4章―06
私が掴み易いようにと思っているのかティムがゆっくりと歩く。
いつも自分勝手なティムが私に気を遣っていると思うと、少し変な感じがして、くすぐったい。
「ネル、白身魚で……顔、赤いけど、大丈夫?」
「っ!大丈夫ですわ」
落ち着くのよ、ネル。
いくら私がこうやって服を掴む事が初めて……あら?でもティムは普通ね。
ティムは誰かとこうやって歩いた事があるのかしら……。
「はい、これ、ネルの分」
そう言ってティムは、円錐形に丸められた紙に包まれたフライを渡してくれた。
「有り難う」
フライは熱いけど、サクサクしていて美味しい。
でも、なんだかはしゃぐ気にならず、美味しそうにフライを頬張るティムを仰ぎ見た。
「ん?何?あんまり食べてないけど、猫舌だっけ?」
「そう言う訳ではないのですけれど……」
では一体、どうして拗ねているような心境なのかしら?
「……ちょっと休む?」
ティムが私を心配しているのが分かる。
「少しだけ、あちらの木陰で休みますわ。一人で大丈夫ですから、ティムはお店を……」
「ダメだよ。さっき変な人に絡まれたばっかりじゃないか」
いつもと立場が逆ですわね。ティムから注意されるなんて。
何故だかティムが張り切っているようにも見えるわ。
ティムの張り切りスイッチが入るタイミングは未だに謎ですわね。
「……騎士様?」
ちょっとティムに笑っていると、エプロンを付けた可愛らしい少女がティムに目を向けていた。




