お客様、ダンジョン内でのイチャつきは禁則事項です
タブレット届いた! これで執筆速度上がる!
キリ良い所までにしたら少しだけ短めです。
行動派バトルスミスであるドワーフ、アルドーさんの反応は激烈だった。
前世でオレが得ていたレベルでの知識では、まったく聞いた事がなかったが、どうやらドワーフは種族特性として熱に敏感らしい。
温度変化だけでなく湿度にも対応している部族も居て、訓練すればお天気お姉さんならぬ、お天気ドワーフとしても働けるとの事。なんか嫌だなそれ。
「なんなのじゃ、なんなのじゃ今のは!」
雷は、放電路の大気を2万℃以上に上昇させる。
多少の違いはあるだろうが、それはオレの魔法でも変わらない。
この温度はあくまで局所的な上昇だが、彼はそれを感じ取ったのだ。
付近に雷が着弾しても、普通は熱なんて感じ取れないのに、かなり異常な種族特性である。
「分かった。分かったから落ち着け!」
頼むから、むさ苦しい顔で、のじゃのじゃ詰め寄らないで欲しいぜ。
こっちは、おじさま好きのレディーじゃないんだよ。せめて、のじゃロリになってから出直してこい。
まぁ、空気の熱膨張が着弾地点で発生し、爆散するようなイメージで魔法を構築しているので、一般的な稲光よりは温度の上昇も分かりやすいのかな。
「これが落ち着いていられるか! 正直な話、ドラゴン素材もミスリルとの合金化も、温度という面で加工がかなり困難だと考えておったのだ。その難問が解決できるやも知れんのだぞ!」
「は!?」
いやあんた、ミスリル採取予定だったのに、加工法のアテ無かったのかよ!
「ミスリルは、合わせる素材によって加工難度が千変万化するじゃじゃ馬なんじゃ」
オレの顔から思考を読み取ったのか、そう返された。
それなら仕方ない……のか? なんか知らんがジャージャー麺食べたくなってきたな。
「いや、熱源なら雷より使い勝手良く操れる魔法使いが、ここに居りますが」
そう言ってフランを示す。
オレがデモンストレーションで見せた火の付与魔法は半ば全力だった。
あれを引き合いに出さないという事であれば、文字通り火力が足りなかったのだろう。
それなら、ウチの天才魔法少女の出番である。
「えっ、わたくしですの?」
ここまでは、練度として未熟な風魔法を中心に立ち回っていたフランが、突然話を振られて驚きの表情を見せた。
ゴーレム相手だと、鉱山の中ではフランは活躍し辛いから気を抜いていたのかな。火魔法は酸素を奪うし。
後で聞いたら、メルヴィナと共に空間の上部にあった水晶を眺めてたらしいけど。
「ほぉー。嬢ちゃ……フランチェスカお嬢は、火魔法も使えるのか。しかもザク坊より凄いとはの」
メルヴィナの無言の微笑みによる圧を受け、姿勢が心なし正されて呼び方を訂正するおっさんドワーフ。
しかし、雷魔法お披露目以降、急にオレに対してフレンドリーになってきたな。
「まあ構いせんけれど……仮にも貴族令嬢、それも妻に鍛冶をさせようなんて、高く付きますわよ?」
純粋で、庶民や冒険者の常識に疎い少女が珍しくニヤリとした表情でオレを見据え、扇子を口許に添えた。
因みに、扇子は旅の道中で伝統工芸品として類似品が普及していたため、一つ買ってプレゼントしたものである。
「例えば?」
どんな企みをしているのか単純に気になったので聞いてみる。
すると、即尋ねられるとは思っていなかったのか、少し取り乱しながら考えているようだった。
少し間を置いて言葉が漏れる。
「たっ、例えば……抱き締めて口付けーーとか?」
結婚しよ。あ、既に書面上ではしてたわ。
取り敢えず抱き締めよ。
「ちょっとアイズ、アイズ? 誰もダンジョンの中でしてくれなんて言ってませんわよ!? それになんで真顔なんですの!!」
いや真顔にもなりますわ。オレを萌え死にさせる気かって。
高くつくとか珍しく妖艶に笑みを浮かべておいて、ピュアさ全開なんだもの。ウチの嫁愛らしすぎない?
表情が面映ゆさ全振りにならないのを堪えるので精一杯です。
「それで? 口付けはしてもいいの?」
どうにか表情を整えて言葉を落とす。
オレの性格や内面はともかく、ツラだけは無駄にイケメンなので。
「ーーッ!」
こうかはばつぐんだ! うつむいて晒された耳まで赤くなってゆく。
「く、口付けはお預けですわ……ここを出るまでは」
なんとか返された言葉も、後半が尻すぼみに掠れていった。
ちらりと見上げた視線に、また愛しさが込み上げる。
しかしフランは、オレの口角がにんまりとしている事に気付いたのか、声にならない悲鳴を漏らした。
「ーーッッ。ばかっ、ばかばかばかですわっ。わたくしの伴侶なら、からかうにしても時と場合を弁えなさいっ!」
先にイチャついてきたのはフランの方なんですがねぇ。そう思うとついニヤけてしまう。
それに、時と場合を選べばからかってもいいなんて、好き好きオーラ隠せてなくてヤバイ。第一、ちょっとMっ気も混じり始めてないか?
「なあ……流石に独り者の老骨には、見てて辛いものがあるんじゃが……」
呆れた表情を見せる老ドワーフ。
うん、バカップルですまん。
そうして先を進む道中、ダンジョンでの行軍経験を積むために隊列を変えながら移動していた時。
メルヴィナがこっそり話し掛けてきた。
「さっきのお嬢様、キスを微妙に我慢できてない辺りにキュンときましたね?」
分かってくれるか、メルヴィナよ。
頷きを返した後に無言で差し出した手を、ギュッと握られる。
ここに、フランを愛でる会、パーティー支部が結成された。
本部? キャンベル家にあるよ。
派閥はシャルさんの「お嬢様弄り隊」、お義母さんの「チェシー猫可愛がりし隊」、その他侍従の「天真爛漫見守り隊」など多岐に渡るが。
あぁ、従士たちの「お嬢様のツンデレ気味労りマジで最高だし残業しまくり隊」は今度潰しておく予定だ。
働き方改革って良い言葉だよな。
「おい、ザクの坊主よ。ボーッとしながら、無駄にレベル高いダンジョン攻略披露するの止めてくれんか」
「正直、見てて不安になりますよ。アイザック君」
そう声を掛けられ、意識を現実に集中させる。
「それと、予想だにしない大物がおるようだぞ。いや、手間が省けたと言えば省けたのだがの」
道の先には、開けた大広間があるようだ。
そこは、鉱山内なのに無駄に威厳が漂う、だがやはり洞窟である事を感じさせる武骨な造りの空間だった。
部屋内部の格式や規模が今までとは大分違うけれども、そんな些事より隔絶した違いが在る。
「綺麗……」
フランの呟きが耳に届く。
同感だが、それ以上の威圧感が漂ってるぞ。
今まで言及はしていなかったが、ダンジョン内は別に灯りなどはない。
当然中は真っ暗なので、松明が必須である。
オレたちはそれに加え、メルヴィナが使えるもう一つの魔法、光魔法で光源を確保していた。
光量が段違いなので、自然発生のダンジョン探索には必須級の魔法だな。
「思わずダンジョン内だと忘れる程に幻想的ですね……見惚れてしまいます」
魔力で象られた光が、佇む存在によってプリズム状に乱反射される。
「こいつぁーー全ッ身、ミスリルなのか?!」
ボス部屋の如き風格を感じさせる空間の中心。
そこには荘厳な装飾が施された、一際巨大なゴーレムがオレたちを待ち構えていた。
アイズの内心「宝の山ゴーレムだァー!」
因みにミスリルゴーレムはリポップしない系のボスです。
最近話のテンポ良くない気がするので、少し上げていこうかしら。
でもダイジェストにならないように話も掘り下げなくてはっっヾ(o゜ω゜o)ノ゛




