剣士の休息
続きです
商業都市アルビナ、冒険者ギルド受付
「はい。確かにクエストの完了を確認いたしました。
こちらが報酬の100Gになります。ご確認ください」
そう言って、クレアさんがクエストの報酬を渡してくる。
とはいっても、ウィンドウに表示されているOKボタンを
押すだけなのだが。
ポチッ
ユウは100G手に入れた!
とシステムメッセージが表示される。
「さて、それじゃあ一度落ちるか・・・。紫苑はどうする?」
「ん?俺もログアウトするぞ?飯も食いたいし、風呂も入りたいしな」
「それじゃあ、宿屋に行くか」
「宿屋?このままログアウトすりゃいいじゃん」
確かに普通なら宿屋なんて行く必要はないのだが、
このゲームには、宿屋でログアウトすると特典があるのだ。
「いや、宿屋に行くぞ。宿屋や特定の場所でログアウトすると
休息状態になり、次にゲームにINした時に戦闘で得られる
経験値が少しだけ増えるんだ」
「へー、よく知ってたなユウ」
「そりゃ、この[Brave Blade Online]発売までかなりの期間があったんだ、
そのくらい、ちょっとサイトを覗けばすぐ調べられるよ」
そう、このゲームが発表されてから、発売までの期間が5年ほどあったのだ。
すでにほとんど完成していたようなのだが、ちょっとAIの部分で技術的な
トラブルがあったらしい。表向きはそういうことになっている。
だが、噂ではAIによる何らかの動きがあったのではないか?
と、ネットでは一時期話題になったものだ。
「とにかく宿屋にいくぞ。もうすぐ夜ご飯の時間なんだ」
そう言って、ギルドを出ようとすると、受付嬢のクレアさんに呼び止められる。
「ユウ様、少々お待ちください。」
俺は振り返りクレアさんの方を向く。
「どうしたんですか、クレアさん?」
「いえ、先ほど宿屋に行くと仰っておりましたので、
私のオススメでよろしければ、お教えしましょうかと
思いまして。」
クレアさんが宿屋を紹介してくれるらしい。
正直言って、この人はあまり信用しないほうがいいと、
俺の直感が告げてきてるんだが・・・。どうするか。
「ありがとうクレアさん!そこの宿を教えてください!」
紫苑・・・。お前はもうちょっと警戒することを覚えろよ・・・。
まぁ、こういう所が紫苑のいい所でもあるのかもしれないが・・・。
こうしてクレアさんに、オススメの宿屋の場所を教えてもらい。
俺たちは無事に宿を見つけることができた。けど・・・。
「宿を見つけられたのはいいけど、
なんでこんなに分かりづらい所で、
商売なんてしてるんだ・・・」
「裏路地のそのまたまた奥だもんな、
さすがに迷子になるかと思ったw」
笑えないな。そんなことよりさっさと宿を取ろう。
俺たちは、宿のドアを開け中に入る。すると、
カウンターにいる竜族のグラサンを掛けたおっさんが、此方を睨んできた。
このゲームおっさん率高くね?そうでもないか・・・
などと思いながら、グラサンのおっさんに話しかける。
「すみません。ログアウトをしたいのですが、部屋を借りれますか?」
直もグラサンのおっさんは、此方を睨みつけたまま言葉を発しない。
「あの~・・・?」
もう一度話しかけようとした瞬間に、
目の前にメッセージウィンドウが開き、
部屋の値段が表示されている。
ログアウト部屋 10G
ご休憩室 1000G
ログアウト部屋はいいんだけど、ご休憩室ってなによ。
ログアウト部屋の百倍も値段が高いんだけど・・・。
俺はログアウト部屋のボタンを押す。
すると、グラサンが部屋の鍵を渡してきた。
「207号室」
「あ、はい。どうもです。」
このグラサン、部屋番号しか喋べらねぇ・・・。
紫苑も同じように部屋の鍵を貰い、一緒にログアウト部屋へ向かう。
紫苑の部屋番号は、208号室、俺の隣らしい。
「あのおっさん・・・強いな」
「えっ・・・」
部屋番号しか喋ってないのに、なぜそんなことが分かるのか、
俺にはわからなかった。
「あのおっさんの後ろにあった武器が、超カッコよかった。
あれは武具屋にあった斧よりもかなり攻撃力が高そうだったぜ」
お前の強さの判断基準は、武器なのかよ!
「いや、武器が強いからって、使う本人が強いわけじゃないんじゃ・・・?」
「そうでもないぞ?強い武器を持ってる奴は、大抵強い奴だと思う。
弱っちい奴が超強い武器持ってるって事は、さすがにないんじゃないか?」
なるほど、確かに一理あるな。ただ例外としては、金を積んで手に入れたとか、
権力の力で手に入れたとかも考えられるから、一概に本人が強いからって理由
だけでもないとは思うんだけど、宿の店主がそんな金も権力も持ってるとは思えないしな。案外紫苑が言っている事は、当たっているのかもしれない。
そんな話をしているうちに、部屋に着いた。
「んじゃ、また後でなー」
「ああ。今度も待ち合わせ場所はギルド前な」
「おっけーおっけー。」
そう言って、紫苑は部屋の中に入っていった。
さて、俺もさっさとログアウトするか。
俺は、部屋に入りベットに横になると、
メニュー画面からログアウトボタンを押す。
「結構面白かったな~・・・」
等と呟きながら、俺は意識を手放していった・・・・・・・・。
まだ続きます




