4章―01
市場に行く為、いつもに比べたら動きやすいドレスにメリッサに着せてもらい寝室に戻ると、寝ていた筈のティムが一目散にこちらに向かってきた。
「昨夜の事を許して欲しい!」
跪いて許しを乞おうと思っているのかも知れないけど、メリッサの前でしないで欲しいわ。
彼女を見ると、夕べ何が?!と言いたげな顔で口元を押さえていた。
「ティム、ちょっと」
メリッサが変な誤解してそうだからまずは立ってくれる?
「許しを貰わない事には……!」
そもそも、どの事に対して言っているのかしら?
私の手をどけて胸元を見たことかしら?
それとも、ベッドの線引きにした絹を抱き締めて寝ていた事かしら?
「大丈夫よ、怒ってないもの」
とりあえず立って頂戴。
「本当?良かった」
ティムが眉尻を下げる。
「酔ってたし、不可抗力だったとは言え、胸揉んじゃってごめんね」
なんですって!?
「なんかふわふわするものがあるなぁ何だろう?って、つい」
テヘッみたいな顔をしてますけど、これはアントニオ案件なのではないかしら?
メリッサに至っては、微笑ましいとでも思っているのか、ほっこりした顔をしている。
怒ってないと、メリッサの前で言った手前、今怒る訳にはいかないわね。
「メリッサ、ティムと少し話がありますの」
私が微笑むとメリッサは快く退室してくれた。
「ねぇ、ティム」
「なに、ネル」
ティムは笑みを浮かべている。
「これは許すとはではなく、アントニオの出番ですわね」
私がニッコリと微笑むとティムは「えーっ!」と、さっきまでの機嫌の良い顔から泣きそうな顔に変わった。




