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3章 ー10
ベッドにはピンクがかった絹に金糸で刺繍のしてある天蓋が吊るされている。
「これ、メリッサがしたの?」
よく見慣れた葉や薔薇の刺繍が作者を物語っている。
「さすが、お嬢様ですね」
分かってもらえた事が嬉しいようで、メリッサは照れ笑いを浮かべている。
「素敵だわ」
メリッサは照れ笑いを浮かべたまま退室した。
「ねぇ、ネル。ちょっと探検してきても良いかな?」
「えぇ、構いませんわ」
「有り難う!」
ティムは笑顔で部屋から出ていった。
……本当に人を置いていくことに抵抗のない人。
これで三度目かしら?
まぁ、別に良いのだけど。
ふかふかのベッドに倒れ込む。
たまにはこうやってゆっくりするのも悪くないわね。
天蓋と同じ絹が掛け布団の上にかかっている。
私の為にメリッサが刺繍してくれたのだと思うと、心が温かくなった。




