215
お昼は皆でウドンを打った。
麺をこねるところから切って茹でるところまでやったのだが、これがなかなかの重労働だった。特に麺をこねるのは令嬢には続かなかった。
私はもちろん最後まで頑張ったけど。
だが職人でも麺をこねるのは大変らしい。
作ったのは私達が以前、食べそびれた“ザ・ルウドン”だ!
「ザ・ルウドン?発音がおかしいぞ。“ザルウドン”だ」
一緒にウドンを打った第二王子殿下に言われた。
やはりリリベルの直感は間違っていなかった。
薄く加工した竹を編んで作ったザルという器に麺を盛るから、ザルウドンだと説明を受けた。
何か他にも間違った発音や認識の誤った単語があるかもしれないと思ったが、とりあえず自分で作った初ザルウドンは美味しくて感動した。モチっとした歯ごたえのあるウドンに、ツユというダシ入りショウユがまた最高だった。
皆でザルウドンに舌鼓を打っていると、王太子殿下がお見えになった。
「皆、盆ダンス大会に参加してくれると聞いたが本当かい?しかもワルツまで披露してくれるとか?」
「はい。盆ダンスはもう少し練習が要りますがワルツは皆、幼い頃から習いますので」
とマレシオン様がお答えになる。
「そうか。実はこの国の更に南の国の、火山の国からも盆ダンスを見に来ると連絡が入ったのだよ」
「火山の国ですか?」
リリベルも先日、ザック殿下から聞くまで地図上でしか学ばない未知の国だった。全くその国に対して知識が無いのは皆も一緒だったのだろう。
マレシオン様さえ首を傾げている。
「ああ、皆が知らないのは仕方がない。知らない国の人間は何かと不安かもしれないが、彼らは文化は違えど常識的な人々だ。何も私たちとは変わらない。あちらも観光程度に盆ダンスを鑑賞したら直ぐに帰るそうだから気にしないでもらいたい」
そう仰って王太子殿下はまた執務に戻って行かれた。
食後にまた少し盆ダンスを皆で練習していると、午後のお茶の時間にまた姉がやって来た。
大きな荷物で来たところを見ると、また下着の宣伝と販売なのだろう。
「ガブリエラお姉様のご注文のお品が揃ったからお持ちしたわ。赤と黒も加えといたから!」
リリアン様も、シャーロット嬢でさえ「赤!黒!」と驚いている。
西の国では貴族女性の下着は白や白に近い薄い色が多い。
ガブリエラ様がゴクリと唾を飲み込んで「試着して来ます」と部屋に用意された衝立の後ろに回る。着用の仕方は前回学んでいるらしい。
そして今日はしっかりと部屋の前に侍女を置いて、勝手に人が入れないように万全にしてある。
ガブリエラ様の体型もスレンダーでジャケットなどを羽織るとお胸もほぼ目立たない。フィリップ様は「良い!」と仰っておられたな。
リリアン様、シャーロット嬢、二人も興味津々だ。
「ガブリエラちゃんも、きっとお胸が“盛り盛り”だよ〜」
今朝からリリベルにベッタリの王女殿下が楽しそうに仰る。
「お姉様、どうかしら?」
ララ姉が声を掛けると、衝立の後ろからガウンをまとったガブリエラ様が現れる。
「皆、いいかしら?感想を聞かせてね」
ガブリエラ様がガウンを脱ぐと「わあ!お胸が」皆、ガブリエラ様の黒の下着に包まれたお胸に大注目だ。
「コルセットを付けた時よりも胸が盛り上がっている気がするわ」
「確かにスゴいわ。ララベル夫人、私も頂こうかしら?でも黒とかは恥ずかしいから…」
おぉリリアン様も籠絡されましたか。
「任せて!伯爵令嬢。あなたに似合う色をお探しするわ。それにこの下着は身に付け続けるとお胸も育つし、育った胸も垂れないの」
「夫人、胸周辺の肉の無い私でも大丈夫でしょうか?」
シャーロット嬢まで?!
「任せて!ボリュームのあるフリルやリボンで魅せるお胸にするわ!何ならお肉を増やす食事指導と、無駄な所に肉を付けない体操まで!」
ララ姉ちゃん、こんな事にも才能があったのね。本当に転んでもタダで起きない所は誰に似たの?
リリベルが一連の状況を唖然と見ていると「ビーバーちゃんは要らないの?」と王女殿下に聞かれる。
「あまり興味がありませんので…」本当の事だ。
「ふ〜ん残念。ビーバーちゃんなら、どんな男も虜に出来るのに」
いや!全くお構いなくだ。
「ザウルスにも効果的面だったんだよ」
それっ!?その発言、前回も気になった。
「ザウルス様にもって、どういう?」
「言葉の意味通りだよ。ザウルスったら興奮してさぁ朝まで「ちょっと待って!殿下、ストップ!」
「はれっ?ビーバーちゃん何で?」
会話を止められて王女殿下はキョトンとされている。
「何でって王女殿下、ご結婚前ですよね?」
「そうだけど、私、もう18だし」
さすが男性がパンチラで女性に愛を告白する国だ…。




