7章―07
◇
「はぁ……」
元来、溜め息とは耳障りなものだと認識していたが、朝からこう何度も聞いていると、本体である人物を投げ飛ばしたくなるものなのだな。
「いい加減うっとうしいな。午前も、若い奴に指導している際、溜め息ついてたろ」
「失礼しました!」
いや、頭下げたところでまた溜め息つくだろ。
「原因はネル嬢か? 二人で話合ったんじゃないのか」
「話合ったんですが……男として見られてないと言われまして……」
いやいや、どうみてもキャロラインに嫉妬してたじゃないか。
「それなのに、今度は女性に触れるなと言われ……どういう事なのかサッパリで……」
完全にネル嬢もお前が好きじゃないか。
「何がサッパリなんだ?」
鈍いやつだな。
「……結局ネルは俺をどう思ってるのかなって……」
ティムは俯いてまた溜め息を吐く。
「特別だと気づいたんだろ」
「特別……」
「あぁ」
ここまで言えばティムもネル嬢の素直になれない気持ちに気づくだろう。
「そっか。特別な(友人)……そう思えば納得できるかもしれません! だから一人占めしたいみたいな言い方したのか!」
スッキリ!みたいな目をしているが、本当に分かったのか?
「本当に分かったのか?彼女の素直になれない気持ちに」
「(特別じゃない)友達の期間が長かったから、中々気がつかなかったって事ですよね?」
「そうだが……」
なんか違う気がする。
「そっかぁ。進歩してるって事ですよね?」
進歩ではなくそこがゴールなんじゃないのか?
「俺の言いたかった事と違う気がするな」
「えぇ?!俺が特別なのは違うって事ですか?」
「いや、そこはそうだと思うが……」
「じゃあ、良いじゃないですか。もう溜め息つきませんから、殿下は仕事に集中してください!」
まぁ後は当人に任せるか。
以降、ティムが溜め息をつく事はなかったが、ちゃんと伝わったのだろうか……?




