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ブラック君主に仕えていた騎士が逃げ出して、可愛い嫁を貰って、君主たちに復讐する話  作者: 信礼智義


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5 ピストの町へ

作品をご覧いただければ幸いです。どうぞお読みください。

 森の側で一泊してまた歩き始めた。北東に歩いていくと、馬車と出会った。

 「おおい、乗せてくれ」俺が叫ぶと、「ピストの町までだがいいか?」と御者台にいる男に言われた。

 「とりあえずそこまでお願いする」と言って3人で乗り込んだ。

 「その獣人はお前のか」と尋ねてきたので、「そうだ。貸さんぞ」と言うと、にやにやしながら「獣人はあそこがいいらしいからな、ピストの町にもいるが、獣人を妻にしている男が結構いるぞ」と言ってきた。

 「ピストでは獣人に対する差別はないのか」と尋ねると「まあ、この国は獣人がたくさん住んでいるからな、露骨な差別はないがやはり人より下に見られているな」と男は返した。

 「ピストの町は城内が人間の街、城外の矢戎門の外側に獣人が住んでいる。獣人と人のカップルは矢戎門の内側に住んでいる。お前らは矢戎門のところで宿をとったほうが良いだろうな」と教えてくれた。


 夕方ごろ町に着いた。城内に入ったところで男と別れた。別れ際、男にはお礼として銀貨1枚を握らせた。「おう、ありがとな。矢戎門は町の外周部を西に行ったところにある。気を付けていきな」とにこにこしながら教えてくれた。


 俺たちは道を西に向かった。獣人の姿がちらほら見える。このあたりは商人街のようだ。ここで働く獣人たちがそろそろ帰ることなのか、西に向かう者がかなりいた。彼らについて行って、矢戎門のあたりにたどり着いた。

 宿を探すと1件よさそうなところが見つかった。どうもこのあたりだとかなりいい宿のようだ。

 中に入ると、「いらっしゃいませ」と猫耳の獣人女性が受付にいた。

 「一泊したいのだが、3人だといくらになる?」と尋ねた。

 「部屋は一つですか?それともあなた様とそれ以外の2つですか?」

 二つにしようと考えたが、シャリアに腕をつかまれた。

 「旦那様、一つにしましょう」アリアが言った。

 ああ、彼女たちは俺と別の部屋が怖いのかもしれない。何せ俺が不在の時に襲われたのだからな。

 「それじゃ一つで」と言うと、受付の女はにやにやしながら「お湯をお持ちしますね。あとシーツの替えが必要ですね」と気を利かせて言ってきた。

 「追加含めていくらになる」と聞くと、宿代が銀貨2枚、その他が銅貨30枚です」と言ったので、その分のお金を払った。

 「ありがとうございます」と言いながら、開けつけはボソッと「なんなら私も部屋へまいりましょうか?銀貨4枚になりますが」と言ってにやにやした。

 金貨1枚が銀貨10枚、一夜の恋人を買うと、場所代も含めて銀貨6枚から10枚と言うところである。何で知っているかだって?

 まあ、俺も軍人だし、兵や下士官が遊びに行く話を聞いているからな。

 おれは、行ったことがない。貴族はそういう店に言っていけないことになっている。

 まあ、上級の貴族だと、そういう相手がメイドとして用意されているし、下級貴族だと親知り合いの未亡人とか探してきて、相手をしてくれることになっていた。

 まあ、俺には縁のない話だが。


 俺は宿の受付に当然のことだが不要だと言った。


 宿で食事をして、お湯で体を拭いてから寝た。母娘は俺の体を拭こうとしたが、大丈夫だと言って断った。

 ベッドは一つ大きいのがあったので、二人はそのベットで寝るように言い、俺は床に寝ようとした。アリアもフィリアも主人を床で寝かせるわけにはいかない、私たちが床に寝ると言い張った。

 結局みんなでベッドに寝ることとなった。

 俺を挟んで、二人が寝る感じになった。二人の暖かい体温を感じながら、俺は眠りについた。

 朝起きたら、二人の機嫌が少し悪かった。


 俺のいびきがうるさかったとか、寝相が悪かったのかと思いあやまったら、「どうして私たちに手を出さないのですか。てっきりそのつもりで私たちを手に入れたと思い、覚悟をしていたのですが」と言って恨めしそうにアリアに言われた。


 無理やり男たちの相手をさせられていた二人に、無理な真似はできないと言い訳していたが、実は単なる意気地なしなのだ。

 俺は女性とそういう関係どころか話したことすらほとんどない。

 軍事学校は男ばかりだったし、軍、特に俺は10年間戦場暮らしだ。

 これでは女の子と知り合う機会なんかない。


 今回、この母娘を助けたのは、美人だったということと同情もあったけど、母親以外でまともに話した女初めての人だったからだ。拗らせ童貞としては仲良くなった女性が困っていたら何とかしたいと考えるのは普通だろ。

 でも俺も男だし、性欲もある。というか、戦場生活が長かったせいで、女には飢えていると言っていいだろう。

 アリアとフィリアのふかふかの尾をもてあそびたい、狐耳に触りたい、そして最後までしたいと言うよこしまな心を持っている。

 でも嫌われたくない、最初に会ったような感情の無い目で見られるなんて耐えられない。

 やっと、普通に話ができるようになって、普通に対応してくれるようになったのにそんなになったら、心が折れてしまう。

 もうすこし、関係を進めてから、少しづつ仲良くできたらいいなと思っている。

 手をつないで買い物に行ったりして、うまくすればキスとして、ゆくゆくは結婚……。

 ヘタレと言わば言え、意気地なしと言うなら言え、兎に角俺はこの二人と仲良くしたいのだ。


 朝になった。俺は2人に留守番を頼むと、商人ギルドに行った。

 商人ギルドは矢戎門の側にあった。

 思ったより小さな建物で、中に入ると、受付が3つ並んでいた。受付には、猫獣人とウサギ獣人と犬獣人の女性が座っていた。ぶっちゃけ三人ともとてもスタイルが良い美人だった。

 「あの、すいません」と俺が猫獣人に声をかけると、「いらっしゃいませ、商人ギルド矢戎門出張所にようこそ」とにこりとしながら声をかけてきた。

 「商人ギルドへの登録と、売払いと受注の手続きについて教えて欲しいのですが」と言うと、「まず、こちらの用紙にご記入ください」といって、紙を差し出してきた。

 内容は大した量ではなかったので、直ぐに書くことができた。

 ただ出身地を書く欄があったので、「これも必要ですか」と尋ねると「できれば記入をお願いしております。嘘を書いても構いませんよ」とにこにこ笑顔で言ってきたので、少し怖くなったため正直に書いた。


 「はい、記入はこれで完了です。ギルドの会員証ができるまで売払いと受注の説明をさせていただきます。買取はこちらの窓口に持ち込んでいただければ随時行います。ただ、値段は相場に基づきますので、変動する可能性があります。受注は、当方から採取、採掘など商品の提供を依頼し、そのものを納品していただくことです。あちらの掲示板に依頼の紙が貼ってありますので、希望する物は剥がして窓口にもってきてください。そうすればその依頼を受け付けたことになります」

 「依頼達成期限は?」

 「依頼の紙に書いてあります。なお、達成できなかった場合のペナルティはありません。しかし、依頼未達成が続いた場合は、依頼受注をお断り、若しくは制限させていただきます」

 「この依頼は商人ギルドだけの依頼ですか」

 「冒険者ギルドの方にも同じ依頼がいっています。依頼の受付が済むとすぐに連絡があり、同じ依頼を取り下げることになっています」

 「出張所と言いましたが」

 「はいここは町の中央にある商人ギルドの矢戎門出張所になります。獣人族はなかなか人間街には行きにくいので、この地域の獣人対象の商人ギルドになっています」

 「やはり差別はあるのですか」

 「差別と言うほどではないのですが、獣人は人より下に見られますからね。気分は良くないです。また、人間の街では質の悪い奴に因縁をつけられる場合もあります」


 いろいろと尋ねているうちにギルドの身分証明書ができたのでそれを受け取った。

 あと最後に貸家の手配はどこへ頼めばいいか尋ねたら、商人ギルドで対応すると言うので、条件を伝えて、探してもらうことにした。なお、女獣人の従属者がいるので、矢戎門街の中でも治安が良い場所でお願いした。

 受付の女性はニコニコしながら請け負った。


 冒険者ギルトにも登録しようと考えたが、冒険者の方は護衛依頼や猛獣退治などがメインで、俺自身、長期にアリアたちと離れる気がなかったので登録をやめた。


 宿に戻ると、二人は部屋で待っていた。「お帰りなさい、ご主人様」と言ってきたので、「ただいま」と言った。帰りを待ってくれる人がいるのはとてもいい、そういえば丁度お昼時なので、3人で食事に行こうと声をかけた。

 2人は嬉しそうに「ついていきます!」と言った。

 3人で肉料理を食べに行った。

 最初あたりは床に座ろうとしたので、無理言って椅子に座らせた。

 3人で肉をたっぷり食べ、さらにデザートを食べ帰路に就いた。

 アリアには薬を飲ませた。まあ、だいぶ元気になってきたので、もういいかもしれないが念のため。体に害のあるものではないので、問題ないだろう。


 幾日か過ぎて、貸家を借りられたので宿を出ることになった。

 宿をチェックアウトした時、受付の獣人、サマンサと言った、が「旦那、二人に手を出してないのかい?シーツが全然汚れなかったからね。もし溜まっているようならいつでもおいで。相手してあげるよ」と耳元でささやくので愛想笑いしてごまかした。

 すると、アリアとフィリアが少し不機嫌そうに、「旦那様、あの方に相手してもらわなくても私たちが満足させますから」と言ってきた。


 貸家は2階建てだった。1階に俺がこだわった台所と風呂、倉庫があり、2階には寝室2つと居間と、洗濯を干す用の物干し場がある物件だった。

 ちなみに倉庫は何か店を開いていたらしく、その部分を倉庫に改造していた。

 寝室は俺とアリアたちで分けようとしたら、猛反対をされ、3人が余裕をもって眠れるだけの大きなベ ッドを入れ、もう一つには客用として普通のベッドを入れた。


 俺は、毎日商業ギルドに通い、依頼を受注していた。

 町の側には大樹海があり、そこへ行って依頼品を取ってきた。たまに猛獣ともであったが、難なく片づけた。浅い部分の猛獣など俺の敵ではなかった。

 街で露店も開いた。大樹海で取ってきたものを盗ったり、作った薬草や道具を販売していた。最初は失敗も多かったが、そのうちコンスタントに利益が出るようになり、露店にも固定客がつくようになった。


 商業ギルドでは商売の基本を教わった。俺は武人として命を懸けて戦ってきた。だからどんな世界でも生きていける自信があったが、それは間違いだったことを教わった。

 商売の世界は武力を使わない代わりに知恵と知識を使い、シビアで命がけだった。


 大樹海では冒険者に会うことも多い。 まあ、無視してくるか、逆に丁寧にあいさつしてくる奴もいる。

 たまに、猛獣がどのあたりにいるか聞いてくる奴もいるので、案内してやることもある。

 危機察知能力で、猛獣の居場所を特定してやると、そこへ突っ込んでいった。

 たまに猛獣にやられそうになることがあり、助けてやることもある。

 まあ、俺が倒した猛獣は俺がもらうのだが。

 基本倒したものがその猛獣の所有権を持つのがきまりなので、冒険者が文句を言うこともなく、感謝されるのが普通だった。


 ある時、冒険者たち8人と出くわした。

 「お前冒険者か?」と聞いてきたので、いいえ商人ですと言うと、「おれたちの邪魔をするなよ」と言い捨てて奥地へと消えて言った。態度が悪い奴だと思ったが、別にケンカする必要もないため、ほっておいた。


 しばらく採取に集中していると、叫び声が聞こえてきた。

 「助けてくれ!」

 助ける義理はないが、猛獣は金になる。急いで現場に向かった。

 冒険者たちはオオカミ型の猛獣10匹以上に囲まれて、今にも食われそうになっていた。

 俺は剣を抜き、猛獣たちの中に突っ込んでいった。

 数分後、猛獣たちは首の動脈を切られて息絶えていた。

 アイテムボックスに収納していたら、「あんたのおかげで助かった。ありがとう」と冒険者たちは俺に頭を下げてきた。


 「別に構わん。お前達気を付けて帰れ」と言って去ろうとすると「待ってくれ。あんたが盗った獲物、俺たちに返せ」と言ってきた。

 「人聞きの悪い、お前たちが狩った分はそこに残してあるぞ」と指をさして冒険者たちが倒した猛獣2匹をさし示した。

 「違う、お前がアイテムボックスにしまった分だ。俺たちが目を付けたのだから俺たちのだ」と言い出した。

 「おいおい、冒険者ギルドの掟では倒したものの所有物になるのだろう。無理を言うな」というと、 「うるさい、俺たちの物と言ったら俺たちの物だ。早く返せ!」と言って俺を取り囲んで剣を抜いた。


 「ほう、俺とやる気か?それならそれで考えがあるぞ」と言って剣を抜いた。

 「さっきの俺の戦い見ていただろう。お前ら何て一瞬だぞ」と脅かしてやった。

 冒険者たちはへっぴり腰で「お前が俺たちの獲物を取ったとギルドに報告してやる。お前はもう終わりだぞ」と叫んできた。

 こいつら殺すかと思って、しばらくにらみ合いをしていると、気配察知がごく近くにかなりの数の猛獣の気配を感知した。

 俺は剣を下すと、「仕方がない、ほらよ」と取った獲物をアイテムボックスから出してその場に積んだ。

 「素直にそうすればいいんだ」と冒険者たちはほっとした様子で言った。

 「じゃ、俺は帰るからな」と言って、しばらく森を戻ったところで、木の上に登り、冒険者たちの様子を見た。

 奴らは猛獣の回収にいそしんでいた。

 その時、ライオン型の猛獣が奴らに襲い掛かってきた。その数8匹、その場は阿鼻叫喚に包まれた。どうもオオカミ型の獣の血の匂いに誘われてきたらしい。

 「助けてくれ~」「さっきの人、どこへ行ったんだよ」「いやだいやだ」「この野郎この野郎」「俺、食われてる、食われてるよ~」

 冒険者たちは必死に助けを求めていたが、誰も助けてくれなかった。俺は高みの見物だ。まあ、それが冒険者の流儀としては普通なんだけどな。

 全員が殺された後、おもむろに木から降りて猛獣たちを皆殺し何した。さっきのオオカミ型とライオン型、死んだ冒険者たちを集めて、冒険者ギルドに行った。

 冒険者ギルドで冒険者たちの死体を出して、猛獣に襲われ殺されていたので死体だけでもと思い届けましたと言うと、感謝され一人につき銅貨20枚をもらった。


 猛獣たちは依頼品と一緒に商人ギルドに卸した。結構いい儲けになった。


 家に帰ると、アリアとフィリアがいた。

 「「お帰りなさい、ご主人様」」と笑顔で言ってくれた。

 お帰りと言ってくれる家族がいるととっても嬉しいものだ。


お読みいただきありがとうございます。ブックマーク、星など頂けると大変ありがたいです。

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