表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
22/28

22話 気遣いのかたち

 フェデリカは結局三日ほど王宮で療養した。彼女が家に帰ると、マリーナが心配そうに「姉さま、もうお身体は平気?」と顔を覗き込んだ。


「ええ。心配をおかけしました。そちらは変わりなかったですか?」

「うん。……姉さま、その……」


 マリーナは珍しくもじもじと落ち着かなそうにフェデリカの顔を見た。


「執務室に置いてあった書類は、姉さまの決定が必要な段階まで進めておいたの。体調が大丈夫になったら確認してほしいな」

「マリーナが、ですか?」

「そう。家令に聞きながら処理したから大丈夫だと思うけど」


 フェデリカは目を瞬かせる。思わずそばに控えていた家令に視線を送った。


「初めてとは思えないほど的確に処理なさってました。お嬢様によく似て聡明でいらっしゃいます」


 家令のお墨付きを聞いた彼女は、「マリーナもいつの間にか大きくなっていたのですね」としみじみとした感慨を抱く。


「今日はもう休んで、明日確認しますね」

「分かった。ゆっくり過ごしてね」


 そう言って微笑むマリーナに、フェデリカは小さく頷いた。


「ありがとうございます」


 礼を言うと、妹は少し照れたように笑って自室へと戻っていった。フェデリカは自室に戻って椅子に腰を下ろし、ゆっくりと息を吐く。

 いつもの彼女であれば執務室に向かって書類の確認をしたのだろう。けれど、そうすればマリーナの気遣いを無碍にするような気がした。





 フェデリカが帰宅してから数日経過したのちのこと。フェデリカはずっと看病してくれたエディへのお礼の品を選ぶために街に出た。


「ハンカチという手もありますが……、フィオさんはかなりオシャレに気を使ってますし、ご迷惑になるかもしれません」


 そう考えた彼女が足を向けるのは、以前エディと共に訪れたパティスリー。店内をぐるりと見渡したところで、彼女は「フィオさんがどんなお菓子を好むのかすら知らない」ということに気がついた。


「……付き合いがそこそこ長いつもりでしたが、まだ知らないこともたくさんあるのですね」


 彼女はそう呟きながら焼き菓子の詰め合わせを見る。


「こちらの詰め合わせが無難でしょうね。以前カフェスペースでご一緒した際、美味しそうに召し上がってました。この店のお菓子が口に合わない、ということはないでしょう」


 フェデリカは人気! と書かれた詰め合わせのセットを手に取って会計を済ませる。贈り物用にラッピングをしてもらったセットを受け取り、彼女は帰路へついた。


「帰ったら、フィオさんに手紙を認めなければ」


 そう呟くフェデリカの顔には、まだ少しだけ迷いがあった。だが、それは彼女の歩みを止める理由にはならなかった。

読んでくださりありがとうございました。評価、いいね、ブックマークをしてくださると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ