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5章―12
「ありえません!彼女にはその……想い人がいるようですし……」
ネルはとても殿下を気にしてた。
それにアントニオさんとも親しい。
二人とも俺なんかよりずっとお似合いだと思う。
でも、それが叶わないから、俺と結婚したんだろう。
「……ところで、キャロラインから手紙は受け取ったか?」
え?急に?しかも、声を急に大きくしないでくださいよ。耳がおかしくなったらどうするんですか。
「先週受け取りましたけど」
「そうか。妻にも紹介したらどうだ?キャロラインは特別ティムを気に入っているようだからな」
そうかな?
「ネル嬢もどうかな?」
「折角のお誘いですが、同一人物と思われるキャロラインさんを泣かしてしまいまして、私が顔を出すと空気が悪くなると思いますわ」
ネル……。
笑顔で返しているけど、なんだか悲しそう。
「ほぉ。彼女は遠慮ないタイプだから手厳しく言ったのかな?」
「そうではありませんけど……」
「そうか。一度、厳しく言っても良いように思うが。なにせ、ティムの頬にキスするような……」
「ちょっと、殿下!」
何年前の話をしてるんですか!




