザレクトポーション 1000000G
あらゆる状態異常をも治癒しHPMPを全回復させる 貴重品
「高けーよ!ふざけんな!」
つい本音を喋ってしまったが、しょうがないだろう。
なんだよ、10000Gって。犬ッコロ何匹狩ればいいんだよ。
「言ったじゃろう?御主たちにはまだ早いと・・・。イィーヒェッヒェッヒェ」
その笑い方スゲー、ムカつく。
「なあ・・・ユウ。魔法は一旦諦めようぜー。
さすがに、こんな高いの買えないって。」
そりゃそうだ。こんなの買うくらいなら、装備を整えたほうがいい。でも・・・。
「なぁ、婆さん。この魔石ってのはなんだ?」
「・・・・」
また黙りやがった。面倒くさいっての。
「大魔法使い様。この魔石の事を、御教え頂けないでしょうか?」
そう言って下手に出てみると、大魔法使い様(笑)は説明を始めた。
「ふむ。魔石というのは、魔力の結晶みたいなものじゃ。
そこに魔法を込めると、魔石にその魔力が溜まり、
MPを消費しなくても魔法が使えるというわけじゃな。
ただ、一度使ったら砕けてしまうがのう・・・。」
なるほど消費アイテムなのか。それでも1000Gはするんだから
どうせ買えないんだけど。
「大魔法使い様。申し訳ありません。私たちは高価な魔法を買う
お金を持ち合わせておりません。そこで相談なのですが、
私たちに何らかのクエストを授けては頂けませんでしょうか?
私たちは早く大魔法使い様に、少しでも近づけるように
魔法が使えるようになりたいのです。どうか!どうか!
私たちにクエストをお与えください!」
俺は婆さんに頭を下げ、クエストを発行してもらえるように頼む。
婆さんは俺のセリフに満足したのか、唇を吊り上げうざい笑い声を出すと、
クエストを発行してくれた。
「イィーヒェッヒェッヒェ。しょうがないのう。しょうがないのう。
まったくの不本意じゃが、そこまで言われてしまっては、
クエストを授けてやらない訳にはいかないのう・・・。」
チョロい(笑)俺がそう思っていると。
「ほれ、これなんかどうじゃ?」
そう婆さんが言うと、俺の目の前にクエストが発生したという
システムメッセージが表示された。俺は早速、詳細を確認してみる。
アルビナクエスト
依頼者大魔法使いバーバ
アルビナ周辺に生息しているヒュージスライムの撃破 報酬1000G
報酬1000G!俺はニヤリと笑いながら紫苑の方を見てみると。
「ヒュージスライムかぁ~。スライムって事は魔法使ってくるんだよな?」
そうなのだ。さっき戦ったスライムの魔法でもかなりの威力があった。
なんたって盾で防いでも、少しとはいえ俺にダメージを与えてきたのだから。
「そうだな、しかもヒュージって事は、それなりに大きいんだろう。
もしかするとボス級の敵かもしれない」
「と、いうことは!経験値いっぱい!俺のLvアップって事だな!」
どうやら早くLvを上げたいらしい。気持ちは分からんでもないけどな。
「ありがとうございます。このクエストを受けてみます。」
そう言って、婆さんにお礼を言うと。
「なに気にすることはないのう。それとそのモンスターについて
の情報もついでに教えておいてやろうかのう・・・イィーヒェッヒェッヒェ」
「ありがとうございます!助かります」
正直ありがたい。スライムのようにいきなり魔法をぶっぱなしたり
する敵もいるので、あらかじめ情報を知っているとのいないのとでは
危険度が段違いだからだ。
「このヒュージスライムは魔法が得意での。
近距離だろうが遠距離だろうがお構いなしに魔法を撃ってくるのじゃ。
それに剣なんかで斬ってもすぐに再生されてしまうのじゃ」
おい、婆さん。俺たち武器は剣と斧なんだが?これ詰んでね・・・?
「本来なら魔法が弱点じゃから、前衛が近距離で盾役をし、
後衛が魔法でダメージを与えていくのが定石なのじゃが・・・。
御主らは、仲間に魔法使いがおらんのう」
見りゃ分かるだろうが!どうしろっていうんだ!
「まぁまぁ。そう熱り立つでない。ちゃ~んと、前衛だけで倒す方法もあるのじゃ」
マジか!さすが大魔法使い様だ!そこにシビry
「それで大魔法使い様。その方法とは何なのでしょう?」
「うむ。それはのう、打撃武器を使って攻撃することじゃ。」
打撃武器?殴り殺せってことか?
斬って駄目なら、殴れってか?
「武具屋にこんぼうが売っていたじゃろう?それを使うのじゃ」
なるほど、あのこんぼうは、銀行で詐欺られた奴が、金がなくても買えるように
用意された、救済処置だと思ってたぜ・・・。
「分かりました。大魔法使い様。こんぼうを使い見事ヒュージスライムを
倒して御覧に入れます!」
「うむ。精進するのだぞ?イィーヒェッヒェッヒェ」
そうして俺たちは魔法屋を後にして、
こんぼうを購入するために、武具屋へと向かうのだった。
「紫苑。なんでさっきから黙ってんだ?」
「いや、邪魔しちゃ悪いかなって・・・?」
「何で疑問系なんだよ!」
まだ続きます




