ランク戦
六本腕の異獣を討伐してから数日間、僕は任務に呼ばれることがなかった。
その間はミヤ先輩と訓練をしながら過ごし、平和な日々が続いていた。
そして、何事もなく数か月が経過したある日のこと。
いつものようにクラスで朝のホームルームが始まると思っていた僕たちに、担任の教師が突然、こんなことを告げた。
「急な話になるが、この数か月、君たちは異獣討伐の任務をこなしてきた。その中で、何人かの死者も出ている」
教室が静まり返る。
「そこで校長は、少しでも任務での犠牲者を減らすため、小隊制度を導入することにした。そして、まずはランク戦を始める。学年ごとに行う予定だ」
……小隊を作る理由はわかった。
確かに、小隊を組んで連携できるようになれば、任務での犠牲者を減らせるかもしれない。
でも、どうしてランク戦をする必要があるんだろう?
僕が疑問に思っていると、クラスの男子生徒が手を挙げた。
「先生!どうしてランク戦をするんですか?」
「いい質問ですね。ランク戦を行う理由は、小隊を編成する際の参考にするためです。ちなみに、小隊を決めるのは教師ではありません。上級生が決めることになっています」
なるほど。つまり、上級生が僕たち一年生の実力を見極めるためにランク戦を行い、その結果を小隊編成の参考にするということか。
僕がそんなことを考えていると、突然、一人の生徒が席を立った。
「ガトー君。どこへ行くんですか? 授業が始まりますよ」
「は?俺は俺の好きなようにやる。それに、小隊だと?俺は誰かの下につくつもりはねぇ。俺にはもう、完成されたグループがあるからな」
ガトーと呼ばれた男子生徒は、担任の教師に向かってそう言い放った。
彼の名前はガトー・ステ。
坊主頭で、頭の右側には龍の刺青が入っている。さらに、右腕には剣、左腕には盾の刺青が刻まれていた。体格は普通だが、その見た目もあってか、かなり近寄りがたい雰囲気をしている。
ガトーは素行が悪く、授業にもあまり出席しない。
僕は彼と任務で一緒になったことがないため、実力については知らない。ただ、休み時間になると、何人かの生徒と一緒にたむろしている姿をよく見かける。
「完成されたグループ、ですか……。教師として、あまりこういうことは言いたくありませんが、君のグループの人たちは、この前の任務で――」
教師がそこまで言いかけた、そのときだった。
突然、一本の剣が教師の背後の壁に突き刺さった。
「っ!?」
いったい、どこから剣を出したんだ?
教師が驚いて振り返る。
ガトーは鋭い目つきで教師を睨みつけた。
「それ以上言えば、貴様が教師であろうと許さん。じゃあな」
そう言い残すと、ガトーは教室から出ていった。
そして、ガトーがいなくなった直後、壁に突き刺さっていた剣が跡形もなく消滅した。
……今のは、ガトーの異能なのか?
どこからともなく剣を出現させ、消す。
少なくとも、普通の剣ではないことは確かだ。
教師は一度咳払いをすると、何事もなかったかのように話を続けた。
「……では、話を戻します。ランク戦は今日から始まります。今から皆さんに端末を配りますので、対戦相手を確認してください。対戦相手が表示された生徒は、体育館へ移動するように。なお、端末には現在のランクも表示されます」
教師から端末を受け取った僕は、さっそく画面を起動させた。
対戦相手と、現在のランク。
これから始まるランク戦で、僕はいったいどれくらいの実力だと評価されるのだろう。
僕は画面に目を落とした。
そして、表示された自分のランクは――




