6章―03
成る程。子供達と遊べるよう殿下は動きやすい服装で来るよう言ったのね。
「そうなの?! 院長~!」
一人の少年が弾かれたように中へ駆け込み、殿下もまた、面白がるような足取りでその後に続いた。
「きれいなお姉ちゃん、入っていいよ!」
そう言って小さな手が私の指先を掴む。
子供の手はしっとりとしていた。
この暖かい手を離せる筈もなく、嫌な予感がするものの中へ。
「走らないの!」
嫌な予感ってあたるものね。
「……あなたも、大声を出さないのと何度言えば分かるのかしら。キャロライン」
窘めるような落ち着いた声の主は、白い修道服に身を包んだ年配の女性だった。
厳しいけれど慈愛に満ちたその眼差しに、キャロラインが、いたずらが見つかった子供のように首をすくめる。
そして、彼女は私に気がつき、目を丸くした。
「ミーズロー殿下、そして男爵の爵位を持った方々がこうやってこの子達の事を気にかけて頂き大変嬉しく思っております」
年配の女性がそう言って頭を下げた。
私の自己紹介が終わると、殿下は彼女に経営状態を聞くべく、一室に消えていった。
「あ、あの……ネル様、この前は取り乱してすみませんでした」
駆け寄ってきた彼女は、私の前で深々と頭を下げた。
……嫌味なくらい、真っ直ぐで素直な子ね。
益々、ティムとお似合いじゃない。
似た者同士の二人を脳内で並べると、胸がざわわざする。




