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4章―11
「普通に結婚した訳ではないって充分、分かってるつもりなんだけど……その、あんまり男の人と仲良くして欲しくないって言うか……」
男の人?
私、親しい方など、いないと思うのですけれど。
私がじっと見つめていると、反らした目をこっちに向け、眉を寄せて、駄々を捏ねるような切ないような表情をティムがする。
「あんまりアントニオさんと仲良くしないで」
空耳かと思うくらいのティムの呟き。
きゅっとした顔のティムの頬がほんのり赤い。
何故、彼がそう思うのか……私がアントニオと話したのはティムに置いていかれて護衛の為に来た時だけなのに。
……つまり、一度、戻ってきたのね。
それで仲良さそうな私達を見て、疎外感を感じたのね。まるで劇のワンシーンのようだわ!
私が思っている以上にティムは私を気に入っていて、"妻"として扱おうとしているって事なのかしら?
よく置いていきますのに。
「弁えますわ。ティムも私を置いて行かないで下さいね」
ニコッと嫌みのない笑みで言う。
「あっ、今日はごめんね、置いていって」
今日だけではないのですけれど。




