腕輪と約束
続きです
食い倒れ飯屋 ゴッドの店
俺たちは飯屋で、注文を待ちながら
ヒュージスライムの事について話していた。
「紫苑にサラ。さっきの戦闘なんだけどな、なにかドロップしたか?」
「いや、俺は何にも出てないぞ」
「私も何もなかったけど・・・?」
うん。俺の方ではドロップしてたんだよね。
二人にドロップしなかったってことは、結構レアな物なのかもしれない。
「その顔は・・・。何かドロップしたのか?」
そう言って紫苑が此方を伺ってくる。
サラも興味があるのか、じっとこちらを見ていた。
俺はニヤリと笑いながら、アイテム欄からドロップ品を出し。
「ああ、これがヒュージスライムからドロップした」
そう言って、ヒュージスライムがドロップした腕輪を、
テーブルの中央に置いて見せた。
「腕輪か?」
紫苑がドロップ品について聞いてくる。
「ああ。それもただの腕輪じゃない」
体力の腕輪 体力を2アップする腕輪 他の装備と組み合わせて装備しよう!
「おおおお!これ凄くね?体力2もアップするとかw」
「・・・じー」
紫苑は何時も通りのテンションだが、サラの反応がよく分からない・・・。
「この装備なんだが、紫苑とサラさんにも協力してもらって
ゲットした物だから、この腕輪の所有権は、
俺たち三人にあると思うんだ。」
「そうだな。でも、ユウの装備にしちゃっていいと思うぞ。
盾役なんだし。もちろん、サラちゃんがよければの話だけど」
「私もそれでいいですよ。途中参戦でしたし、後衛ですから
ダメージを受ける機会も、そんなにないですから」
二人とも装備を譲ってくれようとしている。ぶっちゃけ凄くうれしいんだが、
今後の事も考えると貰うだけっていうのはダメだ。
「二人ともありがとう。お言葉に甘えて大事に使わせてもらうよ。
だけど、体力はHPに直結するステータスだし、盾役以外にも確実に
恩威がある装備だからさ。どうだろう?今週の週末辺りにヒュージ
スライムを乱獲するっていうのは?」
俺の言葉に二人とも反応する。どうやら俺に譲ったものの、
やっぱり二人とも欲しかった様だ。そりゃそうだ。
MMORPGをやっている奴なら、だれだって
いい装備は、出来るだけ揃えておきたいと思うものだ。
もちろん俺もその一人だがな。
「いいんじゃないか?俺はユウに賛成するぞ!」
紫苑は乱獲に賛成のようだ。サラさんは参加してくれるかな?
というか、サラさんが参加してくれないとでかスライム
に勝てるかどうかも怪しくなってきちゃうんだけど・・・。
「私も参加しようかな・・・。実を言うと、私も少し欲しかったの」
ですよね。腕輪をじっと見ていたから、
もしかしてと思ったけど、誘ってよかった。
「よし決まりだね!ヒュージスライムは経験値も多いから
Lv上げもできるし、それにサラさんも討伐クエストをやれば
1000Gの報酬も手に入るよ!」
「1000G!?・・・絶対に参加するわ」
腕輪よりお金の方が興味があるようだ。
まぁこのゲームお金に厳しいしね。魔法スゲー高いし・・・。
「あはは・・・。それじゃあ今度の日曜日の午後一時に、
冒険者ギルド前に集合ってことでいいかな?」
「ええ、構わないわ。」
「俺もそれでいいぞ!」
二人と約束したところで、注文した料理がきた。
俺が注文した料理はナポリタン。
紫苑は味噌ラーメンで、サラさんは蕎麦だった。麺類ばっかだな。
俺はさっそく、フォークにナポリタンを巻きつけ口に運び食べる。
もぐもぐもぐもぐ
「・・・・なんだろう。すごく普通だ」
サラさんも微妙な表情をして食べているが、
隣で食べていた紫苑は気にせず食べている。
ラーメンは美味しいのかな?
「蕎麦もそんな感じがする。不味くはないんだけど、
麺が少し伸びてるみたい・・・。汁もちょっと、
醤油の味が強い気がするし」
まぁ、食事専用のVRゲームでもないし、しょうがないのかな?
などと思いつつ俺たちは料理を完食する。
「先に魔法屋に行こうか。
そこで討伐クエストも受けられるからさ」
「ええ、わかったわ」
そうして俺たちは会計を済まして、食堂を後にするのだった。
魔法屋に着いた。何度見ても不気味な店だな
「ここだ。サラさんはもう、ここに来たことはあるかな?」
見習い魔法使いだし、魔法屋くらいはもう来たかなと思って聞いてみる。
「いえ、ギルドを出た後、
直ぐに外に出て貴方達と会ったから、ここに来るのは初めてよ」
ん?なんで直ぐに外に出たんだろう・・・。普通は装備を整えるはずだし。
「装備とか買いに行かなかったの?」
「・・・・」
俺は疑問を口にしてみると、サラさんはなぜだか黙ってしまった。
「どうしたの?」
「・・・・たのよ」
「へ・・・?」
「お金、預けたのよ・・・」
「ああー・・・」
いたよ犠牲者
どうやらギルドに騙されお金を預けてしまったようだ。
でも、すぐに引き出して装備を買いに行けばいいんじゃないか?
だが俺のその疑問は、直ぐに解消されることになる。
「だってしょうがないじゃない!預けた後、直ぐに引き出したりなんかしたら
私は騙されました!って自分から言っているようなものじゃない!
そんなの冗談じゃないわよ!」
「あ・・う・・・・うん。そうだね」
「だから外の敵を倒して、お金を稼ぐつもりだったのよ・・・」
なるほど、1000Gに反応したのは、物が高くて買えないからじゃなく、
騙されてお金がなかったから、だった訳か・・・。
まさか犠牲者がこんな近くにいるとは思わなかった。
「誰にでも、失敗はあるよ・・・うん。」
「そうだぞ!俺もユウがいなかったら、騙されてたところだったぜ!」
サラさんが俯いて、どんよりとしたオーラを発している。
「さ・・・。そんなことより、魔法屋に入ろうか。
いつまでも店の前で駄弁ってる訳にもいかないしね」
「・・・・そうね」
「おう!早く入ろう!」
俺たちはそうして店の中に入る。
そこには前に来たときと同じように、
婆さんがカウンターの中から、
此方を見て口元を吊り上げながら、
うざい笑い声を上げていた。
「イェーヒェッヒェッヒェ。また来たね・・・。
おや?今度は見習いの魔法使いが一緒だね。
しかも女ときたか、どこで引っ掛けてきたんだい?」
相変わらずうざったい笑い方をする婆さんだな。
「おい[自称]大魔法使い!なにが、こんぼうで倒せるだ!
何度殴ってもプルプルしてやがったぞ!」
そう言って、俺は婆さんに怒りをぶつける。
「ダメージは入っていたのじゃろう・・・?
なら、いつかは倒せるはずじゃ。
どれくらい時間が掛かるかは知らんがの。イェーヒェッヒェッヒェ」
こんのクソ婆が、ふざけたこといいやがって!
「それにヒュージスライムの推奨討伐Lvは確か5以上だったはずじゃが
御主たちは、何Lvで戦っていたのじゃ?」
討伐Lv5以上とか・・・、俺Lv3だったぞ!?紫苑なんてLv2だ!
なんで、低Lv攻略なんてやってんだよ!
「Lv3・・・だ」
「イェーヒェッヒェッヒェ!!それはちゃんと
敵の情報を確認しない、御主たちが悪いんじゃないかのう?
人を非難する前に、自分たちの何が悪かったのか、
ちゃんと考えるべきなんじゃないかのう?のう?」
「ぐぬぬ・・・。」
正論すぎて何も言い返せない。
この婆さんがむかつくのは変わらないがな!
「あの・・・お婆さん、私にもユウさんたちのように
クエストを発行してもらいたいんですが・・・」
「イェーヒェッヒェッヒェ。いいじゃろ、いいじゃろう。
御主は見習いとはいえ魔法使いのようじゃからのう。
こやつらを盾にして狩るとええ。イェーヒェッヒェッヒェ」
「お婆さん、ありがとうございます。」
どうやら無事に、サラにもクエストを発行してもらえたようだ。
「ばあちゃん!俺たちにも、もう一回クエストを発行してくれよ!」
紫苑がクエスト発行を催促する。でも。
「ダメじゃ。これは一人一回だけしかクエストを発行できないのじゃ。
残念じゃったのう?」
「んだよー!これで金が稼ぎ放題だと思ってたのによ~」
・・・まぁ、そんな旨い話はないよな、
ていうか、なんで二人の婆ちゃん発言はよくて、
俺の時は黙るんだよ?バグじゃね??
イェーヒェッヒェッヒェ
まだ続きます




