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4章― 08
「私に爵位があったら……あ、すみません!ティム様と結婚できて羨ましいみたいな事を言って」
「……貴女はティムが好きなのね?」
「え?えっと、その……」
彼女は顔を赤くしてあたふたしている。
「そう。でもティムとは結婚できなくてよ」
だって彼は殿下が好きなのですもの。
「そ、そんなこと、言われなくても分かっています!」
しまったわ!
彼女の大きな瞳に涙がせりあがっている。
「っ」
涙が溢れそうな瞳で私を見た後、彼女は背を向けて走り出した。
「えっ??」
フライを手に戻ってきたティムは、走って行く彼女の背中と私とを交互に見る。
「ちょっとネル、待ってて」
そう言うとティムは彼女が走って行った方向に走り去って行く。
別に構わない。
ティムが彼女を追いかけたって。
でも……
「新婚旅行って言いましたのに……」
チクチクと胸が痛むのだった。




