最終章―04
◇
「ティム、寝る前に良いかしら?」
昨日とは逆に、部屋にやってきたティムを、私が捕まえる。
「うん?」
膝丈まである麻で出来たカミサを着たティムが目をぱちくりさせた。
「ベアトリスと少し話しをしましたの」
「そうなんだ。どんな話をしたの?」
私はベアトリスと話をした後、どうやってティムを少し困らせようかずっと考えていた。
「あの……」
じっとティムのコバルトブルーの瞳を見つめた。
「うん」
…………ダメだわ。本当にこの人、私の事を好きなの?全く赤面もしなければ、目を反らす事もないのだけど。
「……乙女の思考についてちょっと」
見つめる作戦が失敗して、無言に耐えられなくなってしまったわ。
「乙女の?」
「! そうですわっ」
私は思い付いて、ティムの手を握った。
私より骨ばった大きな手。
ティムの手は汗ばんでいるのか少し、しっとりしていた。
「……えっ! 何?!」
ティムが慌てて手を引っ込める。
彼の頬がほんのり赤い。
「わ、私の言いたい"特別"は友人ではなく、こう言う意味ですわ」
チラッとティムを見ると……彼は固まっていた。
……ナゼ?
「ちょっと、待って。俺を男として見てないって話だったよね?」
う~んと、ティムは額に手を当てる。
「そう思ってたんですけど、師匠に相談しましたら……」
「え? ミゲルさんに相談したの?」
ティムが目を丸くする。
師匠と言っただけなのに、ミゲルさんだと気づく事に私も目を丸くさせたいわ。
「えぇ、ティムに目を合わせてもらえなくなった時、なんだかモヤモヤしてしまいまして」
私はあの時のモヤモヤを思い出し、自分の指を見る。
「……(モヤモヤしたんだ)」
「相談したら、私がティムをす……スー、ハーと深呼吸したら良いと教えて下さいましたわ」
「え?! 絶対今の違うよね?!」
"好き"だなんて言えませんわ! 察してくださいまし!




