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前世も異世界転移もありません!ただの子爵令嬢です!多分?  作者: 朱井笑美


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「リリ、あまりキョロキョロするな!危ないだろ。ちゃんと兄ちゃんと手を繋ごうな。うわっ急に引っ張るな!」

「リリベルはそういう所、ちっとも変わらないな。本当、ジッとしていない」

「小さい頃からですか?」

「ああ。ベルナルドよりも手が掛かった。気付くと直ぐに消えているんだ」

「まあ!フフフッ。でしたら他の学院生にはお任せできませんね」

「ああ、でも我々だから甘えているのかもしれません」

「それなら、しっかり面倒を見ないといけませんね」

「兄に任せておけばいいですよ。兄はいつも兄妹を探す役だった」

「リリベル嬢だけではなくてですか?」

「そう。我々が来ると、なぜか隠れんぼが始まるんだ。面白いだろう?」

「なぜでしょう?」

「そうですねぇ。多分ですが、5人兄妹でしょう?子爵家は一人一人に使用人が付く訳ではなかったから、だから皆、大人や歳上に構って欲しかったんじゃないでしょうか。リリ以外は」


「リリベル嬢以外は?」

「そう。あの子は常時、居なくなってましたから」

「まあ。ライオット卿も大変そうですから、リリベル嬢の興味があるお店でお土産を見る事にしましょう」

「仕方ないな。そうしましょう」


「ガブリエラ様!見て下さい。扇子!この扇子、和紙という紙で作られているそうです」

「まあ綺麗な柄ね」「お土産にしましょー!」

「次こっち!」「リリ引っ張るな〜!でも手を離すな」

「ガブリエラ様!見て綺麗な色、珊瑚って言う海に生えている木?枝だそうです。このオレンジ、フィリップ様の瞳の色でしょ!」

「まあ本当!」

 南の国のお店は珍しい物ばかりで直ぐに時間が経ってしまった。


 雑貨だけじゃなく、本屋でこの国の絵本とか、料理を紹介した本とか気になる題名の本なども購入した。東の神様と伯父へのお土産だ。

 馬車に乗り切るだろうか?と心配していると「大丈夫だよ。ララベルの商会に頼むといいよ。父と一緒にこの国に商会を作ったからね」とエリオット様が仰った。

 そうかララ姉ちゃんの下着事業だね!


 最後に酒屋に行く。

 中には沢山の種類の米酒があった。瓶も色々ある。背の低い物、形が丸い物、白磁の瓶で中が見えない物など様々だ。説明も南の言葉で難しい。ラベルの文字に古文を使っているお酒も多い。

 4人でウンウン唸っていると店主さんが声を掛けてくれた。


「外国人かい?珍しいね。明日の盆ダンス大会を見に来たのかい?」

「はい」と答えると喜んでくれた。そして米酒が美味しくてお土産にしたいと言うと、お勧めのお酒を紹介してくれたりした。

 無事に時間通りに集合場所に行くと、皆も沢山お土産物を抱えていた。

 

 今日のお城での夕飯はカレーライスというスパイスを効かせたスープをご飯の上にかけていただく料理だった。

 このカレーという料理は火山の国から来たレシピらしいが、この国で南の国民に合う味に改良され、むしろ南の国の国民食と言ってもいい料理となってしまったそうだ。

 スパイスは元から南にあった物もあるが、ほとんどは火山の国からの輸入なのだそうだ。


 そう言えば火山の国の人達が明日、盆ダンスを見に来ると聞いていたが、彼らはもう到着しているのだろうか?

 気になって今日も夕飯からリリベルにべったりの、王女殿下に聞いてみると、彼らは明日の早朝に到着する予定らしい。


 彼らは来訪しても王城や宿に泊まる事はほとんど無く、自分達が持って来た大きなテントに宿泊するそうで、いつも王城の大きな中庭を提供したり、街中の公園を使用してもらったりするそうだ。

 そして今回も中庭を提供するそうだ。だから王城ではその準備もあって少し忙しかったそうだ。


 そんな時に暢気にお買い物なんかに行ってしまって申し訳なかったなと思っていると「ビーバーちゃん達もお客様だから気にしないで!」と言われてしまった。

 でも明日には火山の国の人達にも会えると思ったら、少しドキドキしてしまった。

 一体、どんな人達なんだろう。

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