5章―11
ネズミのくせに。
睨み返すだなんて、なんて生意気なネズミなんだ!
「同じレベルなのか?」
「そんな訳ないじゃないですか!」
殿下は俺の言葉を無視して、従者を呼んだ。
彼は嫌そうな顔も出来ず、それを回収して行った。
「ネル、大丈夫?」
「急に出てくるからびっくりしましたわ」
「そりゃまぁ、今から出ますよとかは言わないからね」
「当たり前でしょ」
あうっ、ネルに呆れられた。
ネルに格好良いところを見せたいけど、ままならない……!
「急に結婚したからどんな感じなのかと思っていたのだが、要らぬ心配であったな。お互い想い合っているようで安心した」
「へ、変な事を言わないでくださいよ」
「……おい、ティム、ちょっと来い」
ひぃ!
「正直に話すと良い。さもなければ……」
短剣に手を掛けてるし!
目も本気!
「えっと、その……騙すつもりは微塵もなく……」
「良いから早く説明しろ」
「はい……」
殿下の目力に押されて、手短にネルとの結婚の経緯を説明する。
殿下は話を聞き終えると、額を手で押さえながら「俺が……」と、低い声で呟いた。
「なんの為に結婚しろと言ったか分かってないようだな。ライガー家が断絶しないように」
「分かってますが、結婚しても子供のいない夫婦だってありますよ」
「確かにな……」
そんな溜め息つかなくても良いじゃないですか。
「……彼女はティムが好きそうに見えるが、違うのか?」
「えぇ?!」
ネルが俺を?!




