VSワイルドドッグ
戦闘シーンです
商業都市アルビナ東門の周辺
「やっと外に出られたー!」
紫苑はそういうと、柔軟運動を始めていた。
よっぽど戦闘が楽しみでしょうがなかったらしい。
でも、ゲームで柔軟運動って意味あるのか?
「紫苑。とりあえずPT組んでみるぞ。
俺の方からそっちに申請するから承認してくれ。」
「オッケー」
俺はメニュー画面からPT編成を使い、紫苑に対してPT編成の申請を送った。
「お!きたきた!そいじゃ承認っと!」
紫苑の承認が確認され、俺のPT編成に紫苑の名前とHPMPが表示される。
「おい紫苑」
「どうしたんだよ?」
「この塩ってのは何だ?」
「俺のキャラ名だけど」
どうやら受付嬢が言っていた塩という単語は
聞き間違えじゃなかったようだ。つか塩って・・・。
「さすがに塩はないんじゃね?」
「何言ってんだよ。それならユウだって似たようなもんだろ」
「まぁ、そうなんだが・・・」
「別にいいだろ?何が変わるわけでもないし」
「それもそうだな。でも、呼び方は変えたほうがいいか?」
「どっちでも呼びやすいほうでいいぞ?」
さすがに名前が塩なのに、紫苑なんて呼んでたら本名だと思われる可能性があるけど、今更な気もする。
「じゃあ、今まで通り紫苑って呼ぶからな?
今更呼び方変えるのも変な感じだし」
「おう!それで頼むぜ、相棒!」
「ああ」
さて、それじゃあクエストのワイルドドッグを狩ろう
と思う訳だけど、何処にいるかさっぱりだな。
「なぁ、紫苑。敵は何処にいると思う?」
「そうだな~。レーダーっぽいのに赤い点があるし、
多分これが敵なんじゃないか?」
紫苑の言うレーダーとはデフォで目の端に見えている物である。
なるほど、ここに映っている青い点が俺と紫苑ってことか。
で、この赤い点が敵ってことは・・・。
「とりあえず確認してみるか、このまま東に真直ぐ進めば見えてくるはずだ」
「おう!俺の華麗な斧捌きを見せてやるぜw」
そういうと紫苑は我先にと駆け出していった。
「おーい!一人で突っ走るなよー?」
「大丈夫だってw」
塩のテンションが高まりまくってるな。ヘマしなければいいんだけど。
ガサガサ ガサガサ
背が高い雑草の中から何かが動き回る音が聞こえる。
紫苑と二人で注意深く観察していると、音の正体が草の中から現れた。
それは焦げ茶色の毛を持ち体長1mほどの大きさで、鋭い牙と爪を持って
俺たちの前に対峙し、威嚇を放ってきた。
グルルルルル
「現れやがったな!ユウ!まずは俺にやらせてくれ!」
「いいぞー、お手並み拝見させてもらう(笑)」
「よし!見てろよ~!」
そういうが早く、紫苑はワイルドドッグに突撃して行った。
ワイルドドッグは動くこともなく、じっと紫苑の動きを見ている。
「うぉおおおおおお!くらえ!ブレイクダウン!!」
紫苑は右手に持ったブロンズアックスでワイルドドッグの頭を狙い、
戦士系スキルと思われる攻撃で、ワイルドドッグに襲い掛かった。
「うお!?」
だが、ワイルドドッグは紫苑の動きを呼んでいたらしく、紫苑の攻撃は
虚しくも地面に吸い込まれていく。
ドゴン!
紫苑の攻撃が激突し、地面に武器がめり込む。
さすがに竜族の戦士系だけあって、火力はかなり高いようだ。
だが、その攻撃も当たらなければ意味がない。
ワイルドドッグは紫苑の攻撃を避けると、隙を逃さずに牙による
噛み付き攻撃を繰り出してきた。
ガァアア!
「くっ!!」
紫苑は間一髪で転がりながら攻撃を避け体制を整える。
「あっぶねぇー!今のはさすがにやばかった!」
危なっかしいな。どうするか。
「おーい。俺も手伝おうかー?」
「いや!大丈夫だ!次はやれる!」
紫苑は真剣な表情に変わり、真直ぐワイルドドッグを睨んでいる。
どうやらさっきまでの浮かれ気分が払拭されたみたいだ。
これならワイルドドッグに負けることはないだろう。
ガウ!ガウ!ガウ!
どうやら今度はワイルドドッグの方から仕掛けるみたいだ。
紫苑に走り寄り、牙を剥き出しにして襲い掛かる。
ガァァア!
紫苑はワイルドドッグを迎え撃つようにブロンズアックスを構え、
ワイルドドッグの牙が今まさに紫苑の体に襲い掛かる瞬間、
ブロンズアックスをタイミングよく横にぶん回した!
「ブレイクスマァアアアッシュ!!」
ワイルドドッグの顔面に紫苑の攻撃が直撃し吹っ飛んでいく。
吹っ飛ばされたワイルドドッグは顔面が潰れてピクピクと痙攣している。
そしてしばらくすると、完全に動かなくなった。
どうやら決着がついた様だ。
「ふー・・・。」
「おつかれ(笑)」
「おう!意外に梃子摺っちまったよw」
「まぁ、最初はそんなもんだと思うよ」
しかし一撃か・・・。ワイルドドッグのHPはそんなに高くないのかな?
「なぁ紫苑、今の一撃ってどうだった?」
「ん?どうだったって?すげー、爽快だったぜ?w」
「いや、そうじゃなくて。何か特別な感じがしたかどうかって事なんだけど」
「ん~、そうだなぁ。チュートリアルの時よりも、明らかに手ごたえがあったかな」
「それだ。多分今の攻撃はクリティカルだったのかもしれない」
「ふむ。何でそう思うんだ?」
「いくら竜族でジョブが戦士だからって、普通の攻撃で一撃ってことはないだろ。
おそらく最大の火力を持ったジョブでのスキル攻撃に加えて、クリが出たからこそ
の一撃必殺だったんだと思う」
「なるほどな、確かにあれほどの威力だ。クリが出たと考えたほうが普通か」
「そういうこと。んで、経験値とかお金はちゃんともらえたのか?」
戦闘に参加していないせいか、
俺の方には戦闘終了のリザルトは表示されているが、
経験値もお金も入ってきていない。
「ちゃんと貰えてるぜ!それに牙もドロップしたぞ!」
「そいつはよかった。俺の方には入らなかったからな~」
「悪い悪いw。次はユウが戦って見ろよ。俺は観戦してるからさw」
「そうさせてもらうよ(笑)」
しばらくすると、ワイルドドッグは煙になって消えて行った。どうやら死体は
時間経過で消滅するようだ。
「さてっと、次のワンコはどこかな?」
もう一度レーダーを確認してみると、北に少し行った所に赤い点が二つ、
南に一つ、さらに東に行った所に一つある。
「南に行こうか。東にもいるみたいだけど、これ以上アルビナから
離れると高Lvのモンスターが出てくるかもしれない」
「おっけ!んじゃユウが先頭な!」
そう言って、場所をもう一度確認し移動を開始する。
しばらくすると、先ほどとは変わって草原地帯に出ることが出来た。
見晴らしがいいので、すぐに敵を発見できた。
「いたな。それじゃあ行ってくる」
「おう!がんばれよー!」
紫苑の声援を背中に浴びて、ワイルドドッグに対峙する。
しかし、ワイルドドッグはグルルと威嚇するだけで攻撃を仕掛けてこない。
これは紫苑の時と同じようにこちらの攻撃を避けてから
隙を狙って攻撃してくるつもりなのだろう。
「・・・・」
俺は地面に落ちている小さな石を拾い、ワイルドドッグに投げつけてみた。
キャインッ
ワイルドドッグが悲鳴を上げる。都合よく目の部分に当たったらしく、
目から血が流れている。
グルルルル!!ガウガウガウ!!!
ワイルドドッグは怒り狂い俺に向かって牙を剥き出しにしながら突進してきた。
俺は盾を構えて正面からワイルドドッグの突進を受け止める。
ガン!!!!
盾がオートでワイルドドッグの突進位置を調整し受け止める。
ワイルドドッグは盾に勢いよくぶつかり一瞬よろめく。
俺はそれを見逃さずに剣を振りかぶり、全力で斬りつける。
「オラァアアア!!」
剣に光を纏いながらワイルドドッグの肉を引き裂いていく。
ちゃんとファストブレードが発動したようだ。
ギャウ!!!!
ワイルドドッグは悲鳴を上げて、血飛沫を撒き散らしながら転げまわる。
だが、すぐに立ち上がりこちらを警戒しだした。
「さすがに戦士みたいに一撃って訳には行かないか・・・・。」
俺は剣を構え直し、今度はこちらから敵に軽く攻撃を仕掛けた。
ワイルドドッグは剣を避けるように素早く横に移動して、隙を狙って
爪で引き裂こうとしてくる。だが俺はそれを読んで攻撃を途中でやめ、
逆に盾を構えて敵の攻撃を防ぐ。
ガン!
盾に爪がぶつかりワイルドドッグに隙が出来た。
俺は剣を斬り上げ、ワイルドドッグの体にさらに傷をつけていく。
グルルル・・・・。
ワイルドドッグは直も立ち上がるがフラフラだ、
どうやら今の攻撃で瀕死の状態になったようだ。
「もう少しだな・・・。」
俺は慎重にワイルドドッグとの距離を近づけていき、攻撃範囲ギリギリ
から剣で上から斬りつける。ワイルドドッグは避けようとするが足がグラつき、
剣に切り裂かれた。
ギャンッ!
ワイルドドッグは断末魔を鳴き、崩れ落ちた。
その瞬間、目の前に戦闘終了のリザルトに、得た経験値とお金が表示された。
どうやらドロップは何もないようだ。
「ユウおつかれー!」
「ああ。なんとかなったよ(笑)」
「おいおい、あれだけ圧倒してたんだぜ?楽勝だったんだろ?」
「いや、紫苑の戦いを見ていなかったら、
ここまで巧く勝つことは出来なかったと思う」
そうだ。最初に石をぶつけたのだって、紫苑が攻撃を仕掛けて逆にピンチになって
いたのを見ていたから出来たんだ。敵の戦い方を知ってるだけで
難易度がかなり違ってくる。
「そっか~?まぁ、ユウがそう言うんならそうなんだろうが」
「うん。それでなんだけどさ、そろそろ二人で戦って見ないか?
これ位の敵なら二人で連携して戦えばかなり楽になると思う」
「お!ついにPTプレイ開始だな!」
「そうだ。俺が盾で敵の攻撃を防ぐから、
紫苑は隙を狙って攻撃する感じで連携してみよう」
「オッケー!、それじゃあ適当な敵を探すか」
そう言うと俺たちは再びレーダーを使い敵を探し始めた。
よければ、活動報告の方もご覧ください。




