5章―01
一睡も出来なかった!
なんで俺は帰りの馬車の中で、あんな事を言ってしまったんだ!!
明るくなってきた窓の外の光が眩しいから、布団の中で転がる。
あの時は、ネルとアントニオさんが仲良くしてるのが、嫌で嫌で仕方なかったんだけど、冷静に考えたら、俺の心の狭さを晒す一言じゃなかった?!
しかも最後の方とか、目も合わせてくれなかったし……。
こんな時、同じ部屋なのは堪える……。
見えないけど、足先向こうにネルが寝ているかと思うと……いたたまれない!!
……本当、なんで俺、あんな事言ったのかな?
それにネルはアントニオさんより殿下の事が…………
「あー!!」
「……朝からどうしたのですの?」
「大変だ!殿下のお土産買うの忘れてた!」
「今日、買いに遠出したらどうですか?」
「ネルとの旅行が一泊って決まってから、殿下に帰ってきた翌日、お土産持っていくって手紙出しちゃった」
アントニオさんネルが気になってお土産のことなんてすっかり忘れてた!
「ここで食べる用に瓶詰めのエスカベッチェを多めに買ってきたので、それをお持ちになられたら?」
ネルは眠たげな目をこすり、体を起こす。
「赤珊瑚が使われているブレスレットを王妃陛下に持って行かれても良いですし……」
「良いの?自分に買ったんじゃ……」
「綺麗だったからつい買ってしまっただけですわ。国王陛下用に同じ赤珊瑚の装飾品を用意しますので、それがこちらに届いてからお持ちになられたら?」
「有り難う、ネル!」
「メリッサに持たす手紙を書きますわ」
ネルが布団から出る。
その様子を見てはいけない気がして目を反らす。
「書き終わったら俺がメリッサさんに渡すから言って」
「書き終わりましたわ。ではお願いします」
早!
「うん。ちょっと行ってくる」
俺が侍女の部屋に行くわけにはいかないからセバスにお願いする。
本当によく出来た妻だな。
なんて!
まだネルが俺の妻である事に慣れない。
……ちょっと照れ臭いんだ。




