3章 ー09
これも領民にとっては大事な収入源なのかしら?
ふと、ティムを見ると、緻密な幾何学模様が描かれた扉をしげしげと見つめている。
「素敵ですわよね」
「うん、俺にはこんな事は出来ないよ」
そうな感じがするわ。
イメージできないもの。
「お嬢様、お部屋の方は……」
メリッサが私の荷物を持って、中からこちらを見ている。
「ティム、私は先に入っていますね?」
「ううん。俺も行くよ」
ティムは慌てて扉に手をかけ、中に入る。
「私は小さい頃に使って部屋にして、ティムは客間に……」
メリッサのびっくりした顔を見て、言葉を切る。
失敗したわ。
新婚旅行なのに、別々の部屋だなんてあり得ないわよね。
「懐かしい部屋で寝たい気もするけど、冗談よ。寝室から続きで左右に一部屋ずつある客間はあるかしら?」
「ございます。そちらに荷物を運ばせてもらいます」
メリッサが荷物を運ぶ後ろをティムと付いていこうと思い、彼を目で探す。
ティムは宮殿の中央にある吹抜けを仰ぎ見ていた。
「ステンドグラスがあって綺麗だね」
私の気配にティムが振り返る。
「そうね。部屋もきっと素敵ですわよ。さ、行きましょう?」
ティムと一緒にメリッサの後を追う。
階段の装飾にも興味があるのか、ティムは目を輝かせながら上っていく。
「こちらになります」
メリッサが戸を開けると、格子窓から海が見える。
「わぁ!」
ティムは子供のようにはしゃぎ、窓の側へ。




