221
早朝、目が覚めると外が騒がしく、どうやら火山の国の人達が到着したのだなと分かった。
ザック殿下達がいつも鍛錬していた中庭を彼らに提供するらしいから、今日の鍛錬は中止だろうか?と顔を洗い、身支度を整えて部屋を出るとガブリエラ様と遭遇した。
「ガブリエラ様、おはようございます」
「リリベル嬢、おはよう。あなたも外の騒ぎで起きたのかしら?」
「ガブリエラ様もですか?」
「私はこれから火山の国の方の所に挨拶に行くの。主人はもっと早く準備して殿下の元に行ったわ」
「ではザック殿下も?」
「ええ南の王族の方々と一緒にご挨拶されるのではないかしら」
「あちらも王族の方がお見えなのでしょうか?」
「女王陛下がおいでになるという話よ」
「女王陛下!私まで中庭に行ったりしたらマズイですかね?」
「大丈夫じゃない?でもヤバいと思ったら私の後ろに隠れて」
「ありがとうございます」
ガブリエラ様と中庭に着くと、大きなテントを建てている最中だった。1つだけではなく3つある。従者や護衛の騎士用だろうか?殿下達がいらっしゃるのが見えたので二人で急いで合流する。
「リリベル嬢、来たのか?」
「ザック殿下、おはようございます。済みません、ちょっと気になったので。後ろの方で静かにしています」
殿下は頷くと、南の王族方とテントの方に向かって行った。
「ビーバーちゃん、おはよう。火山の国の人を見に来たの?」
「王女殿下、おはようございます。済みません、好奇心で来てしまいました」
「私もビーバーちゃんに朝から会えて嬉しいから大丈夫だよ」
それは大丈夫って言うのか?!
「王女殿下は一緒に行かなくてもいいのですか?」
「ん〜私はビーバーちゃんといたいから」
「そうはいかないでしょ。王女殿下!さあ二人共来て」
ザウルス様に付き添われてリリベルも王女殿下とテントの方に向かう。
「女王陛下、ようこそ我が国に。今回のご予定は盆ダンスの鑑賞だけですか?」
「早朝に悪いわね。王太子殿下、後で陛下にもお詫びするわ」
「構いません。あなた方は友人ですから」
「そう言って貰って、とても有り難いわ。今回は盆ダンスもだけど、西の王子殿下がお見えになっていると聞いたから、ご挨拶をしたくてね。なかなか西の王族とお会いする機会はないから」
「そうですか。やはり…アイザック王子、紹介するよ。彼女は三年前に即位した火山の国の女王陛下だ」
「私が西の国の第三王子です。女王陛下、初めまして、どうぞ宜しくお願い致します」
「ああ、やはり!王太子殿下の結婚式で見かけた通り、あなたは美しい赤い髪なのね。知っていた?赤い髪は我が国の祖先が持っていた色なの」
「はい。父より遠い昔、火山の国の姫を妃に娶ったと。それ以来、我が王家にも赤い髪が産まれてくると聞いております」
火山の国の女王陛下は赤茶色の髪に金色の瞳が光っていた。
とても美しい方だけど、まるで猛禽類のような方だ。
リリベルがそう思っていると
「ワシかトンビみたいな人でしょう?」
と横の王女殿下が仰ってドキッとする。
聞こえてないといいけど。
「王女殿下もお久しぶり」
しかし、女王陛下から声がかかる。やはり聞こえていたんだろう。
「おはようございます。女王陛下」
けれど王女殿下はどこ吹く風だ。
リリベルだけががハラハラしているみたいだけど。
「そこのあなた…まるで金の髪が、火山の火の粉の妖精のようね」
女王陛下がリリベルを見て仰った。
それって褒められておりますのか?
でも「どうもありがとうございます」と、とりあえず言っておく。
だが女王陛下の興味は直ぐにザック殿下に戻ったようで
「今日のあなたのご予定は?」と聞いていた。
女王陛下のお目当ては赤い髪のザック殿下だったんだ。
リリベルは何か嫌な予感がするのだった。




