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「ビーバーちゃんの予感は当たっているよ」「へ?」
王女殿下も時々、人の心を読んでいるのか?と思うような事を言う。
「火山の火の粉の妖精って、炎から生まれて散る火の粉の事を言っている。つまり美しいけど男にチヤホヤ一瞬されただけで、消えていく女って事!」
あ、そ〜いう嫌な例えをされた予感って事?いやちょっと違う。良い例えをされてないだろう事は最初から感じてたし。
それじゃなくて私が感じたのは、もっと全体的に嫌な感じの予感なんだけど。
「ホント、私のビーバーちゃんに何て失礼なことを!」
だけど王女殿下はご立腹だ。
「女王陛下とは、毎回、あまり気が合わないみたいなんだよね。さあ行こう。ビーバーちゃんも」
ザウルス様が私と王女殿下を促すので3人で屋内に戻った。
今日はせっかく盆ダンス大会だったのに、何だか朝から微妙な気分になってしまったな。
気を取り直して朝食を食べていると、王太子妃様がリリベルの所にやって来た。
「ビーバーちゃん!火山の国の女王陛下にお会いになったんですって?!あの人、アイザックを狙っているのよ。以前も私にしつこいくらいアイザックの事を聞いてきたの」
ザック殿下が赤髪っていうだけで?と思っていると
「あの女、すでに自分は結婚して子供もいるクセに!」と仰った。
もしかして火山の国は一夫多妻?いや女王だから一妻多夫か。でも夫がすでにいるなら、殿下は2番目って事?側室?
「ビーバーちゃん!どうかアイザックを守って頂戴!」
え?王太子妃様、私はビーバーちゃんでも無ければ、殿下を守るってどうやって?
リリベルが目をシパシパさせていると王太子殿下がやって来て
「君はこれからワルツの準備だろう?それに怒ったらお腹の子供に障るぞ。落ち着くんだ。アイザックの事はビーバーちゃんが頑張ってくれるさ」
もうどこから突っ込むべきか分からなくなってきたところに
「彼女はリリベル嬢です。ビーバーちゃんとかではありません。それに彼女は学院の生徒会長なだけで、ザック殿下とは無関係です」
とマレシオン様がお怒りの様子で言って下さった。
「マレシオン様、そこまで怒らなくても…それに全く無関係という訳でも…「あなたは、ただの子爵令嬢でしょう!あなたに何ができますか?」
「!」マレシオン様の仰る通りです。
「我々もダンスの準備を始めましょう。男踊りと女踊りの後だから、あまり時間がありません!」
とマレシオン様が仰って、皆を引き連れて移動した。
ドレスはガブリエラ様の披露宴で着た緑のドレスと、もう1着持って来たのはターコイズブルーのドレスだった。
この国の人はドラゴン信仰で王族も青系が多いと聞いていたので、それを尊重したくて緑とも相性の良いターコイズブルーにしたのだ。
一緒にワルツを踊る侯爵令息の衣装の色を聞くのも忘れたが、ザック殿下も何色を着られるのだろう?まあパートナーじゃないから合わせる必要もないのだけど。
ドレスはこちらの侍女さんにも手伝ってもらうが、慣れてらっしゃらないのでリリアン様やシャーロット嬢と協力して着せ合う。
リリアン様は藤色のドレスをお選びだ。ユカタも藤色を選んでらっしゃったものね。やはりマレシオン様の事がお好きなんだろう。
シャーロット嬢は淡い黄色のドレスをお選びだった。
3人共系統の違う色で被らなくて良かった。
王太子妃様は恐らく藍色か紺のはずだ。王太子殿下の色のドレスで嫁がれたと聞いたから。そしてガブリエラ様はベージュかオレンジ。姉は…グリーンか紫か。紫ならリリアン様と被る可能性があるが隣同士で踊らなければ大丈夫だ。
会場の下見はしたので全員が集まった時に、マレシオン様と相談して決めた立ち位置を皆に伝える。ダンス会場は広いから大きな円型で踊らないとダメだ。振り付けも華やかで大胆に見えるようにアレンジしてある。
姉夫婦は一度も練習には来なかったが、アレンジ部分を伝えれば大丈夫だろう。
ザック殿下はあれから朝食時も会えていない。フィリップ様にも会えていないとガブリエラ様が仰っていた。
だがきっと大丈夫!国の威信を賭けてワルツを成功させなければ。
きっと殿下も同じお考えだ。




