7章―09
「父さんに頼んで部屋を別にする?」
……
「よく聞こえませんでしたわ」
「俺の事を特別な友達だと思っているのは分かったんだけど、部屋一緒なのは……」
特別な友達!
「そうじゃありませんのよ、ティム」
「え?やっぱり特別じゃないって事?」
そっちじゃないわよ。
「私の言いたいのは……」
「良いんだ、ネル! 昨日はショックだったんだけど、よく考えたらネルは俺の願いを叶える為に身を犠牲にしてくれたんだ。それだけで充分なのに、欲をかいて……」
別に犠牲にしてませんし、もっと言うなら殿下とティムがじゃれ合っているのを見たいと思ってしまったのよ。
「綺麗で聡明なネルが側にいれてくるだけで、俺は充分だから」
にっこりとティムは満足そうな笑みを浮かべた。
「部屋は明日にでも父さんに頼んで……」
「ちょっと待って頂ける?」
「うん?」
「お義父様達に心配かけたくありませんから」
「それもそうだね。それじゃお休み、ネル」
「えぇ、お休みなさいませ」
ティムが燭台の蝋燭を吹き消し、部屋は真っ黒になる。
……まずいわね。
ティムにハッキリと男として見ていなかったと言ったからか、私がティムを好きだなんて微塵も思っていなさそうだわ。
……そもそも、特別な友達って何ですの?!
そこに特別を付けたのは流石、ティムだわ!
このままだったら、両想いな筈なのに、訳あり夫婦の別居生活みたいな事になりませんこと?!
実際、訳ありなんですけれど……。
人生はお芝居のように上手く事が運ばないわね。
「はぁ……」
私は溜め息をついて掛け布団を身体に巻き付けて目を瞑った。
ベッドの方からスースーと安らかな寝息が聞こえてきて、私はどうしてティムなんかを好きとなったのか頭が痛くなるのだった。
7章も終わり、あと1章とエピローグだけとなりました。
ティムの勘違いはさすが(笑)




