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「お父様、これの対価は?」
「絵画の購入代金だと言っていたが…彼の絵じゃないのか?」
「マティアス氏!」「多分そうだ」
確か北の陛下は伯父に絵画の購入を頼んでいた。まさかこれで?
「お嬢、誰の絵画か知らんが魔力石ならまだしも、この魔石は公爵位が一つ買えても不思議じゃない量だ」
「そうだよねぇ、リコピン」
「陛下と来て正解だったなお嬢。帰りも陛下と一緒が良いだろう。陛下の護衛なら安心だ」
「どうしてこんなに北に魔石が?」
「リリ、絵本に書いてある。お前が持って来た絵本だ」
「北の女神は戦う女神?」
「そうだ。魔物から北だけじゃなく、西も東も守っている。魔石は魔物だった物だ。年月の経った魔物は魔石になるから、北には女神が倒した魔物の魔石がたくさんあるんじゃないか?」
「お嬢、北も魔法が生きている国だ。魔石は必要無い。だからこれは北にとって価値はあっても石ころなんだ」
伯父様が言っていた。今回助っ人は一人しか思い付かなかったって。でもその一人が凄過ぎる。
「お父様!私、これで殿下を買い戻して来る!」
「イイぞ!お嬢!」
「あら?第三王子殿下はどこかに売られて行ったの?」
はっ!そう言えば子爵家の皆は、まだ事情を知らないの?
「ねぇお父様、王妃様が子爵領に来た理由を知らないの?」
「ん?聞いてるよ。確か王女殿下の嫁いだ南の王族が襲撃を受けて第三王子まで巻き添え食って危険な目にあったから、お心を痛めたんだろう?」
「それだけ?」「他にもあるのか?」
「‥‥‥」「じゃあこの魔石は何の為に必要だと?」
「だから絵の代金だろ?」
私も、姉もリコピンも絶句した。
「公爵様は王妃様の名誉の為に少し理由をお隠しになったのよ」
翌朝、朝食を食べながら王家の今の状況を説明する。
「そうか。王妃様は元々、痛めておられたお心に、更に第三王子殿下まで遠い他国に奪われると思って塞ぎ込んだのか」
塞ぎ込んだと言うより暴れておられましたが、それは王妃様の名誉の為に黙っとく。
「でも元気になって良かったじゃないか。こっちでは信じられないくらい元気に毎日遊んでたぞ」
「そうそうご飯もたくさん召し上がっておられたわ」
「それにその魔石で殿下を買い戻せるなら、解決だろ」
殿下は売られた訳ではないのだが…。
「リリが買い戻すとか言うからよ」
姉が横から正論で突っ込んでくる。
「まあお嬢、とりあえず南はその魔石があれば、火山の国の言いなりにはならずに済む訳だ。解決には近いだろう?」
「ねぇでも殿下のお気持ちはどうなの?火山の国に行く事は王族の務め!とか言って行く気満々だったりしないの?」
「お母様!第三王子殿下はリリと相思相愛なのよ!」
「姉ちゃん!!」
それはまだ分かんない!まだ殿下に何も言われてないし。お互いそうかな〜のレベルなんだけど…。
「ララ、でもリリは子爵令嬢だ。ただの下位貴族の令嬢なんだよ。確かに兄のとこの養女になればいいけど」
「うちでもイイぞ」「え?リコピン家は関係無くない?」
「でもうち公爵家だぞ」「だったらライオットのとこだって」
「ガブリエラ姉様のとこも公爵家よ」
おいおい本人を置いて進んで行くなよ。
「リリ、一体どこの公爵家にするんだ?」
どうしてそうなるー!?




