6章―02
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待ち合わせの教会に行くと、ティムが着ているようなブールポワソを着た殿下が既に待っていた。
「行くか」
殿下は私達の姿を認めると大股に歩き出す。
教会の裏、ひんやりとした影が落ちる細い路地。
迷いのない殿下の背中を追って、私たちは急ぎ足で進む。
「殿下、もしかして……」
何かに気づいたティムは慌てて殿下の横に並び、小声で何かを囁いている。
殿下は足を止めず、余裕たっぷりに私を振り返ると、形の良い唇をわずかに吊り上げた。
これは色んな令嬢がときめく筈だわ。
普段笑わない殿下の微笑みには、ある種の破壊力があるわね。
「……」
そんな殿下とは反対に、抗議してみたけど、全く聞く耳を持ってもらえなかったのか、ティムは例の顔でしょげている。
殿下の足が止まり、ふと目を向ける。
そこは白茶けた石壁の、ごく簡素な建物だった。
入り口の前の土の上では、数人の男の子たちが小石を転がして遊んでいる。
「あっ! ティムとでんかだ!」
日に焼けた子供たちが、騒がしく立ち上がり、ティムのたくましい腕や手にしがみついた。
ティムはちょっと困った顔をしている。
その理由に思い当たった時、「元気だったか?今日はこのお姉さんも遊んでくれるそうだ」と、殿下の楽しそうな声がした。




