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「いや〜子爵家の皆には今回も世話になったな〜」
やっと!帰るのかって「サオリッ!?」
「あれ?マスオじゃないか」
「マスオはどこ行ったんだよ!!」
「ベルモント!国王陛下よ!」
「そのうち野菜で出てくるさ」
爺様…婆様…も大概だが、一体、陛下は何しに来たんだよ。
「君の奥方にお土産を渡しといたよ」はあっ?!何を?
「大したもんじゃないさ。あとさ機会があれば赤い王子かリリベル嬢に言っといてよ。火山の国の王家の赤い髪は、もうずっと昔に途絶えてるってさ」
はぁ?それは大事な事なのか?それに、いつ言えるんだよ。
「本当はさ、あまり南の方角は良くないんだよねぇ今は。でも、まっ赤い王子にはリリちゃんが付いているしねっ。じゃあ、また!」
またじゃねぇし!それにリリちゃんって…。
北の国王陛下はサオリに乗ってあっという間に去って行った。
「マスオ…」また妙なの置いて行きやがった。
◇◆◇◆
ザック殿下は昼食後ガブリエラ様やエリオット様、マレシオン様を引き連れて南の国での外交に出向かれて行った。
この国の偉い人に沢山会うらしい。
リリベル達は早場米の稲刈りと脱穀体験をさせてもらった。
鎌で稲刈りをするのは西も一緒だが、腰が痛くなるので風魔法で鋭いナイフのような刃を作り、刃を操って稲刈りをするのが主流なのも、西と同じだった。
このナイフの刃のように風を操る魔法は危険なので、この魔法を扱える人は届出と許可証が必要だ。農家以外にも騎士団に多く存在している。
ザック殿下達は夕飯時になってもまだ帰って来ていなかった。
今日の夕飯はスキ焼きだった。
リリベルには今日も朝から王女殿下がくっついていて、ザウルス様が迎えに来るまでベッタリだった。
しかし、すでに王女殿下はお気に召したアップルワインで出来上がって、夕飯が終わる頃には寝てしまった。
「今日も王女殿下が済まないね。ビーバーちゃん」
「いいえ。王女殿下といるのは楽しいですから」
そう王女殿下は一見変わっているが、実はとても博識で頭が良い。のんびりと話されるが頭の中はフル回転しているのが分かる。
「君達、姉妹は殿下を嫌がらず、相手をしてくれるから助かるよ」
「王女殿下を嫌がる人がいるのですか?」
「少し変わっているだろう?それに殿下の方が懐く人を選ぶから大変なんだ」
「ザウルス様はお名前に龍が付くから王族ですよね?」
「結構遠い親戚だけどね。でも龍が名前に付くのは大変なんだ。王族男性でも全員ではない。僕は選ばれたからね」
「それは産まれた時から名前に龍が付く訳ではないという事ですか?」
「そう13歳で元服してから龍を戴く」
元服とは、南の国の成人とみなされる儀式と聞いた。
「龍を戴けるのは、それはどうやって決まるのですか?」
「それは王女殿下が決めるんだ」「!」
どういう事だ!リリベルは驚き過ぎて声が出せなかった。
「驚いているね。特に秘密にしている事ではないけど、あまり知られている事でもないからね。王女殿下は特別なんだ。彼女は実は龍憑きなんだ」
「龍憑き?」
「そうだ。王家の女性に産まれるんだ。それを守るのが龍が名前に付く男子で主に王族なんだ」
「龍憑きにはどういう能力が?」
「それは様々だけど特殊な能力が多いから秘匿されている。だが龍憑きの女性がいると国は安泰だと言われている。そして、一つ特徴的なのは変わり者なんだよ。何か一つ不思議なものに固執する傾向がある」
「ビーバーちゃん?」
「ああ、そうだ。彼女の場合はそれだろう。ビーバーちゃんはこの国の探検家が持っていた人形なんだ」
「ノースポール探検記の?」
「そう彼の本を読んだ?彼が北の国に行った時に、即位したのがビバリー女王なんだ」
ザック殿下はこの事はご存知なのだろうか?王家にも色々あるんだな〜とリリベルは思った。




