人は見かけによらない
御読みいただき有難うございます
暗い・・・。俺は今暗闇に居る。
此処が何処なのかも分からず。
自分が今どうなっているのかも分からない。
ただ俺という自我がそこにあり
こうして思考が出来るだけだ。
手も足も顔もない。何もない世界。暗い世界。
俺はなぜここに居るのだろう?
わからない。わからない。
「ん・・・う・・・うん?」
ここはどこだ?確か宿屋のおっさんに殺されたはずだけど。
俺は周りを見回してみる。そこは四畳程の部屋だった。
どうやら俺は木製のベットの上で寝ていたようだ。
「おう、ユウ!起きたか!」
そう言いながら紫苑がドアから入ってきた。ノックしようぜ?
「ああ。ところで此処はどこだ?」
俺は紫苑に尋ねて場所の確認をとる。
「ここか?此処はギルドだよ。死んだらここで復活するみたいだな」
俺はどっかの神殿で復活するのかと思ってたよ。
「そうなのか。ともあれ、これでクエストクリアだな」
俺はそう言いながらベットから出て立ち上がる。
「そうだな![受け流し]ってスキルらしいけど、
どう使うんだ?」
そうだな確認しておくか。
「ちょっと待ってな。今見てみる」
俺はスキルウィンドウを表示させて、
受け流しのスキルを確認してみた。
スキル
受け流し 武具で攻撃を受け流す。
ヘルプ
相手の攻撃にタイミングよく剣、または防具で敵の攻撃を受け止め、
滑らせるように攻撃を捌く事が出来る。上位スキル、カウンター
の発動条件。
どうやら剣や盾で受け流す防御方法で、
カウンターの基点になるスキルでもあるようだ。
「うん。なかなか強力なスキルっぽいぞ
硬くなる的な意味で」
「おお!これはもうメイン盾になるしかないな!」
もう敏捷にもポイント振ってるから
体力全振りの盾役にはなれないのだよ。
なるつもりもないけどな。
「言っただろう。俺はオールラウンダーを目指すって、
そろそろ他のステータスも伸ばしていきたいしな」
「ユウがそう言うんならしょうがないけどさ、
マジで起用貧乏になりそうだ」
紫苑にそう言われるが、なんと言われようと、
俺はバランス型のステータスを目指すぞ。
「そうだ、紫苑。さっき預けたお金を返してくれ」
俺はそう言って紫苑にお金を返してもらった。
「ああ、確かこの位だったか?」
「うん。これで合ってる」
俺の今の所持金は3000Gを超えている。
ヒュージスライムがいい感じにお金を落としてくれていたので
かなり所持金に余裕が出来た。
だが、魔法を買うにはまだ7000Gも足りない
やはり、中級者プレイヤーくらいにはならないと
買い揃えるのは無理そうだ。
「紫苑。せっかくギルドにいるんだ。
ついでにお金を預けに行こうぜ」
俺は紫苑に提案してみる。
「ん~・・・でもさ、手数料勿体無なくね?」
そりゃ預けるのと引き出すのに100Gづつ取られるのは痛いけどさ。
「さっきみたいに強制的に戦闘イベントか、何かがあった場合
全滅した時の事を考えると・・・ね」
そうなのだ、今回は俺一人だったから紫苑にお金を預けられたが、
これが二人で戦闘することになった場合、もし全滅でもしたら
所持金を全て失ってしまうことになる。
「わかったよ。ユウは心配性だな」
「慎重だと言ってくれ」
そうして俺たちはギルドにお金を預けるために部屋を出て、
受付に向かうのだった。
「お疲れ様です。ユウ様、塩様。
本日はどの様なご用件でしょうか?」
そう言って受付嬢のクレアさんが笑顔を見せてくれる。
青い髪もあって爽やかな雰囲気を醸し出している。美人だ。
「今日はお金の預金に来ました。塩のお金もお願いします」
俺はついでに塩の分も頼んだ。
「畏まりました。お預かり金は紫苑様が3000G
塩さまが3000G。以上でよろしいでしょうか?」
「はい、おねがいします。」
「はい、では、お預かりの手数料でお一人様100G頂きます。
所持金からお支払いしますか?
今お預けになった預金からでもお支払いになれますが?」
「俺は所持金からでおねがいします」
「畏まりました。」
俺は手数料の100Gを所持金から払い。預け入れを終わらせる。
紫苑も預金を終わらせたので、もう此処には用はないと
クレアさんに御礼をいい。外に出ようとすると、
クレアさんに呼び止められる。
「ユウ様少々お待ちください。」
俺はなんだろうと振り返りクレアさんを見る。
彼女はなぜか少し不満そうな顔をしていたが、
直ぐに笑顔に戻り話を続けた。
「はい。実はユウ様方に会って頂きたい方が降りまして・・・。」
俺たちに合わせたい人って誰だろう?
俺は不思議に思いながらもクレアさんに詳細の説明を求めた。
「はぁ・・・?俺たちに合わせたい人というのは誰なのです?」
「はい。私の友人に会って頂きたいのです。」
なんでクレアさんの友達に会わないといけないんだ?
俺がそう考えていると、彼女が直ぐに答えをくれた。
「不思議に思うのも無理はありません。
ですが、どうか会って頂けないでしょうか?」
ふむ。どうやらどうしてもその友人に合わせたいらしい。でもなぁ・・・。
「紫苑はどう思う?」
一応紫苑にも意見を聞いておこうか。
「いいんじゃねぇか?会うだけならタダだろ?」
タダで済む訳がないんだけど。
まぁ、これも何らかのクエストかもしれないし、ここは話に乗っておくか。
「わかりました。クレアさんの友人に会います。
時間とか場所はどうしましょうか?」
俺はクレアさんに確認を取る。
「有難うございます!時間はいつでもいいので
ギルドに入らしてくだされば結構です。」
随分俺たちに配慮した感じだな。
ゲームだから融通が利くってことなのかな?
「わかりました。時間が出来たら此方に伺います」
クレアさんとの話が終わり、俺たちは今度こそギルドを後にした。
「なぁ・・・ユウ。今度じゃなくって
今会えばよかったんじゃないか?いつでも良いって言ってたし」
それはダメだろ・・・。特にクレアさんの頼みなら尚更だ。
「紫苑。クレアさんが俺たちに最初にした詐欺紛いの事を覚えてるか?」
「ああ。だけど、あれはクレアさんに限った話じゃなくて、
他の受付の人も同じ事してたんじゃないか?
サラちゃんも引っかかってたんだろ?」
そうなんだけどな、クレアさんの場合それだけじゃないんだよな・・・。
「これはあくまで憶測だけどな。
クレアさんが紹介してくれた宿があるだろう?」
「ん?さっきユウが殺された宿の事か?」
そう俺はその宿の店主に殺された。
これはクエストだからしょうがないと思う。
だが問題はそこじゃない。
「そうだ。だけどクエストは強制だったんだぞ?
もしも、俺が剣士クエを紫苑がいない時に受けていたとしたら?
もし、紫苑にお金を預けずに、そのまま戦って死んでいたとしたら?
そうなっていたら、俺は所持金の全てを失っていたことになる。」
俺たちはクレアさんに宿屋の場所を教えてもらい
偶然そこに必須とも言える剣士専用クエストがあり、
さらにそのクエストは強制的にLv50の元冒険者と戦うことになり
さらにさらにクエストをクリアするには
死ななければならないというおまけ付だ。
・・・もう狙ってるとしか思えないんだよね。
「確かにそうだけど・・・。偶然・・・じゃない?」
「紫苑。ここまでされたら偶然って言うのは
ちょっと無理があるんじゃないかな?」
もちろん、クレアさんだけがあの宿屋を紹介している訳ではないだろう。
もしかしたら剣士には皆あの宿屋を紹介する
決まりでもあるのかもしれないし。それもどうかと思うけどな。
「とりあえず、用心しておくに越したことはないって事だよ」
「そうだな・・・」
俺たちはそう言ってログアウトするために、宿屋、永遠の眠りへ向かった。
宿屋 永遠の眠り
「・・・・」
「え・・・っと、先ほどはクエスト有難うございます。
御蔭で無事スキルを習得できました」
そう言って俺はグラサンのおっさんに御礼を述べる。
「・・・・エグリドだ」
「へ・・・?」
「・・・・俺の名だ」
なんとおっさんが、いや、エグリドさんが名前を教えてくれた。
「俺はユウといいます。よろしくお願いします」
そういえば俺も自己紹介してなかったな。
「俺は塩な!よろしく」
その自己紹介はどうなんだ?
エグリドさんが頷き、鍵を渡してくる。
「・・・・305号室と306号室」
まだお金払ってないんだけど・・・なんでだ?
そう思っていると、エグリドさんが疑問に答えてくれた。
「・・・・サービスだ」
どうやらエグリドさんは結構いい人なのかもしれない。
見た目で判断しちゃダメだね。
美人の人でも、腹黒い人がいるかもしれないしね。
有難うございました




