1章 ー03
「全部断られたんですの?」
ティムは背丈もあるし、筋肉が細く引き締まって見た目だけなら爽やかな青年騎士として騙せそうだけど、中身がこれだものね。
「いや、そもそも女は怖くて誰にも会えなかった……」
モテない以前の問題じゃない。
「昔からティムはミーズロー王子殿下しか見てなかったものね」
呆れて物も言えないわ。
……そう言えば小さい頃なんて、私と会っても殿下が鳩を飼っただとか、殿下はああ見えてブロッコリーが苦手だとか、殿下の新しい革靴サイズはどれだけだとか殿下の話しかしてなかったわ。
あら?つまり……
「ティムは殿下をお慕いしているのね?」
「当然じゃないか」
振り向いて見ると、ティムの強い意思を宿した瞳とぶつかった。
あの意思の強い瞳と、この断言。
なんて事、ティムは殿下が好きなのね?!
「それで私に結婚を」
殿下の側に戻る為、お飾りの妻を探していると言うことね?!
どうしましょう!私、ティムが男色だなんて初めて知ったわ!
ミーズロー殿下はティムより二歳年上で、王族特有の黒髪に落ち着きのあるバイオレットの瞳をしている。
容姿端麗・冷静沈着で知られている殿下は令嬢からの人気も高い。
その殿下に密かに想いを寄せていただなんて…!
王室では側室が禁止になってから、男性の愛人を囲う人もいるって聞いたことがあるわ。
でも愛人を持って良いのは既婚者だけ。
殿下は未婚者だからまだティムは愛人にもなれない。でも、側に居たいのですのね!?
落ち着きのある殿下に、癒し系に見えない事もないティム。
並べると絵になるんじゃないかしら?!




