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「殿下!マレシオン様!一体、何があったんですか?リリベル嬢の叫び声でしたよね?」
「あ?ああ。大丈夫だ」「えっ?」
「そう大丈夫だ。ただの姉妹喧嘩だったよ」
「そうですか。なんだ〜ビックリしたよなぁ」
「夕飯を呼びに来たら、いきなり叫び声だもんな」
「でも姉妹喧嘩で叫び声って、取っ組み合いでもしてたんですか?」
「まっまあそんなところだ」
「激しい姉妹だな。もしかして聖女様も、取っ組み合ったりするのかな?」
「こらこら皆、聖女様への詮索は無礼だぞ」「そうだな」
「先に食事に行っていよう。その内来るはずだ」
皆で食堂に向かいながらマレシオンが俺に聞いて来る。
「ザック殿下、女性陣は一体何をされていたのでしょうか?」
「さあな。だが子爵夫人は、少し前に事業を起こされたと聞いている。それは女性用の下着らしいと聞いたから、きっと…」
「まさか胸のサイズを鷲掴みで?」
「マッマレシオン!そういう発言は…」
「ああ。申し訳ありません。彼らに聞かせるには、まだ時期尚早な話題でした」
お前は時期尚早ではないのか?
まあマレシオンは何でも要領がいいからな。
俺は今日は眠れない気がする…。
「殿下?アイザック殿下?今からランニングを?」
「ああ、済まないな、警護はいいと言いたいところだが、そうはいかないのだろうな」
「大丈夫です。私は居ない者とお考え下さい」
「ライオット卿…そなたは、ああいや「殿下、こんな夜間に申し訳ありません。少しお時間を宜しいでしょうか?」
「子爵か?」
「私が子爵に頼まれてここまでお連れしました」
「外務大臣補佐官か。構わない」
「妻から話を聞きました。10代の令息には妻の仕事内容は刺激が強過ぎただろうと妻も心配しておりました」
「そうか」「殿下、ララが何か殿下にやらかしたのですか?」
「兄上、そんなに怖い顔をしたら子爵が困るだろ。兄は昔からララには厳しいんだよ。マリィもリリも目の中に入れても痛くない程、可愛がるのに」
「何かあったのか?」
「いいえ。ただ単純にララが小さい頃、兄に懐かなかっただけの話です。顔が怖いと」
「エリオット!」
「そうか二人は子爵家の兄妹達をずっと見てきているんだものな」
「ええ。マリィあたりから全員オムツも替えましたよ。まあ、そこは今はどうでもいい事ですが。殿下が悶々とするお気持ちは解ります。我々も男として通って来た道ですから」
外務大臣補佐官が言うと何かムカつくな〜。
「殿下。その妻の事、申し訳ありません。事業内容が内容なのでアレですが、今後ここでは、その話はしないようにと言っておきます」
「いや子爵、構わない。リリベル嬢がいる間は短いし、今後も姉妹の会話を制限するつもりはない。それに内容がバレても事業の事だろ?我々が意識しなければいい話だ。私も含め彼らも、いずれ免疫を付けていかないとだろ?」
「ですが…」
「子爵、そんなに気にするなら、一つ頼みがある。そこのライオットとエリオットの妻達への土産に下着を選ぶようにと奥方に伝えておいてくれ」
『えっ!?殿下!』面白いハモったな。
「自分の妻のサイズなら、きっと夫なら知っているだろう。宜しく頼んだよ」
「はい。かしこまりました」
アイザックはそう言い渡して部屋に戻った。
あの兄弟の驚いた顔を見たら寝れる気がしてきたのだ。
まさか自分達も巻き込まれるとは思わなかったのだろう。
子爵の奴もコッソリ笑ってやがったな。




