冒険者ギルド
なんだかセリフ多すぎて、脚本っぽくなってるような。
「おーいユウ!こっちだ!」
紫苑だ。あの騒がしいのは絶対に紫苑だ。しかし、あの姿は竜族か?
戦死やるって言ってたから、犬族やるのかと思っていたんだが。
確か竜族ってのは筋力も魔力も高いけど、動きが鈍いって設定だったな。
体がでかくて、髪の毛は赤で逆立ってる。何より特徴的なのは、
ドラゴンの尻尾だな。戦闘の邪魔にならないのかね。
「なんだよ、紫苑が先に来てるなんて珍しいな」
「いやそれがな、inした直後にチュートリアルってのを受けて、
終わったらここにいたんだよ!」
「なんだ紫苑もやってたのか」
「も、てことはユウも!?」
「ああ、髭のオッサンにチュートリアルを受けさせてもらったぞ」
「へー、俺も髭のオッサンだったんだけど、まさか同一人物って訳じゃないよな?」
「いや、おっさんはAIって言ってたからな、案外自分の分身を作れるのかもしれないよ」
「マジかよ!スゲーな!ちゃんと受け答えも出来たし、
本物の人間にしか見えないよなー」
「確かにな、ここがゲームの中だって知らなければ本当に現実のものと
変わらないのかもしれないな」
「だよなー、それはそうと、そろそろ中に入ろうぜ!
さっきから早く戦いたくてウズウズしてたんだよ!」
「わかったって。でも戦闘はちゃんと登録してクエストを受けてからな」
「おう!早く登録するぞ!」
そう言うと紫苑はズカズカとギルドに入って行き、俺もそれに続いた。
ギィ
ドアを開けると沢山の人々で溢れていた。さすがにサービス初日だけあって
人が多い多い。俺たちは比較的人が少ない列に並び受付を済ませることにした。
「ギルドってもっと狭いイメージあったけど、ずいぶん広いな。
学校の体育館くらいあるんじゃないか?」
「んだな!それでもこの人だかりだし、300人位いるんじゃないか?」
周りを見ると、確かにそれ位はいるだろうと思われる人だかり。
そして多種多様の種族、とくに猫族の♀が半分以上を占めているのは
苦笑いを禁じえないな・・・。
「なぁなぁユウ! お前もLv上がったんだろ?ポイント何に振ったんだ?
「俺は体力に振ったよ。おっさんがオススメだって言うし、HPやら防御力も上がる
らしいからな。」
「そっかそっか!ユウは体力に振ったのか!俺はk」
「言わなくても分かる。筋力だろうが」
「セリフは最後までいわs」
「言わせねぇよ?」
なんてバカ話をしてる間に、俺たちの番が来たようだ。
受付嬢のお姉さんがニッコリと微笑みながら話しかけてきた。
「こんにちは、お客様の受付を担当させて頂きます。クレアと申します
よろしくお願いいたします!」
受付のお姉さんは元気よく挨拶をし、自己紹介をしてきた。
髪は青で、肩口まで伸ばしたサラサラの髪が印象的だった。
目が少々鋭い感じがするが、かなりの美人と言えるだろう。
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
「よろしく!」
「はい。今日のご用件は、冒険者登録でよろしいでしょうか?」
「そうです。俺たち二人分お願いします。」
「畏まりました。お客様のIDを読み取りますので少々お待ちください」
「・・・・・・・・・」
クレアさんが水晶っぽいのでIDを確認してるみたいだけど
すぐに確認が終わったみたいだ。
「はい。確認が終了いたしました。ユウ様と塩様ですね。
冒険者登録が無事終了いたしました。ギルド規則の確認もいたしますか?」
そうだな、一応確認しておくか。
「はい。お願いします。」
「畏まりました。それではご説明いたします。
まず冒険者登録して頂いたことにより、お客様に強さのランクが与えられます。
ランクというのは一定のLvまで上げたりクエストをクリアすることで
ランクアップすることが可能です。お客様のランクは現在Eランクなので、これをDランク
に上げるには、Lv15まで上げ上位ジョブにジョブチェンジする必要があります。
ランクにはE~Sランクまであり、ランクが上がるほどギルドから特典があります。
ここまではよろしいでしょうか?」
「はい。続けてください。」
「はい。次にEランクの特典ですが、これはギルドの銀行サービスを
使うことが可能になります。ただしお金を預ける時と引き出す時に、
100Gの手数料を頂いております。こちらの手数料は主に冒険者育成用の
資金として利用されており、チュートリアルの報酬もここから捻出されています」
なるほど、さっきの500Gはその金から出てるっていう[設定]か・・・。
だけど100Gも取られるんじゃ、初心者は利用しづらいんじゃないか?
「お客様は手数料が高いと思われるかもしれませんが、このサービスは
使ったほうが絶対に得といえます。なぜなら、もしお客様が死亡した場合
所持金の全てをロストしてしまうからです。」
「な!?」
所持金、全ロストだとっ・・・!さすがに厳しすぎるんじゃないか?
「この世界は限りなく現実に近いもの再現した世界なのですが、
さすがにプレイヤーの死に関するものを再現するというのは
どうなのかということで全所持金ロストという仕様になっているのです。
最初は武具やアイテムもロストさせようとしていたようなのですが、
さすがに酷いということでこの仕様に落ち着きました」
確かに全アイテムロストに比べたらまだマシな仕様か。
「どうでしょう?早速銀行のサービスをご利用致しますか?今なら50Gで
御預かり致しておりますが・・・。」
むむむ・・・、どうしようかな。確かに今預ければ50G得することになる訳だし
ん~・・・ん?なんか一瞬クレアさんが笑ったような・・・。
「よし!俺は預けることにするぜ!ユウはどうすんだ?」
「まて紫苑・・・、ちょっと考えてみろよ。俺たちの所持金は一人500Gだ。
そして俺たちは武器も防具も回復アイテムも持ってないんだぜ?」
「何言ってんだ、武具ならさっきのチュートリアルで貰って・・・。
あれ?ない!どこにもないぞ!?」
「あの武器はチュートリアルが終わると回収されるんだよ。
つまり今お金を預けてしまうと
武具を買えない上に、俺たちは支度金を一人150G失うことになる]
「150G?100Gじゃなくて?」
「50G得をするのは預ける場合だ、
引き出す時の手数料を含めると150Gになっちまうぞ。
それに500Gなんて武具や回復薬を買ったらすぐに無くなっちまう。
その状態なら例え死んでも
ロストするのは小銭程度で済むはずだ」
「うはー!マジかよ!危なかったぜ・・・。」
正直危なかったな・・・。まさかAIがこんな詐欺みたいな真似を仕掛けてくるなんて
思いもよらなかった。これが限りなく現実に近づけた結果ということなんだろうか。
「クレアさん、銀行のサービスはまたの機会に利用させてもらいます」
「そうですか。では次の規則ですが、
クエストは原則ここで受けるものはありません。
街中の至る所でクエストが発生しますのでそちら探すとよろしいかと思います。
またクエストの報酬受け取りは、基本的にギルドで受け取ることになって
おりますのでご了承ください」
「わかりました」
「はい。ではこれでギルド規則の説明を終了させて頂きます。
なにかご質問等は御座いますか?」
「いえ、よく分かりました。有難うございました」
「ありがとな!」
「はい。では、またのお越しをお待ちしております」
クレアさんがニッコリと微笑みながらお辞儀をしてきたので、
こちらも挨拶をしてからギルドから出た。
「いやー、ユウの御蔭で騙されずにすんだぜ。ありがとな!」
「それはいいんだけどな、そんな事よりもいい事思いついたぞ」
「いいこと?」
「ああ、銀行の手数料なんだけどな、俺たちの所持金を纏めて一人で預ければ、
預ける場合も引き出す場合でも、手数料が半額ですむってことだ」
「おお!それいいじゃん採用!」
「ただこれも問題があってな、まずこれはかなりの信頼関係がないと
出来ないってことだ」
「ああー。預けたほうが持ち逃げする可能性があるってことか。」
「そういうこと。後は相方にお金を渡した方は、
自由にお金を引き出せないことも問題だな。
いつも一緒にゲームしてるって位じゃないと無理だろうね」
「むぅ、そうか。俺たちなら問題ないだろうけど、
自由にお金が使えないってのはな~」
「だな。つう訳でこの話は終わりだ」
「おう!そんじゃ冒険者登録も終わった事だし、モンスター狩ろうぜ!」
「まてまて、武具がないってさっき言っただろ?
まずは装備を整えに武具屋に行くぞ」
「そうだった・・・。チュートリアルで貰った武器、結構気に入ってたんだけどなぁ・・・」
「まぁ、武具屋に売ってる物の方が、いいのが揃ってる筈だからさっさと行くぞ」
「おう!んじゃ、俺の武器を買いにレッツゴー!」
「切り替え早いな、お前」
今回の連続投稿はここまでです。




