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ERROR CODE 2x003 であい

遅れました。

正月ネタの仕込みや帰省でドタバタしていてあまり書き進められませんでした。いつも通学の電車内で書いていたので…

表紙に「半生体型高機動魂筐体試験機第二フェーズハードウェア/ソフトウェア性能目標及び取扱いにおける注意事項に関する参考資料」と書かれている分厚い説明書を開く。

「2-9生体器官概要」を目次から探し、開く。

この身体は食べることはできるのか?折角呼ばれた歓迎会で食べないと失礼極まりない。確かウイダーが大丈夫だというから普通に食べられるのではないか。ページをめくる指に力が入る。

「……試験機には自衛隊による人型自律高機動戦闘機設計時と同様消化器官は設けていない。その理由には、スペース上の問題というよりも人工消化器官の技術的問題というところが大きい。しかし、試験機には非戦闘員としての日常生活を考慮して簡易的な食道と吸収器官を設置している。これは生体部品ではなく、高耐久性軟質ゴム素材で成型された機械部品の一つであるため、2-13ハードウェアその他に詳述する。……たらい回しかよ」

またページをめくる。

「……簡易疑似消化器官は高耐久ゴム素材を用い、モーターによる嚥下機能を装備。数ヶ所の逆流防止弁と容量5リットルの胃腸相当部位をもち、通常の食事も可能である。ただし、咀嚼したものをほぼそのまま排出しなければならない。あくまで通常の人間と生活形態を似せる擬似的なものでしかない。」

ここまで書いてあれば充分か。殆ど吸収出来ないのなら、普段は要らないだろう。こういう場だけ食べればいいか。

俺は安堵し、説明書を閉じた。


図書館で借りた参考書を開いて机に向かう。勉強は苦ではない。むしろ人と接することの方が苦手だ。今度こそそれを克服できるのだろうか……。

参考書には相も変わらず単調な文章が並んでいる。これじゃ教科書の方がよっぽどわかりやすい。

ページをぱらぱらとめくり、三年の範囲まで進める。事故から今まで一週間、今から転入までの一週間、授業が進んでしまっているだろう。わかりきった過去の範囲よりも予習しておいた方がいいのではないだろうか。

次第に外が暗さを帯びてきた。


風呂から上がると、パソコンを開いて携帯を繋ぎつつインターネットで「オオタロボティクス」と検索する。

検索結果の一番上に出てきた公式サイトを開くと、誇らしげにマイクロモーターの写真や医療用看護プログラムなどが掲載されていた。

そこに自分はなかった。機密中の機密だから当たり前なのだが、少し寂しさを感じた。

オオタロボティクスはマイクロモーターを最大の収入基盤としてそれで様々な研究を行っているようだ。渡された資料を見ると霊魂隔離装置や半生体型高機動魂筐体の他に、機密事項となっているがコンバートEVや反重力装置の研究もしているようだ。こんな資料渡してもいいのか。

俺はパソコンを閉じると携帯を手に取り、布団に入った。携帯のアラームを7:00に設定しヘッドセットをかぶって電気を消す。早起きの基本は早寝だからね。


夕方、インターホンが鳴った。戸を開けると、長田さんだった。

「こんにちは!ちょっといいかしら?」

突撃、といった感じだった。そういえばバッテリーとかヘッドセットとか出しっぱなしだ。見られるとまずい。

「ちょ、ちょっと待ってください。部屋片付けてきますから」

「いいのよそんなこと。私は気にしないから。」

「こっちが気にするんです!とにかくちょっと待っていてください!」

ドアに貼り付いた長田さんの手を引き剥がすと、無理やり閉める。急いで奥の部屋へ戻り、ヘッドセットやバッテリーを箱に戻しクローゼットに仕舞い込む。書類などの入った封筒は部屋の隅のパソコンの空き箱に入れて蓋をする。

これで大丈夫かな。玄関へ戻りドアを開ける。


増えていた。いや、最初からいたことに気づかなかっただけだったのだろうか。

長田さんの後ろには女性ばかり4,5人が立っていて、それぞれ手を振ったりニコニコしたりしている。

「もう、いきなり締め出すなんてひどいなぁ。」

唖然としていると、長田さんが口を開いた。

「安心して。ここにいるのはこのアパートの住人だけだから。じゃあ、失礼するわね。」

そう言ってずかずかとなだれ込んでくるので、そのまま自分も部屋へ流される。

「これだけ?」

長田さんがまた声を上げる。

「暮らし始めたばかりなので最低限なんです。」

とりあえず弁明する。でも細かく突っ込まれたら危ないな、とこういう時だけ頭が早く回転する。

「そう。あ、そうそう。今日は明日の歓迎会のお誘いというか、準備というか、前夜祭に来たの!」

長田さんが胸を張る。依然として唖然とする俺。いくらなんでも急すぎる……。

「以前も自己紹介したけど私が107号室の長田。改めてよろしくね。」

「203号室の木村です。よろしく。」

「私は104号室の日向。よろしくお願いします。」

「201号室の高橋です!よろしく!」

「そして私が102号室の吉野です。以後見知り置きを。」

一度に多くの自己紹介が来て混乱しかけたが、なんとか顔と名前は覚えることができた。これが4.6GHzクアッドコアの処理能力か。多分違うけど。

「よろしくお願いします。」

机の反対側で座り直して頭を下げる。礼節は大事だからな。

「そんなわけで、いろいろ質問したいんだけど、いいよね?」

「え、ええ、まぁ……。」

押し切られてしまった。どうやってごまかそうか。そんなことも考える間もなく高橋さんが声を上げる。

「じゃあ私から!どこから引っ越して来たんですか?」

「富山です。」

男だった頃、住んでいた故郷の名を答える。俺の骨はきっとそこなのだろう。

しかし、反応は予想外のものだった。

「富山って……、どこ?」


この場にいる全員の目が凍りついた。

高橋さんは皆の反応に意味が分からないというふうに首を傾げている。

沈黙を破ったのは吹き出した日向さんだった。

「ちょっと、富山も知らないとか大丈夫?」

皆一様に笑っている。高橋さん同じ年代だと思うんだけどな…。そう考えてるうちに長田さんも乗ってくる。

「富山だよ?富山っていろいろすごいんだから、ねぇ太田さん」

ここで突然話が振られるってことは長田さんも知らないんじゃなかろうか。

「え、えぇと凄いですよ、三菱ふそうバス製造や光岡自動車、村田製作所に不二越、そしてYKKといった世界的なメーカーが多くあります。特にYKKはアルミサッシで国内トップな上にファスナーの世界シェア90%を占める大きな会社なんです。あ、あと事務用品で有名なコクヨの創業者が富山出身だったりもしますね。」


俺、そんなにつまらないこと言った?みんな固まってるんだけど…。



おおまかにプロットを練っても細かいところでつまづいてしまう……。

更新もないのに読みに来てくれた方には心より感謝申し上げます。

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